食好き女の高知2泊3日一人旅①



9月初旬、無性に1人になりたい衝動に駆られた。 

いや別にいつも1人なんやけど、
なんやろ。家帰る為に電車乗ってたけど、このままどっか遠くに行ってしまいたいなって目を瞑る感じと似ている。

とりあえず今自分を取り囲んでいる現実から逃げたかったんやろうな。
物理的にも一旦東京から離れたかった。

すぐさまいつも持ち歩いているノートに綴られていた、やりたいことリストに目を通す。
これはコロナ禍、緊急事態宣言中に世の中が落ち着いたらやろうとしていたことを綴っただけのものである。

そこに書かれていた「高知に行って鰹のタタキをたらふく食べる(日本酒も)」に
これや!!!と頭が冴えた。

2ヶ月以上も後の予約だったので、飛行機はいつにも増して格安。格安航空な上に格安。
往復で13,000円。浪費家にはありがたい。
すぐさま予約した。

飛行機を予約してからは毎日がカウントダウンだった。どんなに嫌なことがあっても高知行くまでは死ねないと本気で思っていた。飛行機代ももったいない。

楽しみとはいえ、どこに行こうとか何をしようとかは一切考えなかった。計画を立てるのはめんどくさい。ただカツオをたらふく食えたらいい。

つまりカツオに生かされていた。食い物はすごい。私にとって食い物はそれほどまでに命綱だった。
カツオ以外でもうまい食い物を食える旅にしようと心に誓う。



そして旅行当日の朝7時半、起床。
衣服くらいで特に準備するものもないが、朝は苦手な私でも初めての一人旅に流石に早く起きてしまった。

そこから約2時間半かけて成田空港へ向かう。
成田空港に行くのは記憶を辿る限り多分初めて

しかし空港に向かう道中、急に焦りが追いかけてきた。

そういえばどこに行くか決めてなかったし、なんなら宿も決めてない……

ネカフェか別に野宿でもいいとは思っていたけど、今こんなにもワックワクで高知でうまいもん食って飲んでウッキウキになるはずやのにほんまにネカフェでええんか?野宿でええんか?

すぐさま「高知 激安 宿」で調べる。

3,000円の宿がヒット。
内装もベッドと小さい机だけのシンプルなつくりやけど全然OK。駅からも歩いて行ける距離。
よし、ここにしよう。即決でネット予約した。

予約した後にはっとする。
あまりにも安すぎひんか……?

いくら地方のホテルとはいえ、3000円て。
私の知識不足かもしれないが、そんな安いホテルは聞いたことない。

殺される?

口コミをみてみる。
「フロントの方が最悪すぎる。車に乗ってきたらキレられた。二度と行きたくない」
「部屋にGがいた。」
「給湯が23時で終わる為、それまでにお風呂に入らないといけない」
「アメニティが一切ない」
「フレントの方が無愛想で女の人に厳しい」
など、辛辣な口コミで溢れかえっていた。
中でも多かったのはフロントの方への口コミ。
どうやらかなり愛想がなく、何かあるとすぐキレるらしい。

怖い、怖すぎる。
そんな人フロントしちゃダメやろ

Gとかお湯とかアメニティはまだなんとかなる。
でも人間関係ってのは1番大事。
旅の良し悪しはここで決まると言ってもいい。
とにかく怒らせないようにしよう。

それに私は幸いにも現在、ビジネスホテルのフロントでバイトをしている。
フロント側からみて、こんな客はホスピタリティマシマシしちゃうを熟知している。
思わずホスピタリティマシマシしちゃうような客を演じよう。

ホテルも決まったところで、行く場所も決めなければ。

「高知 観光」で調べる。
ひろめ市場という、とれたてのカツオだけでなく高知の海産物を味わえる有名な市場があるらしい。
まずはここに行くしかない。

もうひとつ屋台安兵衛という高知名物の屋台ギョーザを味わえる店があるらしい。

最高すぎる、もうニヤける。
こんなんうまいに決まってる、決まりきった演出が大好きである。

うまいラーメンとか食いたいな。
どうやら鍋焼きラーメンが有名らしい。
ここも行こう。

場所はこれくらいでいいか、また後で決めよう。
ギリギリになって焦り出す、隅から隅まで私の人生すぎる。

そんなことを思いながら成田空港までの電車の中、私は目を瞑った。


空港第2ビル駅に着き、第3ターミナルまで歩く。
平日の時刻は11時くらいだったが、観光客やビジネスマン達、海外の方がゾロゾロいた。

昔から私は空港が大好き。大学生になるまでの夢は空港で働くことだった。
色んな価値観、異文化で育った人々が一つの場所に集い合う空港に私はワクワクして、ずっと触れていたいと思ったからである。

