クィレル先生が一度も杖を見せなかった理由について【ハリー・ポッターと賢者の石】【状況証拠だけで考察と言い張る】
初めまして、皆さんハリー・ポッターはお好きですか?
映画が好きな人、原作が好きな人、もしかしたら原書が好きな人もいらっしゃるかもしれません。
私は映画と原作が好きなのですが、この間賢者の石の映画を見返していてふと疑問に思うことがありました。
それは最後のシーン。あのクィレル先生の後頭部にヴォルデモート卿がいる。恐ろしい光景の目の前で、ハリーは賢者の石を手にしてしまう。ヴォルデモート卿の命令を受け、クィレル先生はハリーの元に跳び、なんと首を絞めたのです。ハリー絶体絶命!
……いやまさかの物理!
貴方魔法使い、それも先生になれるくらい優秀な魔法使いですよね?杖を振ってインセンディオで燃やすも良し、ウィンガーディアム・レヴィオーサで瓦礫を浮かせて降らせても良し、ステューピファイだって魔力差があれば命に関わる(と私は思っています)のに、まさかの首を絞める選択。闇の魔術に対する防衛術の先生なのに?
実はクィレル先生、作中で一度も杖を見せたことがありません。魔法使いが主人公の児童小説の、一作目の敵なのに、です。
不自然ですよねこれ。では色々まとめてみましょう。
クィレル先生の杖の設定について
緻密な設定が練られまくっているのがハリーポッターの魅力の一つ。クィレル先生の持っている杖についても、実は設定が存在します。
この設定、要りますか?
杖を振った描写の無い先生に対して、この緻密な絶対。何故この杖を使わなかったのか、疑問を深めるばかりでしょう。
そもそもクィレル先生ってどれくらい強いのか
ハッキリ言って、ハリーがクィレル先生を倒せたのは、わざわざクィレル先生が接近戦を選んだからに他なりません。
ではクィレル先生はどれくらいの力を持つ魔法使いなのか、事実を基に考えてみましょう。
①ホグワーツ魔法魔術学校の教員を勤めていた
ハリーが一年生の時、闇の魔術に対する防衛術の教員に選ばれています。また、それまでにもマグル学の教員でした。
魔法使いを育てる教師であるという観点だけを見れば、フリットウィック先生やマクゴナガル先生、スネイプ先生と同列に扱っても良いでしょう。流石に言いすぎ?まぁまぁ、授業内容が面白いかどうかは別の話です。
②誰も見つけることのできなかったヴォルデモート卿を見つけた
よくよく考えてみてください。死喰い人の中にも優秀な魔法使い、魔女はいますね。なら、彼らが血眼になってヴォルデモート卿を探し出し、見つけてしまった場合、更なる脅威に怯えることになります。ならば、魔法省としても、ある程度は探そうとしたはず。つまりは、実力のある魔法使い、魔女達が所属に依らず探したはずなのに、10年間隠れ続けたヴォルデモート卿を唯一探し出したのがクィレル先生なのです。
……え、凄くね?
はい、実際に凄いです。じゃあ次行きましょう。
③グリンゴッツに忍び込み、無事生還した。
これがどれだけ凄いことか分かりますか?
まずハグリッド曰くグリンゴッツは魔法界で「ホグワーツを除けば一番安全な場所」だと言われています。それもそのはず、金庫を守るのは調教されたドラゴンだったり、金庫に行くためには専用のトロッコを使う必要があり、進路の途中には呪い落としの滝と言う魔法の効果を無効化する滝があり、鍵は小鬼が持っている。何なら、クィレル先生が襲った七一三金庫の仕組みは「小鬼以外が開けようとすると、金庫の中に吸い込まれる」と言うもの。
並の魔法使いでは無理ゲーです。と言うか、無理です。
コレを達成するためには「インペリオで小鬼を操る」「呪い落としの滝を通過した後、即座にインペリオを掛け直す」「帰りも同様にする」「オブリビエイトで操った記憶を消す」くらいの事はしないといけません。
意外と楽では……?と思ったそこのあなた、この工程を、他の小鬼に悟られずに行う必要があります。
さらに言うと、小鬼の中には魔法使いを毛嫌いしている者も少なくありません。杖の技術を小鬼に教えていないことはそれはずるじゃん?と、言うような小鬼がいるなか、透明マントなしで呪文を唱えなければなりません。そして、インペリオは禁じられた呪文、見つかれば即アズカバン行き。
ヴォルデモート卿からのプレッシャーはあったと思いますが、これ(に等しいであろう事)をやり遂げられるクィレル先生、杖さえ使えれば、ハリーなんてちょちょいのちょいであることは間違いないでしょう。
④スネイプ先生と呪いで拮抗した
クィディッチの試合中、ハリーを箒から落とすために呪文をかけ続けていたクィレル先生。スネイプ先生はその様子を見て、反対呪文をかけ続けます。そのせいで、ハリーの箒はおかしな動きを続けることになるわけです。
