リーダーシップ往復書簡 015
最近の私は、ビジネスの成功要因の大きな要素の一つに、「アクティブ」かどうか、を挙げています。
私は、経営戦略を立案したり予実管理をしたり、いわゆる経営企画の仕事を長くしていたからか、このシンプルな答えに行き着くまで、少し遠回りをしたように思います。
これは私だけではないと思いますが、職業人として、経営戦略を立案する人の多くは、あたかも自分が全知全能の”神”のように、自分が立案した戦略がハマって、顧客や組織が思い通りに動いてビジネスが成功することを期待する傾向にあると思います。
そのため、どうしても複雑だったり精緻だったりする分析とそれに基づく戦略立案をして「策士策に溺れる」になりがちで、企業文化、ケイパビリティや活動量を軽視してしまいがちだと思います。
ただ、ビジネスにおいて「アクティブ」は、極めて重要な成功の要素なのです。
「アクティブ」であれば、マネジメントサイクルが早く回るため早期にケイパビリティを身に着けることができますし、何よりもその前向きなエネルギーが人やお金など経営資源を惹きつけるのです。
「アクティブ」は、企業文化、ケイパビリティや活動量に影響を及ぼします。
良い経営戦略とは、中長期的に、この「アクティブ」を持続させる仕組みのようにも思います。
そして、この「アクティブ」は、リーダーシップを語る上での重要な論点だと思います。
リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。
また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!
【Q.15】
私は今、社会人4年目で、ベンチャー企業で働いています。
将来、自分でスタートアップ企業を経営したいと考えています。
そこでリーダーシップを身に着けたいと考えていますが、どのようにすればスキルアップすることができるでしょうか?
<コメント>
前提として、リーダーシップはスキルで、先天的なものではなく、後天的に誰しもが身に着けることができるものという考え方があります。
そのうえで、私が過去に大臣を務めた経験のあるメンターから教えていただいた格言「リーダーはリーダーを育てる」をご紹介したいと思います。
リーダーシップを身に着けるには、優れたリーダーの傍にいて、「やり方」ではなく「あり方」を学ぶことが近道だと思います。
最近の熱心な人事担当者は座学でリーダーシップの勉強をしたり、「ティール組織(インテグラル理論)」の勉強したりとあるのですが、やはりロジカルな頭の理解は「やり方」でしかなく、リーダーの「あり方」とは一線を画しているように思います。
リーダーシップを学ぶには、鶏口牛後だと思いますので、例え小さい組織であっても、暗闇の中、集団の先頭で、たいまつを持って、勇気を持って自分の足で歩いているリーダーを見習うこと、リーダーと一緒になって困難な目標に向かって歩いてみることだと思います。
どのようにリーダーが社内外のフォロワーを動かしているのか、目の前の困難を前にしてどのようにリーダーがフォロワーの分まで「焼け火ばし」を持っているのか、どのようにリーダーが現実的なお金の問題などと対峙しているのか、失敗をした時にどのような筋を通した生き方をしているのかなど、優れたリーダーの生き様を目に焼き付けるのが一番効率的だと思います。
もちろん情報取得が簡単な今の時代ですから、リーダーシップに関する書籍を読むなど勉強をしたほうがいいとは思いますが、真の理解、心からの腹落ちを得るには、実践・体験しかないと思います。
特に自分の人生が試されるような修羅場の経験が、あなたのリーダーシップ・スキルを磨き上げるものと思います。
将来リーダーになりたいと思う方は、困難を愛し、若い時の苦労は買ってでもしたほうがよいでしょう。
※この記事は、2020年1月28日付Facebook投稿を転載したものです。
株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。
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