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水素と人工光合成の過去・現在・未来

◆なぜ水素か?

脱炭素近年非常に話題になる「水素」
なぜ良いかと言えば、CO2排出がなくクリーンに、電気が作れるからです。燃料電池を用いると、水素と酸素から電気と水を作れます。

◆では、どうやって水素を作るか?

それは燃料電池の逆の反応です。
水を電気分解することで、水素を取り出す事ができます。

◆水素生成の問題と現況の概要

ただ、これまでは水素を作るプロセスで、CO2を排出する事が問題視されていました。
それは、水を電気分解する際の電気を、天然ガス(化石燃料)から作っていたためです。
しかし、昨今は再生エネルギーで得た電気で水を電気分解し水素を作る事が実用化される様になり、この方法が本命視されてる様に思います。
(ちなみに、化石燃料から作るとグレー水素、再エネから作るとグリーン水素と言ったりします。)

◆人工光合成とは?その魅力とは?

加えて、ゲームチェンジャーとなり得る未来技術として、人工光合成というものがあります。
私もこれに最も注目してます。なぜなら、実現すれば、非常に安価に水素がつくれるからです。

人工光合成では、電気を用いません。
地球上に多くある太陽光の可視光とCO2と水から、光触媒を用いて反応させることで、水素を取り出します。
厳密には、水素ではなく、貯蔵や輸送しやすいギ酸やアンモニウムとして取り出すケースが多いです。

◆人工光合成のいま

この技術は現在進歩の途上です。
今年4月に、豊田中央研究所が、36cm角のセルで世界最高の太陽光変換効率7.2%を実現し、大きな話題を呼びました。2011年の世界初の0.01%、2015年の1cm角で当時世界最高の4.6%を出した事と比べ、大きな進歩でした。

しかし、商用化するには10%を超える必要があると言われています。
これを実現し商用化に至る時期は、2030年とも2050年とも意見があります。
この分野の研究は日本が強く、NEDO・東京大学・信州大学・大阪市立大学・富山大学・豊田中央研究所・三菱ケミカル・東洋エンジニアリング・TOTOなどが取り組んでいます。
反対に、実際に早期の商用化は無理と考えパナソニック・マツダなど研究をやめる企業もあります。

◆人工光合成研究の注目ニュース

ただ間違いないのは日進月歩で研究が進んでいることです。
・昨年4月に大阪大学がアンモニアを生成する新たな光触媒技術の開発
・昨年10月に産総研が、水ではなく海水を用いる事を可能にする触媒機構の発見
・昨年から大阪市立大と飯田グループホールディングスが沖縄県宮古島が人工光合成ハウスの実証実験中
など注目の話題は多いです。

そして今週(2021年6月20日~26日)も、
・光触媒に強みを持つ富山大学と、水素取り出しに強みを持つ東洋エンジニアリングの共同研究開始
・北海道大学による、全可視光に対応可能な光電極の開発
などのニュースがありました。

◆さいごに

実現すれば、地球上の資源からクリーンかつ無尽蔵かつ安価に水素を作れるとあり、今後も引き続き注目していければと思います。

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