スネイプ先生といえば作中でも指折りの魔法使い、余談ですが作中で箒なしで飛行する術を使えるのはヴォルデモート卿とスネイプ先生の二人だけです。
そんな技術も能力もずば抜けているスネイプ先生と拮抗する呪文を扱える、しかも拮抗なので、目的のハリーを蹴落とす事に関して言えば時間さえかかればできた可能性すらあります。
まぁ、落とせてもなんとか下でフレッドとジョージが受け止めてくれたと思いますが。何なら、本当に緊急事態になればブチギレ・ダンブルドアが助けてくれたでしょうが、それは置いときましょう。
⑤誰にもバレる事なくトロールをホグワーツに解き放つ
これもヤバいです。クィレル先生、トロールについては才能がある、と言っていますがそれがどれだけすごいことか。
特に映画版を見ればわかると思います。あのデカさのウスノロを、誰にもバレる事なくホグワーツに解き放つ事の難易度が。
しかも、クィレル先生って賢者の石を守る為にトロールを部屋においてるんですよね。え、疑われへん?真っ先に疑われると思うんですよね。その証拠に、スネイプ先生だけは賢者の石を守るフラッフィーの所に向かいました。(トロールをあの部屋に誘導できるクィレルが……?解決した報告じゃなくて、ただそこにいた報告?怪しすぎる)てなもんでしょう。
ホグワーツレガシープレイ後、捕獲袋のようなものがあれば可能なのかな?と思いました。捕獲袋そのものじゃなくても、ニュートの持ってたバッグのように、拡張呪文でトロールを出し入れしていたのかも。となると、拡張呪文が問題なく使える、と言う事でここでもクィレル先生の評価が上がりますね。
⑥教員の用意した賢者の石の防衛策を全てクリアしている
これも功績に加える必要があるでしょう。ハリー達3人が成し遂げた事なので「なんだ、ホグワーツの防衛策もそんなに凄くないんだな」と思うかもしれません。まぁ、確かに?マクゴナガル先生のチェスは完全に趣味の領域な気はしますが……。
しかし、他の教員たちが一応賢者の石を盗られないように設けた策です。
フラッフィーはスネイプ先生に傷を負わせました。
悪魔の罠は後に一人の魔法使いを聖マンゴ病院で殺す描写があります。
羽のある鍵は映画を見ればわかりますし、ホグレガプレイ者なら意外と捕まえられないのもわかるはず。
チェスも趣味の領域と言いましたが、あのマクゴナガル先生のチェスです。聡明な彼女にチェスだって勝つのは難しいでしょう。
トロールは自分で用意したので言わずもがな。
問題はスネイプ先生の用意した論理問題です。映像映えしないので、映画ではカットされてしまいましたが。
論理問題と言うのは、いくつかの条件を提示して、正解を導き出すパズルのような問題。スネイプ先生の場合、7つの瓶に対して3つが毒薬2つがお酒、1つが炎に遮られたドアの先に進める瓶で、もう1つがこれまた炎に遮られたドアに戻る為の瓶。毒の瓶は必ず酒の隣、とか両端の瓶は同じじゃない、とか、小さい瓶と大きい瓶は毒は入ってない、とか。よーく考えれば答えが導き出せる奴です。再現しようと思うと、瓶の大きさとかが違うのに大きいのが◯個とか明記されてないので、ちょっと無理、なのかな……?と思いますが、こう言った論理問題をクィレル先生は解いて先に進んだのです。
ちょっと待った!ハリーたちが瓶の中身を飲めたのだから、クィレル先生は論理問題を解かずに、瓶の中身を使わずに通ったのでは!?と考えたそこのあなた!
ありえます!!!が!!!それはそれですごいと思いませんか?スネイプ先生が用意した問題、罠を無理やり通る、そっちの方が難易度高そう。
クィレル先生、レイブンクロー寮出身なんです。頭良いんです。寮に入る度に「円環はどこから始まる?」とかに答えてたんです。論理問題、解けたのであろうと考えるのが自然かなと思いますね。
クィレル先生の授業について
クィレル先生が授業を行うシーン、映画で1シーンだけあったのを覚えていますか?
ハリーが思い出し玉を見事な飛行でキャッチして、マクゴナガル先生に連れられている時です。
余談ですが原作ではここでハリーは(ウッド?僕を殴る木の棒でも借りるんだろうか?)と思ってビビってます。可愛いね。
クィレル先生はいつもの調子で快諾します。そしてクィディッチのキャプテンがやってくるわけです。
さて、ウッドは何年生だったでしょうか?
正解は4年生です。
ハリーが4年生の時、闇の魔術に対する防衛術の先生はムーディ先生でした。
これは極端ではありますが、4年生のハリー達に対して禁じられた呪文について実演する授業をしていました。
では、クィレル先生は?4年生のウッドたちに対して、どんな授業をしていたでしょう?
