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「K君と1000m走」
教員生活での出来事
エピソード4
このブログでは、教員生活40数年の中で、特に思い出に残っている生徒の話もしたいと思います。
体育教師としての思い出です。
個人の話になるので、イニシャルトークで進めていきます。
「K君と1000m走」🏃
今日はF中3期生のK君の話をしたいと思います。
教師2年目の2年5組で担任をした生徒で、とても真面目で努力家です。
この話は、「K君と1000m走について」です。
K君が2年生の時の出来事です。
まず、「1000m走」について触れておきます。
私自身が1000m走を初めて体験したのは、中3の時です。
中3の時にI先生が体育教師として赴任されました。
I先生はその後、F中で一緒に勤務する事になった先生です。
中3になった時に、いきなりl先生が1000m走をやり始めたんです。
グランドで授業をする時は毎時間です。
授業終了のチャイムが鳴っているのに、スタートする事もありました。
その1000m走は卒業するまで続きました。
毎時間しんどい思いをしなければならないので、生徒からは大ブーイングです。
I先生は体力をつけるためにやるという説明だけで、生徒からのクレームは全く受け付けません。
それが私と1000m走との出会いです。
F中に勤務することになって、体育の授業内容を教えてもらいましたが、1000m走があるんです。
グランドの授業では毎時間実施します。
I先生のやり方は変わっていなかったんです。
他の体育の先生方もやっていて、F中の体育のやり方なんだと理解しました。
年間トータルすると、生徒は1年間に40回ぐらい走ったと思います。
私も教師1年目から走らせましたが、確かに体力の強化には役立ちます。
トップレベルの生徒の目標記録は、1000m走3分切りです。
ここからがK君と1000m走の話になります。
私も1年目から他の先生と同じように1000m走をやっていて、2年目も続けています。
K君は学年で一番速い記録を出すようになっていて、ベストタイムは3分4秒です。
あと少しで3分切りが出来ます。
卓球部の所属で、走るトレーニングは普段はやっていないから、よく頑張っていると思います。
K君に対して、私は毎回3分切りを指示しますが、なかなか記録が出ません。
K君は2年生学年トップの自覚があって、必死で3分切りにチャレンジします。
真面目な性格の生徒だから、3分が切れないと毎回、可哀想なぐらい落ち込みます。
私はどのように指導したら3分が切れるのか、考えますが答えは見つかりません。
ある日、1人で梅田に映画を観に行きました。
「マイ・ウェイ」というマラソンに関連する映画です。
簡単に映画について説明しておきます。
父親と息子がいて、普段は仲が悪いんだけど、2人でマラソン大会に出ることになります。
何故、2人で出る事になったかについては省略します。
映画では走るシーンが沢山出てきて、ゴール前のラストシーンでは、仲が悪かった2人が励まし合いながら走り、その結果優勝するという映画です。
特にゴールシーンでは、とても感動しました。
私はその時に、K君の事を考えていました。
そして、この映画がK君の3分切りに結びつく、何かヒントになるような気がしました。
と同時に、K君がこの映画を観たら刺激を受けて、3分が切れると思ったんです。
K君は性格が真面目で結構単純な所があるので、ひょっとしたらという思いです。
次の休みの日、2人で映画を見に行きました。
前日に「マラソンの映画で、とても感動するよ」と言って誘いました。
行ってくれないかもしれないという思いもありましたが、大丈夫でした。
担任の誘いだったから、行く気になったんでしょう。
映画を観終わった後、K君は私の予想通り凄く感動していて、明日の1000m走は、絶対に3分を切ると断言していました。
次の日の体育の授業です。
スタート前のK君のようすですが、今まで以上に3分切りに燃えている感じです。
1000m走がスタートしました。
スタート直後のスピードは今までとは全然違っていて、100mを走るような感じでK君はとばしています。
他の生徒達も、必死でついて行きます。
1周ごとのラップタイムは、いつもよりかなり上回っていて、K君が私の前を通過する時は、声援にも力が入ります。
ラストスパートでもスピードが落ちず、ゴールしました。
タイムは2分58秒でした。
ストップウォッチのタイムを読んだ時の感激は、今でもよく覚えていて、私はとても興奮していました。
私にとっては、1000m走3分切りの最初の瞬間だったからです。
思い通りの結果が出て、中学生の指導って面白いと思いました。
その後の1000m走ですが、指導のコツがわかったようで、F中時代の12年間で3分切りの生徒は何人も出ました。
何か漫画みたいですね。
K君の話はこれぐらいにしておきますが、K君がこのブログを読んでくれたら嬉しいです!。