地中埋設ケーブルの事故点測定
本記事では、地中埋設ケーブルの事故点を測定する方法についてまとめていきます。
マーレ―ループ法
出典:https://jeea.or.jp/course/contents/04107/
故障点が断線していない時、かつ、健全相がある場合に適用できる方法です。ケーブルの抵抗値がケーブル長に比例する原理を利用します。
故障相と健全相間の測定端側に検流計と可変抵抗器を設置し、相手端を短絡させループを形成します。これによって、ホイートストンブリッジが成立し、並行する抵抗値から事故点を測定します。
LFは測定端から事故点までの距離、aは平衡した抵抗値、Lはケーブル長となります。
測定精度は1%と高い精度での測定が可能です。
一方で、地絡抵抗が不安定な場合は、高電圧の印加によって、事故箇所の炭化させ、地絡抵抗の安定化を図る必要があります。しかし、安定化には長時間を要したり、安定化できない場合もあり、その際は、他の測定方法を取らなければなりません。
また、事故点が断線している場合は、適用できません。
静電容量法
静電容量が線路長に比例することを利用し、静電容量の測定によって故障点を特定する方法です。事故点が断線している時に適用可能です。
健全相がある場合の事故点LFは、
健全相がない場合の事故点LFは、
ただし、CFは測定端から測定した故障相の静電容量、CF0は相手端から測定した故障相の静電容量、CHは健全相の静電容量です。
測定の際は、測定しない相をしっかり接地し、無用な静電容量が混入しないようにする必要があります。
この測定方法も1%程度の精度での測定が可能です。
パルスレーダー法
地絡事故の起きた事故点はサージインピーダンスが変化します。パルスレーダー法は、故障相に繰り返しパルスを印加し、事故点でサージインピーダンスが変化していることによる反射をオシログラフで検出します。この往復伝播時間から事故点までの距離を測定します。
Z1は線路のサージインピーダンス、Z2は事故点のサージインピーダンス、e0は到来波、e'は反射波を指します。
測定精度は1~4%です。精度はマーレ―ループ法や静電容量法に比べ、やや劣りますが、断線の有無にかかわらず適用が可能です。ただし、事故点のサージインピーダンスが線路のものと近い場合は測定不能となります。