新電力存続の危機
昨年末から今年の新年にかけて、電力業界ではちょっとした事件が起こりました。直接の出来事は、火力発電所の燃料(LNG)の不足です。そのおかげでおきたのは、電力価格の急騰でした。こんな感じで、通常の相場の10倍くらいの値段に跳ね上がりました。
出典:JEPX(日本卸電力取引所)
現在、電力は自由化され、旧一般電気事業者(東電とかです)でなくても、電力の取引・供給ができるようになりました。こうした小売電気事業者を新電力といいます。
新電力は、発電設備を持っていなくても、電力の卸市場で、余剰電力を調達し、顧客に供給することで、(電力価格が低価格で安定しているなら)旧一般電気事業者の電力価格より安く販売できるのです。
しかし、今回、通常の10倍水準の電力価格の暴騰状態が3週間ほど続きました。これによって多くの新電力は大打撃を受けました。ネットニュースを見ていると、発電能力を持たない新電力が、電力価格が安くなる前提で、無責任な料金体系で販売をしてきたのだから、自業自得だ、という論が散見されます。
そういう面も確かにあります。発電能力を持たない新電力が、国内に600社以上も乱立している現状は、健全とは言えないかもしれません。一方で、国内の発電能力の80%以上は、旧一般電気事業者が握っていて、彼らの意思次第で、新電力は、まさに塵や芥のごとく、一吹きで消し飛ばされるような力関係にあります。このようなパワーバランスも健全とはいえません。
LNGの不足は本当に、不可抗力だったのか。旧一般電気事業者に責任はなかったのか。悪意はなかったか。どうしても疑いの目を向けたくなります。旧一般電気事業者目線に立てば、今回の暴騰事件は、元々持っていた顧客のシェアを奪う、新電力事業者どもを一網打尽にし、さらに莫大な利益を上げたことになります。
今回は、さわりだけで筆を置こうと思いますが、真実がどこにあり、電力市場のあるべき姿は、今一度勉強して、後日、このテーマを掘り下げた記事を書こうと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?