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Appleオフィシャルルール『生涯“iPhone SE”縛り』

 iPhoneやMacで知られる"Apple"。
 この世界的大企業の内部で1番大きな権限を与えられた人物である所謂「最高経営責任者」が、まるでその辺にいる凡庸な学生さんが自分で思い付いた麻雀のローカルルールを語る時と同じような軽率なノリで
「こんな変わった縛りがあったら、おもろいんちゃうん」
という、ある「決め事」について、ある日ハッと思い付ついた。
 凡庸な学生さんのそれとは違い、多方面に与える影響力がまるで違うーーそんなアイデア。Apple最高経営責任者は考えれば考える程気付かされる、そのアイデアの価値の大きさに。
 まさにそれを思い付いたその翌朝、血相を変えまさにテンパって落ち着きを失い、最高経営責任者にとっては南四局オーラスに大逆転を狙える倍満リーチの宣言に等しいとおぼしき
「緊急発表がある」
との宣言がApple本社屋上でなされた、まるで千点棒が本当に供託されそうな勢いで---。

 単なるせっかちの域を遥かに逸脱。発表時刻は最高経営責任者が自らの宣言の12時間後とした。ただならぬ事が起こる予感をそこにいる全員に感じさせる発表の時刻まで残り8時間を切る。最高経営責任者にとって、この発表は一刻を争う程早くすべき重要な内容なのであろう。早く発表をしたいという最高経営責任者のその表情は、まるで渇望感に必死に耐えているかのようである。
 可能な限り全てに近い世界各国の報道各社やメディアの腰巾着を最高経営責任者は自ら自宅の喫煙ルームに呼び出した。
 ……ついにどれ程重要な内容かが明かされる。その場を支配する緊張感は、革命前夜のようなムードも含まれていたと言う。

 やっと落ち着きを取り戻したが、重々しい表情。Appleの最高経営責任者である本人による緊急発表がいよいよ始まる。
 「Appleの“オフィシャルルール”を全iPhoneユーザーに課す運びとなった」
と簡単に説明したのち、その概要として、こんな事を最高経営責任者は述べ出した。
「既にSEを選んでいるiPhoneユーザーはもちろん、今後新たに一度でもiPhoneの機種でSEを選んだユーザーは、その後死ぬまでiPhoneの機種はSEのみしか使うことを許されないものとする。たとえ10年もの間、次世代SEが発売されず、OSのサポートが切れても、iPhoneの機種は現存するSEで耐え凌ぐこと。他のiPhone機種に浮気しようもSEユーザーにだけはAppleは総力をかけて徹底差別する。SE以外のiPhone機種の値段を、他の機種のユーザーの1000倍以上という暴利に設定する。Apple Storeのみならずメルカリ・ラクマや白ロム専門店等でもそうなるように徹底的に働きかける。別のSEに機種変するまでは、同じSEをジャンク品になるまで使い倒して頂く。機種変するなら、またSE。あるいはジャンクとなるまで…このどちらかである。Android?知らんな」

 Apple関係者や報道記者達の悲鳴に近いざわめきの中、最高経営責任者はそのルールを突然ユーザーに課す最も肝心な「理由」については次の一点しか明らかにしない。質問にも応じない。Androidの存在についても黙秘。真剣な眼差し。最高経営責任者、本当に理由はたった次のこれ「だけ」のようである。

 最高経営責任者は、このルールをユーザーに課す理由としてこう述べる。
「何故かこのリーク情報は全く存在しない。ゆえに不本意ながら、カミングアウトの形になるが隠していた訳ではない。正直に申し上げて私は世界最大級のS、サディストである。特別にこれも明かすがiPhone5sやiPhone6sの「s」も私がSであることの暗示だったのだ。誰もそれに気付かなったのは、正直残念だったが、私は自分がSであるアピールを暗黙的にして来たのだ。そこまでSを自認しそれを暗に商品名で示す程の私にこのルールは、世界中にiPhone関連で苦しむユーザーがかなりの数出現する事になる事は容易に想像でき、どう考えても俺得。俺得となるルール。それなら有って当然のルールと、昨日風呂入ってる時気付いた。非常に俺得。だから今日、このiPhoneユーザーを苦しめるという私個人の欲求を満たす為のルールを急遽作る事となった。今この瞬間からAppleとiPhoneユーザーとの間にはこのルールが存在する。厳格な眼差しで、このルールを守らざるを得ず苦しむSEユーザーに私はさらに追い討ちを強化させていきたいと考えている。寝耳に水?後付けルール?知らんがな。Androidに移行する?ふん、今更出来まい。以上だ」

 従業員数13万人以上。世界企業として名高いApple。そんなAppleの社運に大きく関わる極めて重大な決め事をAppleの最高経営責任者は平然と、一人で、誰に相談する事もなく、勝手に、私的欲求を満たす目的のみで、決めてしまう。Apple内外で史上最大のサプライズと言えよう。

ーーー以上は全てこの記事の筆者による作り話であるが、「そんなルールの設定は有り得ない」と誰が否定できよう。一寸先は闇であるからには、これは可能性として十分に有りうる話である。

人を驚かす企業。それがAppleであるのだから。

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