国際空港自体に来ることがあまりなかったため、今回成田空港に来れたのはかなり嬉しかった。
高知の下調べはしなかったくせに、成田空港のターミナル地図はしっかり下調べをしていた。
美味しいお店はないかとか、落ち着ける場所はないかとか。

だから早起きをして、早めに成田空港に着いておきたかったのである。

成田空港に着いて、しばらくターミナル内を散策。行きたい店は元々あったけど、高知で発散する為に我慢するんだ、と誓っていた。
でも気づいたらターミナル内にあった、讃岐うどんを啜っていた。


だから私はずっと金が無い。

うどんうまいうまいと啜っていたらあっという間に搭乗時刻になった。
そこでチェックイン手続きをし忘れていたことに気づく。
慌ててチェックインを済ませに走った。
こんなところも私の人生すぎる。
すごく悲しかった。


荷物チェックも済み、飛行機に搭乗。
座席は狭かったけど、1時間15分やしまあ大丈夫だろって感じ。
それにしてもなんで家から空港行くよりも、空港から高知行く方がはよ着くねんは永遠の疑問やし、飛行機ってすごいなーって改めて思う。


飛行機が飛び立つ瞬間、腰がふわっとする。
あの感じ、くすぐったくて気持ち悪くて怖ってなるけどあれたまらんのよな。
気圧の関係で耳が詰まった感じになって痛くなる現象も不愉快やけど嫌いじゃない。
旅行してる!って気分に一気にさしてくれる。

機内ドリンクによくあるコンソメスープが大好きなんですが、今回は格安航空ということで有料。
諦めました。

そんなこと考えていたらあっという間に高知に到着。

空気がおいしい。ああ高知に来たんや、私!

坂本龍馬が到着を迎えてくれた。

私は日本史が大好きなので、今回の旅は土佐の歴史などにも迫っていけたらなと片隅にはあった。
本命はカツオやけど、高知にしたのは歴史的にも面白い地域だからである。

高知空港から高知駅までバス移動。
空港周辺は本当にのどかで田んぼが辺りを覆っていた。いいとこなんやろな、なんだか実家に帰りたくなってしまった。

30分の移動をし高知駅に到着。
ホテルも行きたいお店も高知駅周辺にあるのでちょうど良い。

べろべろの神様となるこが到着を迎えてくれた。

高知は飯がうまい、それはイコール酒も進むっちゅうことや。とことん飲もう。

時期が合えばよさこい祭りの季節にも訪れたい。

高知といえば路面電車が走っている。
今回は残念ながら乗らなかったけど、何回見ても車と電車が共存しちゃってるのはワクワクするね

三銃士も迎えてくれました。

朝バージョンと夜バージョン

早速ホテルへ向かう。
チェックインは16時。
ちょっと早めに駅に着いてしまったので、ピッタリにホテルに着けるようにゆっくり景色を楽しみながら向かう。
早く来すぎてフロントの方に怒られたくないからねえ

ホテルに行く最中にアンパンマン達がパレードしてた。
メインキャラじゃないキャラは小さめなのが少し気になった。
今回高知に来るのは2回目。
小さい頃に高知のアンパンマンミュージアムに行った記憶がある。

あと、写真は撮ってないけど、
はりまや橋っていう好きな人と渡ると恋人になれるみたいな橋があった。改装中だった。

歩いて15分ほど。いよいよホテルに到着。時刻は15時50分。まあちょうどいいか。
普段は喫茶店やってますみたいな入口がフロントだった。
おばあちゃんがやってくる。
この人が例の……

「こんにちはー!」と笑顔でハキハキ挨拶する。
こういうのはビビっちゃいけない。
こちらがビビるから相手も警戒するんや。
所詮皆動物。怖くないよ~の姿勢で向き合う。

「予約していたふるかわです」と述べると、
土佐弁でおばあちゃんが
注意事項みたいなのを述べてくれた。
まあ確かに淡々としてるけど、別に嫌じゃない。

車はありますか?と聞かれたとき、最初何を聞かれたかわからなくて、なんですか?と答えてしまった時は少しびびったけど、

「外は暑いですか?」と聞かれ、
「私東京から来たんですけど、東京よりちょっと寒いかもです」と答えたら
「そうですかー、最近暑なったり寒なったりですからね」
って世間話してくれた。

全然優しいやんってすごく嬉しかった。
それは私にだけ向けられた優しさなのか、たまたまなのか、怒られる状況じゃなさすぎたのか、口コミを書いた人の態度がやばすぎたのかは分からないけど、そんなことはどうでもよくなるくらい嬉しかった。

