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企業再生メモランダム・第25回 第3回勉強会 経営戦略

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

「企業再生メモランダム・第16回 勉強会について」に記載したとおり、私は、対象会社の中堅スタッフに言われて、希望するスタッフ向けに勉強会を開始しました。

メモの19枚目は9年前に作成した「第3回勉強会 経営戦略」と題したメモです。

メモの背景

私たちは、これだけビジネスの世界に戦略・戦術といった言葉があふれているのに、これを実際に考えたり使ったりしている人がごく少数であることを、改めて認識しなければなりません。

「第23回 仕組みを作る」で記載をしましたとおり、対象会社では、ほとんどのスタッフは、仕事とは「仕組みをまわす」というように理解している方ばかりでした。

ただ漫然と毎日決められたオペレーションをこなすような働き方では、戦略的な思考は必要ありません。

ところが、会社が赤字で傾いて、いつもと同じ仕事をしているだけでは生き残れないとなれば話は別です。

再度、対象会社においても、きっと創業者がしてきたように、他社を分析して、お客様を分析して、自社の強みは何か、自社の弱みは何かなど様々考えて、経営戦略を立案して、ビジネスモデルをブラッシュアップして、仕組みを作っていかねばならないのです。

社歴が長い会社になれば、下手をすると、社長ですら、経営戦略を考えておらず語れないという方もいます。

考えようによっては、それでも会社が成り立っているということは凄いことでもありますし、そこで働くスタッフたちは幸せなことかもしれません。

ただし、不確実な世の中は、ある日、急にそういった人々に試練を与えるのです。

対象会社の経営改革も2年目に差し掛かって、希望者に対して「経営戦略」に関する勉強会を開催しました。

メモ「第3回勉強会 経営戦略」の中身

1.経営戦略とは?

(1)経営戦略とは?

経営とは会社を存続発展させることであり、経営戦略とは会社の持続的競争優位を確立するための基本的な考え方のことを言います。

会社が成長していくためには、明確な方向性に基づき、どの分野へ、如何にして進むかを決めなければなりません。

また、環境の変化や競合企業の動きに対して、自社が最も有利に成長できるような道筋を選ぶことが必要です。

(2)戦略的意思決定とは?

戦略的意思決定とは、会社が進むべき方向に関する重要な意思決定を行うことを意味します。お金や人など経営資源には限りがあるため、全ての選択肢を実行に移すことは不可能です。

つまり「選択と集中」が大事になります。

1つの事業であれ複数の事業であれ、その展開にあたっては、環境が自社に有利に働く方向に舵を取り、競合企業に勝てるだけの資源を投入しなければなりません。

(3)経営の視点

経営戦略の立案を行う場合は、部分にとらわれず全体像を把握することが大事です。いくら細部で知恵を絞っても、大きなところで間違えると競争に負けてしまいます。

2.経営戦略の概要

(1)経営理念

経営理念とは、英語ではミッションと呼ばれるものに相当し、経営トップの交代や環境変化があっても簡単に変更されることのない会社の長期的・普遍的な価値観や存在理由を体現するものです。

経営理念によって、会社は長期的な目標を明確にでき、社員は働く目的を共有できるようになります。

(2)ブランドスローガン

ブランドスローガンとは、ブランド要素の一つでブランドが伝えたいメッセージを簡潔に表したものです。

(3)ビジョン

ビジョンは、望ましい組織の将来像を具体的に示すもので、現実妥当性や信頼性がなければならないものです。現在のような変化の激しい時代では、中期的なものになります。

(4)事業ドメイン

事業ドメインとは、経営活動を行う基本的な領域のことです。会社が利益を生み出し、存続していくには限られた経営資源を有効に分配しながら競争に勝っていくことが求められます。

そのためには事業ドメインを明確にして、必要な領域に最適な資源を投入し、同時に競争に勝てないであろう事業ドメイン以外の領域を認識することが重要となります。

事業ドメインには会社が競争する事業分野を決定する側面と、参入しない事業分野を決定する側面があります。

(5)経営戦略(全社戦略、事業戦略、機能別戦略)

経営戦略は、経営理念やビジョンを実現するための戦略です。全社戦略と事業戦略は、まず全社戦略により経営資源の配分を決め、その限られた資源の中で事業戦略を立てていきます。

そのため、事業戦略の積み重ねが経営戦略ではありません。事業戦略とは全社戦略を実現するための戦略です。

機能別戦略とは、事業戦略以外の機能ごとに選別した戦略のことで、財務戦略、人事戦略、オペレーション戦略などが挙げられます。

<経営戦略の概要>
① 全社戦略
② 事業戦略
③ 機能別戦略(財務戦略、人事戦略、オペレーション戦略など)

<ご参考>グロービス経営大学院「グロービスMBA経営戦略」



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介

 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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