質問コーナー : マーチングコンテストに指揮者を置くのはアリ?
Q.
マーチングコンテストに関しては
吹連、M協どちらの大会でも共通して
疑問に思っている事があります。
それは「指導者が指揮をする団体がある」事です。
本来マーチングではドラムメジャーが指揮を
するものであり、それ以前に学生の団体にプロ
(収入を得ている)が参加する事自体
理解出来ません。 他の競技にも指導者が
監督として参加する場合もありますが
(当然競技自体には参加しない)、
吹奏楽における指揮者は競技自体に参加する
だけにそれら以上に大きな意味があると思います。
当然指導者が変われば音も動きも変わります。
それらを評価するコンテストにおいて指導者が
指揮をとるのはどうなのでしょうか?
高い金を払って良い指導者、指揮者を雇えば
金賞? 個人的には
「指導者による指揮は原則禁止」
「指導者が指揮する場合1人につき10人メンバー減」
とかのルールが必要だと思います。
何よりもそういった団体でも、形式上
ドラムメジャーを置いている事が気になります。
ドラムメジャーを色物や飾りとして扱っている様で。
そのあたり耳さんはどう考えているのか気になります。
※一部文章を変えています
----------
A.
まず指揮者についてですが、
私が全日本マーチングコンテスト(吹連)と
マーチングバンド全国大会(M協)の
2大会のどちらも見る感じ、
指揮は顧問の先生が行うか、
学生のドラムメジャーが行うかのどちらかで、
プロの指揮者が担当することはないように
思います。学生バンドの場合はあくまで
その学校関係者が指揮をしているようなので
「プロ」ではないです。学校の先生は
経験の差はあれどアマチュア扱いになります。
外部トレーナーがどこまで関与するべきかの
点については、ここで始めると話が
まとまらないので飛ばします。
そして
「指揮者がいるとドラムメジャーの役割が
なくなってしまうのでは?」という点に
ついてですが、私としては
マーチングの大会に指揮者を置くことは
「ドラムメジャーの負担を軽くするため」
だと思っています。ドラムメジャーは
元々パレードの先頭に立ち、
テンポを指示したり方向転換の指示を
行うのが役割だったのですが、
現在のマーチングの演奏・演技は昔に比べ
はるかに高度なものを要求しています。
テンポは本来演奏されるマーチのように
一定したテンポではなく、変拍子なんかも
バンバン出てきますし、隊列の動きも
複雑になっています。そのうえ高度な
バトントワリングまで要求されるのが
今や当たり前になっているのに
指揮をするというのはあまり現実的では
ないと思います。このへんはバンドごとに
どんな表現をしたいのか、
どこまで生徒だけでやらせたいのかによって
自由に選択している印象です。
さらに初心者のバンドや小中学校の
若いバンドでは指揮者がいないと演奏・演技を
続けることが難しいケースもあるでしょう。
これにもし「指揮者は置いてはいけない」という
規定を作ると、上位バンドも含め演奏・演技の
表現の幅は狭くなるため正直
「かなり地味」になると思いますし、
減点の規定を作ると初心者バンドはかなり
きついと思います。
そうなるとおそらく参加をためらうので、
長い目で見ると参加団体は減少していく
可能性が高いです。
マーチングコンテストはショーとして楽しみに来る
観客も多いと思うので、その点も考えると
競技性が強くなったコンテストに通い続けて
もらえるかというと、そのへんも難しそうです。
やっぱりお客さんに観てもらわない限り発展は
望めないと思います。
高度な評価を競う点に注目すれば
おっしゃる点はたしかに気になりますが、
ほかの視点で見れば今の規定は
どちらの大会を見ても
ドラムメジャーの負担を軽くしている
初心者バンドに対して手を差し伸べている
多彩なマーチングの魅力を観客に楽しんでほしい
という解釈もできると思います。
規定の厳格化やペナルティを設けると、
一定の公平性は担保できるかもしれませんが、
それが大会全体にとって必ずしもプラスに
なるとは限らないという点も考慮すべきです。
歴史のある規模の大きいコンテストの
ルールについては、その時代ごとに
どんなバンドがいて、どれくらいの団体がいて、
どんな表現があるか、どれくらいの予算があるのか、
そのときの実行委員たちがどんな意図で
大会を運営したいのか、などさまざまな点を
見ながらマイナーチェンジしていくと思います。
私も様々な視点を持ちながら今後の動向を
チェックしたいと思います。
耳