全日本吹奏楽コンクール中高、表彰式の後で感じたこと
先日、第72回全日本吹奏楽コンクールの中学・高等学校の部が終わりました。
どの団体も本当に素晴らしい演奏を披露しましたが、皆さんもご存知のとおり、ここには金・銀・銅の評価がつけられます。全国大会まで厳しい練習を積み上げてきただけに、結果に対する出場者の心の揺れも大きなものがあります。
大学生や大人であれば、どんな結果も冷静に受け入れられるかもしれませんが、中学生や高校生にとって、望んでいた結果にならなかった時のショックは大きいようです。実際、いくつかの学校を取材し、そういった場面を何度も目にしました。
「残念だったかもしれませんが、本当に素晴らしい演奏でした。この舞台に立てただけでもすごいことです」
と、私も皆さんと同じ気持ちで思いましたが、いざその場に立つと
「かける言葉が見つからない」──そんな空気がそこにはありました。伝えられるのは「いい演奏だった」という精一杯の言葉くらいです。
こうした時、外の人間にできることは本当に限られています。結局のところ見守ることしかできないのです。たとえば強引に「こんなのは長い人生の一瞬だ、落ち込んでどうする!」などと言っても、きっと本人たちには響かないでしょう。たしかに長い目で見ればそうかもしれませんが、今感じている気持ちはそう簡単に和らぐものではありません。
本当に大切な場面での気持ちの整理や納得は、結局は自分たちで見つけていくしかありません。そのためにはある程度の時間が必要でしょう。もしも外から無理に気持ちを切り替えさせてしまうと、その感情にしこりを残してしまうかもしれません。例えばプロを目指す道で家族や友人に言われて諦めた人は、どこかでずっとそれを引きずるかもしれません。どんな結果であれ
「どこで自分がやり切ったか」を判断できるのは、結局は自分自身なのです。
こうした考えは、一見冷たく感じられるかもしれませんが、私としてはこれまでの経験と、その瞬間に感じた正直な想いです。
どうか今回の結果が望んだものでなかったとしても、それがいずれ振り返って「良い経験だった」と思える日が来ることを願っています。