「そしたらごゆっくりどうぞー」
おばあちゃんは私を部屋に送り出してくれた。

おばあちゃんも人間である。

私が車に乗ってやってきてたら怒られてたかもしれないが、笑顔で誠実に接したら向こうもそれに答えてくれるという当たり前だけど、最近はなんだか忘れてしまっていたことに気付かされる。
旅のいいところはこういう普段触れ合える感情でさえも大切に向き合わさせてくれるところ。
これに触れ合えただけでも良かった。

部屋に入ると小さい机とベッドが迎えてくれた。
めちゃくちゃ汚いとかでもなかったし、寝れるだけありがたい。

ここで電話が鳴る。
私が高知にいることを知った現在香川に住んでいる大学時代の3学年上の随分世話になった先輩から。
なんも予定決めてないんですよねと言うと、そしたら一緒に飯食おうということになった。
香川から車でわざわざこっちに来てくれるということでめちゃくちゃありがたかった。土地勘もなかったし、それにもう何年も会ってなかった先輩と会えるのは嬉しい。

先輩と落ち合う時間まで3時間くらいあったので観光でもするかと、とりあえず高知城に行く。歩いていける距離だったので再び歩く。

階段を上りに上った先に高知城。
せっかくなので中に入る。
観光客グループ一行と入館が被ってしまい、入館料支払いをスルーされないように、私は個人客ですとアピールをし入館料を支払う。

内観はいかにも古い家という感じ。
実家がかなり古い方なので、ほお〜〜程度だった。
でももちろん手入れがしっかりされてたし、強い奥ゆかしさがある。

高知城は6階建で、中には少し急な階段があったので展示をみつつ、登っていく。
この階段が思ったよりも急で登り降りが怖かった。
その横を無邪気に子供たちが登り降りる。
恐怖心がなかったこの時代に戻りたいと思った。

いつのまにか観光客グループもいなくなって、
ガランとしていたところで、建物1番上の高知の景色が眺望できる場所に着いた。

思ったよりも高くて足元がビクついたけど、
風が心地よかった。



高知城周辺を散策しつつ、ここらでお土産でも買うかと、コアな物が売ってそうなお土産屋さんへ

酒のあて、ご飯のお供になりそうなものを買って
ご満悦で商店街を歩いていると、猫ちゃんが靴屋の店員さんとお話ししてました。

先輩と落ち合うまで残り1時間ほど。
先輩との飯がこれから待っているのに、偶然鍋焼きラーメン屋さんを見つけてしまい、食べてしまいました。

高知初飯は鍋焼きラーメン。
辛党なので辛くしてもらいました。
ちくわ、鶏肉、ネギ、卵が入った麺細め固めのラーメン。あっつあつで美味しかった。
〆はご飯をぶちこんで雑炊にしました。
風邪ひいた時に食べたいなって思いました。

先輩と落ち合い、高知の美味しいものが一気に食べれるお店に連れてってくださいました。

まずは大本命のカツオのたたき。めちゃくちゃ分厚い!
もう東京で食べるカツオとは全然ちゃいました
塩とニンニクとワサビでいただくのが高知流。
タレで食べるよりもカツオの炙ったことによる香ばしさがより感じられてとにかく美味すぎました…

その横にいるのはウツボのたたき。
「ウツボ食うたことある?」と先輩に聞かれ、ないです!と言ったら頼んでくださいました。

ウツボって食えるんや、そもそもウツボ食おうっていう発想に至らなかった。
ウツボのたたきは高知の名物料理。

どんな味なんやろう?って恐る恐る食べてみる。
とにかくプルップルでもっちもち!
これはハマる。めちゃくちゃ私好みでした。
高知以外では食べれないのが残念。
次はウツボの唐揚げ食べてみたいです。

高知の名産魚メヒカリも唐揚げでいただきました。
メヒカリ、名前は聞いたことあったけど
食べたことなかった。
肉厚で苦味もなくて美味しかった!

ここの居酒屋はイカ団子が名物らしく、それもいただきました。なんてビールに合うんや。
パクパクいっちゃいました。

高知県民のソウルフード、山菜のイタドリもいただきました。
イタドリは全国でとれるみたいですが、こんなにも食卓にイタドリが並ぶのは高知だけみたいです。
初めて食べましたが、これもハマりました。
優しい味で定期的につまみたくなる。

先輩が車なので申し訳なさも感じつつ、もちろん日本酒飲ましていただきました。
土佐鶴という日本酒。度数強めですが、飲みやすすぎて720mlを1人でグビグビ飲んでしまいました。

お店をでて、先輩が海でも観に行くかと
桂浜に連れてってくださいました。

波の音と海風が体全身で感じられて、静かなエネルギーを感じました。
「見渡す限りの海は広いから自分の悩みがちっぽけに思えるよ」と先輩が言ってました。

明日は明るい桂浜の海を観に行くことが決定しました。

前半おわり

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