イグアナを両手で抱いてました。
……いや何の授業!?100歩譲って、イグアナに対して杖を向けていたならわかります。ですが両手で抱いて……!?イグアナの何を教えていたんでしょう。
いやいや、それは一部を切り取っただけの偏向報道でしょう、そう思われる方もいらっしゃるかと思います。確かにそうだ。
では、原作の方を確認してみましょう。
肩すかしでした。まぁハリー達は1年生なので、それは仕方ないかもしれません。1年生に教える闇の魔術に対する防衛術、優秀な子でエクスペリアームズが使えるかどうかくらいじゃないでしょうか。
おお!クィレル先生ちゃんと授業やってるじゃん!悪霊の呪い!どんな呪いなのか、この後誰も使わない呪いなのでサッパリですが、少なくとも教えてはいたわけです。
ですが、やはり「言ってた」なのです。実践していたら「見せた」と言うでしょう。思うに、クィレル先生の授業はアンブリッジのように理論だけ、情報だけを教科書通りに伝えるものだったのでは無いでしょうか?
なぜなら、アンブリッジ自身も「クィレル先生だけは授業の内容を自己規制していた」と発言をしていましたからね。恐らく、この考えは間違い無いでしょう。
じゃあいつ杖を取り上げられたの?
クィレル先生の後頭部にヴォルデモート卿の顔が飛び出してきたタイミングはいつかわかりますか?
映画では分かりづらいと思いますが、実は明確にクィレル先生の身体に「ヴォルデモート卿が入っていない」描写があります。
それが、ハリーが初めて漏れ鍋に来たシーン。映画と異なり、原作ではここでハリーとクィレル先生はアツい「握手」をします。
もし、既にヴォルデモート卿がクィレル先生の中に入っていたら?クィレル先生は突然手を抑え苦しみだし、その手のひらは火傷と水脹れで酷い状況になっていたでしょう。
私が考える、クィレル先生の杖がヴォルデモート卿に取り上げられたタイミングはズバリ、グリンゴッツ襲撃に失敗した後、です。
この台詞、ハリーと共にみぞの鏡に向かい合っている際の台詞です。この台詞からわかるように、グリンゴッツ襲撃に失敗した後、ヴォルデモート卿はクィレル先生をもっと間近で見張ると決心しました。
さて、ヴォルデモート卿の性格を考えてみてください。死を心底恐れる愛を知らない男。愛を知らないということは、誰も信用していないということです。そんな男が、自らの身を預ける男の杖をそのままにしておくでしょうか?
私の答えは否です。しかも、彼は一度死を経験しました。もう二度と、同じ過ちは繰り返したくないでしょう。
先ほどの台詞ですが、クィレル先生曰く「私を罰した……」との事です。
ですがどうやって?
そう、ヴォルデモート卿は霞のような存在に成り下がっていました。ハリーへの精一杯のタックルも、胸のあたりを通過するだけで終わってしまいます。まぁ、ハリーは叫びながら気絶してしまいましたが……。
その状態では、杖を振るうことも、勿論魔法を使うこともできないと思われます。なぜなら杖を握る身体が無いので。では、どうやって罰するか?
もう私が言いたいことは分かりますよね。ヴォルデモート卿は、クィレル先生の杖を「折った」もしくは「奪った」のではないでしょうか。私はもうこの妄想を真実として捉える事しかできません。
また、謎のプリンス序盤では、ルシウス・マルフォイの杖を取り上げるシーンがありました。その際、ルシウスは目に見えて動揺し、汗タラタラで思わず代わりにヴォルデモート卿自身の杖と交換してもらおうとしました。今書いてて思いましたけど、これ相当不敬で笑いますね。マルフォイ家の利用価値が無かったらここで殺されてても全くおかしくない。
これ、魔法使いにとって「杖を奪われる」「杖を折られる」のはそれくらいの罰に値するのだと、解釈できますよね。
最後に
私が感じていた疑問に対するアンサーは「ヴォルデモート卿が杖を折ってor奪っていたので、クィレル先生は接近戦を仕掛ける事しかできず、ヴォルデモート卿は敗北した」となります。
待て待て、と。原作で死の呪文を唱えた、とあるぞ、というそこのあなた。あれは唱えようとしただけです。杖もなしに死の呪文が使えるなら、クィレル先生はとっくに第二のヴォルデモート卿として名を馳せていたことでしょう。流石に無理無理。
とまぁ、勿論状況証拠だけの妄想で語っており、不都合な事実からは自然と目を逸らしている可能性は全然あります。なので、有識者の方々には「いやいや、ここで杖使ってる描写ありますよ」であったり「この考察は原作のこの部分を完全に無視して書いている」等のご指摘をいただければ幸い……いや、やっぱりやめてください。素人質問で恐縮ですが……から始まる的を射たコメントは差し控えていただきますようよろしくお願いいたします。
ちなみに、好評不評無評関わらず、以下の考察(笑)は文章にしようと考えています。もしよかったら、楽しみにしていただけると幸いです。
〇屋敷しもべ妖精、ドビーの異常性についての考察
〇リリー・エバンズ、古代魔術の痕跡が見えていた説
〇ハグリッド、どうやってハリーを迎えに来たのか考察
〇ベラトリックスvsモリー、何故モリーが勝てたのか
完結して17年も経った今でも、こんなに考えることのできるハリー・ポッター。そうそう、10月30日にはタリーズコーヒーのコラボもありますね。楽しみ~~~~!
最後になりましたが、長文乱文にもかかわらず、ここまでお読みくださりありがとうございました!