〜人類がやっと辿り着いたカラダの秘境〜「あの部分」に触れる唯一の方法
いつもとはわけが違う。
わたしはものすごい使命感で、このコラムを書きはじめる。
なぜなら私のこの文章により、今後、どれほどの人類が、自らのカラダの、あの、たった一部に触れられることができるのか、決まると言っても過言ではないからである。
はじめに言っておくが、答えは無印良品にある。
自分が住んでいる近くに無印良品がなくて、一週間以内に行く事ができない人は、これを読み終えたとき無印良品にすぐに行けないストレスでおかしくなってしまうと思うから、どうか無印良品の近くに確実にいく予定がある直前に読む事をおすすめする。
3年くらい前だったと思う。
脚本家の友人から、「手放せないものがある」と言ってあるものを見せられた。それをひとついただき、使用してみたら、私の中の第三の窓が開き、崩れそうになる程の衝撃的感動を味わった。
手放せないものなら、わたしにも少しはある。
・ジョンマスターのリップバーム(まじ最強。くちびるがナメナメちゅん)
・フィリップスの電動ハブラシ(3万くらいするけどツルツルさわ〜)
・ジョンマスターの乾いた髪につけるトリートメント(髪がしゅんしゅん)
・リファカラット(これはもう顔が変わり果てるくらい引き締め変身ちゃん)
この4つだ。
だけど今日ご紹介するある物は、手放せないどころの騒ぎではない。
出会わないまま死んでいたら、カラダに怒られてた。
ご紹介します。
それは、
【【【【【【無印良品の、細軸綿棒です。】】】】】】
繰りかえすが、はじめて使ったとき、膝からガクっと震えあがり崩れ果てるほどの衝撃だった。
耳の、奥の、さらに、奥の、さらなる奥。
まさに生きては帰って来れない山道と滝と獣道と坂と崖と猛獣との戦いとマグマの上とサバンナと豪雪地帯とトンネルを超え果てて、奥の奥に進み、
やっと、やっとの思いで辿り着いた、そんな、一度も、一度も触れた事もない、その場所に、"ふぁっ"と、辿り着いてしまう。
わたしはいままでこんな場所が、こんな、秘められた場所が、あろうことか、自分のカラダのなかに、あるなんて、30年弱生きて来て、そんなこと思ってもみなくて、カラダの中で、こんな、触れられるのを何年も待っていた箇所があったなんて、そんなことって、苦しくて、切なくて、でも、もうやっとめぐりあえて、だから細軸綿棒買い占めた。
わたしの、知らないわたし。
はじめての音楽をきいたとき。
はじめての誰かにあったとき。
はじめての景色をみたとき。
はじめての味覚をかんじたとき。
はじめての文化に触れたとき。
はじめての、はじめての、はじめての、が、知らないわたしを見せてくれることは何度もあるかもしれない。
でもそれはタイミングや運や、コンディションや気持ち、あらゆることがぴったりしていないと、出会えないわたし。
だけどこの細軸綿棒はなんの条件もいらない。
ただ、手にとり、耳に、そっといれる。
いつも綿棒や耳かきをいれている範囲までいったあと、深呼吸して、
すこしだけ、そっと、やさしく、
【その奥】に、足を踏み入れてみる。
恐れないで!
大丈夫。ゆっくり、慎重に。丁寧に、自分を信じて。
いままでやってきたこと。はじめて顔をつけれたプール。
はじめて補助輪を外せた自転車。はじめて勝った試合。
はじめて覚えた洋楽。はじめて夢中になれたあの子。
はじめて知った痛み。はじめて感じた責任。はじめて感じた、一生かけて、守っていきたい、ささやかな愛。
あなたはいままでも、いろいろなはじめてを、
ほんの少しの勇気とともに、手に入れてきた。
大丈夫。
そっと、触れてみる。
その場所は、間違いなく限りなく、秘境。
あなたは心のなかで、こう言うはず。
はじめまして。こんな場所。
はじめまして。こんな場所に触れてしまった自分。
こんな自分に、触れられてしまった、あたらしい自分。
2016年!
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【2016年1月からスタート!】
【いま、cakesで連載してます!!!!!】
メンヘラ・ハッピー・ホーム スイスイ
初回→https://cakes.mu/posts/11878
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