DOORS「L.A.WOMAN」
ドアーズはお気に入りのバンドだったが、レコードはベストアルバムと、このL.A.WOMANしか持ち合わせていない。
よりポップにというのか、それまでのドアーズとは趣かえてノリのいい曲が多く、いまだにカーステレオで頻繁に聴いている。
再生回数は、たぶんナンバーワンだろう。
このレコードで見直したドアーズ。遅ればせながら過去作をぼちぼち漁ってみようかと改心した途端、ボーカルのジム・モリソンがパリで客死してしまい、その気は萎えた。
その1971年から数年経って、モリソン抜きの3人が「フル・サークル」だったかを発表した。
そのころ多摩墓地から省線乗り継ぎ、畑を抜けて川崎まで出かけ、夜勤でレコードジャケットの裏貼りのバイトしていて、そのアルバムを担当した覚えがあるが、気持ちはそそられなかった。
果たして何枚のアルバムの裏が、わが手によって汚されたのか覚えてはいないが、中にL.A.WOMANならぬマリリン・モンローのヌードがあって、さすがにこのときはそそられて、ハートに火を点けられたごとくハッスルしたものだった。
早くこの裏貼りのミニポスター、部屋に持って帰って…。
そればかり考えてモンローの裸体、つぎへつぎへとジャケットに貼ってましたっけ。(笑)
やっと作業終わって、残った裏貼りを何枚かくすねて、暗い夜の土手道を歩いていると、突然呼び止める声があって、さては幽霊かと怒髪で天を突きながら振り返れば、同じバイト仲間。
彼は申し訳なさそうにこういったのだった。
「そのポスター、売ってくれないか?」
10枚はあったろうか、それもくすねたもの。ただでやればいいものを、自分の喜びを換算してもらいたくて、値段尋ねていた。
彼が提示した値段は存外高くて、たしか500円。
たぶんプレイボーイが買えたのではなかったか。
「いいよ500円で」
こうして闇夜の土手道で、怪しい交渉が成立。
アワを掴んだ濡れ手で、その夜は他のものを掴んでいたことはいうまでもない。