屋敷しもべ妖精、ドビーは何故あんなにも異常なのか【ハリー・ポッター】【状況証拠だけで考察と言い張る】

初めまして、お久しぶりです。皆さんハリー・ポッターはお好きですか?
映画が好きな人、原作が好きな人、もしかしたら原書が好きな人もいらっしゃるかもしれません。
私は映画と原作が好きなのですが、この間秘密の部屋と炎のゴブレットを読み返していてふと疑問に思うことがありました。
それは、屋敷しもべ妖精のドビーが異常すぎる、と言う事です。
何が異常なのか?もしかしたら、映画しか見たことのない人はピンとこないかもしれません。
では、一つずつ考えてみましょう。

屋敷しもべ妖精とは何者か

ハリーにとって、また読者や視聴者にとって初めて見る屋敷しもべ妖精がドビーです。みすぼらしい格好で、ハリーのベッドを飛んだり跳ねたりしていましたね。
他の屋敷しもべ妖精も、見た目は大体ドビーと同じです。ただ個性もあり、鼻が丸い者や、女性と思われる個体もいます。

屋敷しもべ妖精は一般的に、魔法使いの家に仕えにやってきます。ただ、どの家でも良いわけではなく、豪華な家であればあるほど仕えたい意欲が高まるようです。
そして、彼らは魔法使いの家で無賃労働をします。掃除洗濯なんでもござれです。言わば、希望性の奴隷と言って良いでしょう。但し、彼らはそこに誇りがあります。
素晴らしい家に無償で仕えることは素晴らしいことであり、誇らしい事なのである、と。
そう言う意味では、ドビーがマルフォイ家に仕えていた日々は、他の屋敷しもべ妖精から見るとエリート扱いだった、とも考えられますね。

また、屋敷しもべ妖精は基本的には主人に絶対服従です。
これも、喜びからくるものではありますが、私はここに契約のような縛りがあると考えています。つまり、屋敷しもべ妖精は主人の命令に従わなくてはならない。
こちらの詳細についてはまた後述します。

ちなみに、これらはあの心優しいロンですらそう思っていることです。つまり、魔法界の間では常識であり、(一部を除き)故意に奴隷扱いしている訳でもなく、ただそれが当たり前な風景なのです。
我々マグルとは考え方にギャップがありますよね。勿論、ハーマイオニーはそれを許せず、S.P.E.W.(屋敷しもべ妖精福祉復興協会)という団体を立ち上げるのですが、これもまた後程。

ひとまず、屋敷しもべ妖精は「無賃労働こそ誇りである」「主人の命令には絶対服従」と言うことだけ覚えてください。

ドビーとは何者か

さて、ドビーとは何者なんでしょう。無賃労働こそ誇りである屋敷しもべ妖精の彼ですが、彼は他の屋敷しもべ妖精と明確に異なっています。ではどんなところが異なっているのでしょう?

①マルフォイ家から出て、ハリーを助けた

これはハリー・ポッターと秘密の部屋の根幹の部分ですね。ドビーがマルフォイ家を出たからこそ、成り立つ話でした。
ドビーはマルフォイ家で聞いた情報を、主人に無断でハリーを救うために使います。勿論、救い方がチグハグで暴走ブラッジャーをけしかけるやつな真似をしてしまうのですが。

②マルフォイ家からの解放(自由)を求めた

ここも、他の屋敷しもべ妖精と大きく異なる点です。ドビーはマルフォイから(と言う訳ではないのもわかるはずなのに)靴下を貰い、心底喜びました。そしてあろうことか、旧主人に対して魔法を使い、吹き飛ばします。
本来、屋敷しもべ妖精はどんな扱いを受けていたとしても、主人から洋服を貰うことは恥に他なりません。
これは、まともな屋敷しもべ妖精であるウィンキー(あえてこう書きます)を見れば一目瞭然でしょう。
※ウィンキーは、炎のゴブレットに出てきたキャラクターです。映画ではカットされてしまいました。

③ホグワーツにて、賃金と休暇を要求した

こちらも映画ではカットされてしまいましたが、原作ではなんと、ドビーはホグワーツで働いています。そう、実はホグワーツにも沢山の屋敷しもべ妖精が働いているのです。あの豪華な大広間の食事も、屋敷しもべ妖精が作っていたんですね。
そんな沢山の屋敷しもべ妖精がいる中、ドビーはただ一人賃金と休暇をダンブルドアに要求しました。
コレどう言うことか、我々マグルの価値観に当てはめると「会社の面接で無賃無給で働かせてくれ、と要求した」くらいヤバいことです。
いやいや、大袈裟な、と思うでしょうか?でもそうなのです。彼らの価値観に従えば、ドビーがやっている事はそう言う事です。

屋敷しもべ妖精は本当にそんな価値観を持っているのか?

