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いちご(掌編小説)

小さな庭のイチゴたちに水をやっていると、小さな男の子がいた。
「ねぇねぇ、いちごやらない?」
「いちご?」
「いちにごを足したら負けだよ!いちごになるからね!」
すでにその手はいちいちだ。イチイチかな、と地面にホースを置いて、指を突き出した。
「いーち、ご」
5ができても無くならない。安心して男の子の右手に足す。
安堵しながら瞬きすると、

「また、勝っちゃったなぁ」
男の子は呟いた。
宝石のように、一面を埋め尽くしたイチゴが、寂しく揺れていた。



彗星です。「いちいち」「いっせーので」は小さい頃に遊んだ記憶があります。甘いような酸っぱいような記憶。