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無電柱化の目的と課題について

本記事では、無電柱化の目的と、推進する上で何が課題となっているかについてまとめていきます。

無電柱化の目的とは?

無電柱化によってどのようなメリットがあるのか、整理していきましょう。

都市景観の向上
言うまでもないことではありますが、無電柱化によって、空間に錯綜する電線がなくなり、都市の景観がすっきりしたものになります。

安全で快適な通行空間の確保
電柱は歩道に設置されていることが多く、元々狭い歩道では、自転車と歩行者がすれ違うのにも危険を感じる場所があります。そのような場所では、車いすの方が、電柱の横を通り抜けるのも大変です。

こうした状況を、無電柱化によって改善でき、安全で快適な通行空間を確保できるようになります。

地震・台風による都市災害の防止
地震や台風によって電柱が倒れると、人が下敷きになったり、周囲の建築物を破損したりといった被害を引き起こします。また、切れた電線の垂れさがりは、感電の恐れがあります。地震や台風そのものの発生は避けられないものですが、無電柱化によって、このような都市災害を防止することは可能です。

情報通信網の災害耐性強化
電線類の中には情報通信ネットワークも含まれています。前述のような自然災害による電柱の倒壊や電線の断線は、情報通信回線にも損害を与え、災害対応の阻害要因になりえます。

無電柱化によって、電線を地中埋設することで、こうした通信網の災害体制の強化も図れます。

無電柱化の推進における課題

海外と比較すると、日本の無電柱化率はかなり低いものとなっています。

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各国の無電柱化率
国土交通省Webサイトより引用

普及が進まないのには、課題が存在するためですが、無電柱化にはどのような課題が存在するのでしょうか。

敷設コストが高い
電線の地中化には、電線共同溝方式が主流です。歩道の地下に角柱状の筒(ボックス)を埋設し、そこに電力・電話ケーブルを通します。変電設備は地上に設置します。

この方式のメリットは、メンテナンスの容易さですが、コストが高く(ボックスが大きく、深く埋設しないといけない)、また、歩道が狭いと実施できないデメリットがあります。

これに対し、新たな方式である、浅層埋設方式(平成28年に浅層埋設基準が緩和され、可能になりました。)、小型ボックス活用埋設方式、ボックスを用いない直接埋設方式などが、コスト問題の解決に繋がると考えられます。

新設電柱による電柱増加量が多い
日本では、無電柱化を推進する一方で、道路整備や面整備によって、新たに電柱が増加(毎年約7万本)している現状があります。これでは、いくら無電柱化を進めても効果は限られたものとなってしまいます。

地域住民の合意形成が必要
無電柱化は地域住民の合意形成なしには進められません。特に、変電設備は地上に置く必要があり、炉幅の狭い歩道の場合、民地も含めた設置場所の検討をせざるを得ないケースもあるので、住民との合意形成は不可欠です。

占用制度の的確な運用
平成28年に無電柱化推進法という法律が制定されています。これによって、都道府県や市町村の自治体は無電柱化推進計画の策定と公表を義務付けられています。

その施策の中には、道路事業や面開発事業において、道路上の電柱新設の抑制、既存電柱の撤去の実施について、盛り込まれています。こうした施策が的確になされていけば、電柱の新設を抑え、インフラ更新時に老朽化電柱を撤去し、無電柱化する動きも進むのではないかと考えられます。

終わりに

近年、台風被害が重度化し、自然災害が頻発傾向にあります。こうした中、無電柱化の取り組みは、都市の災害に対する安全性を高める意味で、重要と考えられます。

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