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配電系統の高調波問題について

本記事では、高調波という問題についてまとめていきます。

そもそもどんな問題か

ご存知のことと思いますが、世の中の電気は交流方式で送電されています。本来、交流の電圧は、正弦波の形をしていて、整った波形が繰り返されるものです。しかし、高調波というものが発生すると、この波形にゆがみが生じ、様々な電気機器に障害(機器の過熱や焼損の発生。場合によっては消防が出動する事態もある。)を起こします。これが高調波の問題です。

高調波の発生原因

多くの場合、高調波は、電気機器内に組み込まれた力率改善用コンデンサの直列リアクトルで生じているようです。日本電気技術者協会によれば、高調波障害の発生のうち、上記力率改善用コンデンサの直列リアクトルで65%、コンデンサ本体で25%であり、合わせて90%程度を占めているようです。

この問題は、パワーエレクトロニクスの普及とともに生じはじめ、1970年代後半ごろから顕在化しました。

高調波環境目標

現在では、対策として、電気機器の設計にあたって、電圧波形歪み率を特高系で3%、6.6kV配電系で5%以下に抑えることを、高調波環境目標として定められています。この目標を満たす企画として、JIS規格(JIS C 61000-3-2:2005)が整備されており、メーカーはこれを遵守する必要があります。

高調波発生防止の対策法

高調波問題は、多数の電気機器が加害者とも被害者ともなりえ、因果関係が複雑に絡み合っているため、発生原因を1対1対応で特定するのは難しいとされています。

1.長期的な観点で高調波環境目標レベルの順守
技術的・経済的に公平な対策として、
・汎用機器は、生産段階で対策を行うこと
・個別要因の強い特定機器は、新設時等に対策を個別検討すること
等が重要といえます。

2.機器の高調波耐量を環境目標レベル以上とすること
1.で各機器が、環境目標レベル以内の高調波発生量とする努力をしますので、各機器の高調波に対する耐性を環境目標レベル以上とすることで、障害の防止を図ります。

3.第5調波を中心に諸々の高調波低減対策をとすこと
電力系統の高調波の中で最も多いのが第5調波(次点で第7調波)といわれています。力率改善用コンデンサの場合、6%の直列リアクトルは、第5調波の抑制に有効とされています。製品や設備の設計、生産・新設時に、こうした主要な高調波を抑える対策を施しておくことが重要といえます。

終わりに

パワーエレクトロニクスとは、つまるところ半導体です。地球温暖化対策において、省エネ機器の需要はさらに高まると考えられ、半導体を用いた電気機器は、今後も増加していくことでしょう。同時に、高調波問題についても、これからも対策をし続けていく必要のある問題といえます。

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