いやいや、待ってくれよ。と。映画を見たがそんな描写無かったぞ、とお思いのそこの貴方。言いすぎなんじゃないか、とお思いのそこの貴方。妄想も入ってるんじゃないの?とお思いのそこの貴方。
映画では本当にカットされまくりで、ドビー以外の屋敷しもべ妖精はブラック家に仕えるクリーチャーだけでしたね。
では、本当にそんな価値観を持っているのか?本当に無賃労働を誇りに思っているのか?原作で描かれた彼らの価値観を確かめていきましょう。

①命令を無視できない屋敷しもべ妖精

考えてみてください。ドビーはしきりに「ドビーは悪い子!」と自らの頭をガンガン殴ったり、自分の指をアイロンにかけたりしていましたね。あの行動が、自分が望まない事であったのは間違いないでしょう。これは、マルフォイ家からの「自らを罰し続けよ」という命令によるものです。

ここから私の妄想が入るのですが、これには一種の契約のようなものが介在していると考えています。いわば、破れぬ誓いに似たものです。
主人が命じたことは、実行しなくてはならない。そういった呪い・契約が、屋敷しもべ妖精と魔法使いの間には結ばれる、そう考えることができるのです。
ちなみに、マルフォイ家から解放された後も、ふとした時に自分を罰しようとするシーンもありました。この命令は強固なものであったと考えられるシーンでしょう。

②クラウチ家にクビにされ、自堕落になってしまうウィンキー

ハリー達、そして読者がドビー以外の屋敷しもべ妖精と出会うのは、炎のゴブレットでした。クィディッチワールドカップにて、高所恐怖症なのに一番高い席に座っているクラウチ家に仕える屋敷しもべ妖精、ウィンキーと出会います。しかしまぁ、なんやかんやあり、ウィンキーはクラウチ家から追い出されてしまいます。
再会は思ったよりもすぐでした。ドビーと共にホグワーツに雇われたウィンキーは、バタービールで酔っ払いまくって全く仕事をしていませんでした。
ただそこに事実としてあるのは、クビになった事を悔やみ続け、前の主人を思い続ける姿でした。
ハーマイオニーはそんな彼女に「貴方は自由を勝ち得たのよ」みたいな事を言いますが、ウィンキーはこれに憤慨します。誇りを傷つけられたのです。

③ホグワーツの屋敷しもべ妖精の振る舞い

ホグワーツにも屋敷しもべ妖精がいるという話をしました。ハリーたちが談話室零したバーティ・ボッツの百味ビーンズや、どこかでドロドロに溶けてしまっているカエルチョコなんかは屋敷しもべ妖精が掃除していたわけです。
しかし、ハーマイオニーのS.P.E.W.の活動により、グリフィンドールの談話室の掃除はドビーしかやらなくなってしまいました。
S.P.E.W.とは、ようは屋敷しもべ妖精を全員ドビーみたいに扱おうよ!みんな酷いよ!と言うことを発信している団体です。(加盟メンバーは一人)
ハーマイオニーは、自分で編んだ靴下やマフラー、帽子なんかをグリフィンドールの談話室のあらゆるところに隠し始めたのです。これは洋服の贈呈にあたると判断した屋敷しもべ妖精達は、グリフィンドールの談話室を掃除するのをボイコットしました。
どういうことかと言うと、会社で働いてる時にそっと「お前はクビだ」と書かれた紙がランダムにたくさん置かれるようなものです。本当にクビになるわけじゃなくてもかなり腹立ちますよね。屋敷しもべ妖精達はそういった価値観を持っている者が多い(というか、作中で描写された屋敷しもべ妖精はドビー以外全員)ということです。
ちなみに、ドビーが給料と休日を受け入れてもらえた、と自慢げに話したシーンで、他の屋敷しもべ妖精はドン引きしている描写もあります。決定的に、ドビーは他の屋敷しもべ妖精と比べて異常なのです。

じゃあなんでドビーだけ異常なの?

そうですよね、そこが気になりますよね?私も気になります。
そこで私はこう結論付けました。これも一種の魔法契約によるものだと。
実はもう結論を話しています。その結論とは……。

ドビーは「自らを罰し続けよ」と命令された。

まず、ドビーは「自らを罰し続けよ」という命令通り、自らを罰し続けなければなりません。
しかし、罰というのは罪がなければ成立しません。
ドビーは自らを罰し続けるために悪い子になる必要がある。
屋敷しもべ妖精にとっての悪い子とは?ここまで言えばもうわかりますよね。

ドビーは「マルフォイ家の命令によって価値観を創り上げさせられた」屋敷しもべ妖精だったのです。

ハリー・ポッターのテーマの一つは「自業自得」

ハリーポッターという作品に共通したテーマは、「自業自得」だと思っています。ヴォルデモート卿が倒されたのもそうでしたし、アンブリッジも、ロックハートも、クィレルも、みんなそうですよね?自分の行いのせいで破滅する人が、ハリーポッターという作品には多すぎるのです。
秘密の部屋のトム・リドルも、自分が呼んだバジリスクの牙によって倒されましたね?では、マルフォイは……?そう、「自ら下した命令によって、自らの屋敷しもべ妖精に倒された」のです。そう考えると、すごく綺麗じゃないですか?

最後に

私の疑問、「なぜドビーだけが異常なのか?」に対する答えは「マルフォイ家の命令よるもの」という結論に行きつきました。
ハリー・ポッターの世界には「魔法契約」という概念があります。破れぬ誓いはその最たるものですね。
最近、YouTubeショートで「ドビーが死んだ理由」という動画が流れてきました。それは「ハリーが秘密の部屋でドビーを解放した後、『もう絶対に僕を救おうとしないで』と言う言葉に対してドビーが了解した。ここで魔法契約が結ばれたが、死の秘宝でドビーはハリーを救った為、命を落とした」という考察でした。
私もこの考察はかなり的を射ていると思いました。まだまだハリー・ポッターの世界には考察できる謎が残されているな、と思った次第です。

前回の記事、いいね等ありがとうございました!!普通に嬉しくて私の心はレヴィオーソされましたし、通知が来るたびに照れと嬉しさでインセンディオのように燃え上がりました。
最後になりましたが、長文・乱文・状況証拠ばかりの考察にも関わらず、お読みくださりありがとうございました!!

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