年末年始に起きたことと無駄に考えたことをひと摘まみ【勝山】
2024年12月31日。
ワタシこと勝山修平(彗星マジック主宰。作。演出。宣伝美術。他)は、知り合いの店で蟹鍋をつついたり知り合いの知り合いのお寺で除夜の鐘をつくためバイク(SUZUKI ST250 Etype)に跨り日本橋へと向かっておりました。
十数年前、まだ浄土宗應典院がシアトリカル應典院という名前で劇場利用ができていたころ。
應典院で除夜の鐘がつけるとのことだったので友人宅から皆で應典院に向かおうと外に出たらすこし夜店が出ていて、そこに向かった面子がそのまま夜店に向かわなかった組の存在を忘れて車に乗って應典院へと向かってワタシを加えた数名が置いて行かれてしまい、そして應典院へと向かって行った中に家主も含まれていたが故に暖かな屋内に身を寄せることもできず、なんど電話を鳴らしても應典院へ向かった者どもは電話に出ず、我々は寒風吹き荒ぶ中只々帰りを待つ。という出来事がちょっとしたトラウマになっていたので、ついにそのトラウマを払拭できるぞと個人的にこの年越しは悲願なのであります。
因みに我々を忘れて應典院の除夜の鐘をついた者どものは帰宅途中にやっと連絡に気付き、詫びにとベビーカステラを買って来ました。
袋を開けると世界へ向かって溢れ出す甘い香りと湯気の割に特段甘くもなく温かくもなくパサつくベビーカステラを口にしたその時からワタシはベビーカステラがすこし嫌いになりました。
さて2024年12月31日。19時。
バイク走行中。
急な吐き気と腹痛を覚える。
あまりに急すぎてパニックになる。
何故かスピードメータを確認。
約40km/時。
法定速度を守っている自分を確認することで何とか落ち着こうとする。
意味がわからない。
呼吸が荒くなってくる。
まるで自分の体で約40km/時を出しているかの如き呼吸。
冷や汗が止まらない。
スピードを緩め、左にウィンカーを出し、停車。
走行中の道路は堺筋。
堺筋は北上する際、日本橋から3南という名前の信号から片道になる。
バイクを停車した付近の信号は日本橋2。
自宅に戻るためにはバイクを右折か左折させ、御堂筋か松屋町筋か谷町筋に行かねばならないのだけれど、【戻る】という選択イコール【無理そんなに運転できない】と確信、帰宅を断念。
迷惑をかけたくないので、知り合いの店に行くことも断念。
迷惑をかけても構わないと思えるくらい安心できて日本橋近辺に住んでいる人の元へと向かわねば。
実家だ。
ワタシには実家がある。
本当の実家ではないのだけれど、おれのことを息子と呼んで良くしてくれる母がワタシには居るのだ。母の名前は秋津ねをと云う。
秋津ねを(ねをぱぁく。役者。制作。秋津食堂。母。)。
電話。
出ない。
旦那のシロッキー(白木原一仁。プロデュースユニット「ななめ45°」。役者。パントマイマー。)さんに電話をしようと試みる。
携帯電話のディスプレイの光が腹と喉と口を逆撫でしてくる。
携帯電話は無理だ。
電話は諦め、直接向かうことにする。
走行再開。
速度は10〜15km/時。
それ以上は無理。
何故か体がバイクでなく自分の足で走っていると勘違いしているから無理。
なので10〜15km/時で走っていても相当しんどい。
冷や汗がピタリと止んで、体がどんどん冷え始め、こんどは貧乏ゆすりが止まらなくなる。
嗚呼、死ぬってほんとうに予告なく急に来るんだな。誰に電話しようか。でもバイク止められないし無理だ。止めたら死ぬ。でもいま死んだらバイクも止まる。ああもうぜんぶ無理だ。だから万が一秋津家に着くことができたらきっと奇跡だ。奇跡、奇跡、奇跡…。
自分の思考にも気持ち悪さを覚える。
気を取り直し、運転に集中するべくヘルメットのバイザーを上げる。
呼吸が苦しいのだ。
なんとか秋津家着。
自転車を確認。
家主は確実に屋内に居る。
安心した途端、膝の力が抜けてバイクに寄りかかる。
立て直し、バイクを駐車すべく自転車を移動させながら、「いける、いけるぞ、いけるいける」とうわ言。
バイクを駐車。
家の中に持っていけば良いのに、ヘルメットをメットホルダーに引っ掛ける。
玄関の呼び鈴を押す。
ドスドスドス、と、階段を降りてくる音。
なんて素晴らしい音なんだ。きっとハイレゾだ。
おれこの音源に1万円出してもいい。
扉が開く。
天使?いやシロッキーさんだ。
天使よりもシロッキーさんだ。
「しゅうちゃん、どしたん」とシロッキーさん。
そしてねをさんも出て来てくれる。
お風呂上がりで髪の毛を乾かした直後だったのか、髪の毛がふわふわとしている。
「…たすけてください…」
即座に招き入れられ、布団が敷かれ、横になり。
勝山は保護されました。
ねをさんが湯どうふをつくってくれるも全く喉を通らず、けっきょく1日の夜に雑炊をいただくまでチビチビと白湯を飲むことしかできず、できることは息をしながら「くそぅ、痛い、くそぅ」と嘆くことのみ。
発熱は無し。喉、鼻、異常無し。
寝ると痛む腹。体勢を変えても痛む腹。なので起き上がり、ムーミンのニョロニョロのようにずっと揺れ続け、疲れが痛みを凌駕すると横になって眠り、痛みを感じて起き上がり、ムーミンのニョロニョロのようにずっと揺れ続け…を、繰り返した年末年始。
考えなくて良いことを考え続けることを止められず、そしてほんとうに考えなくて良いことだったのでもうほとんど覚えていないのだけれど、SSUのシニスター・シックスの行方がどうなるのかをずっと考えていたことだけは覚えています。
ワタシが考えることじゃ無いことだけはたしか。
どうなるか気になるけど。
1月2日
深夜。
腹に異変を感じる。
これは腹痛ではなく、空腹からの異変だ!
なにか食べられるものを…と、冷蔵庫を開け、桃のゼリーを発見。
密かに頂戴し、薬を飲んで、座って過ごす。
指が6本あったらギターの弦1本に対して指1本づつで対応できるから良いよなぁ、いや、ギターの弦が5本になったら良いのだ。いや、それならはじめから5本だけ弾けば良いのだ。いや、けっきょく押さえ方の問題で…なんて考えて過ごす。
まだ駄目だ。思考の方向が阿呆なままだ。
朝。
本格的に回復してきました。
ねをさんのつくってくれた雑炊が美味しい。この上なく美味しい。これより美味しい食べ物ってあんの?ってくらい美味しい。
深夜に内緒で食べた桃のゼリーは罪悪感と背徳感が入り混じって味の深みを増していたからそこだけは除外するとして、正規ルートで食す料理の中ではいちばん美味しい。
今日は昼から家族会がある。
そう、本来ワタシは、1月2日に実家を訪れる予定だったのです。
新年のご挨拶にね。
お昼頃に次男のmaechang(BLACK★TIGHTS主宰。sword works所属。主に役者。)、長女のヨネ(米山真理。彗星マジック所属。役者。)が旦那を連れて、あと三男の竹内くん(竹内宏樹。空間 悠々劇的。リコモーション所属。役者。)が嫁と子供を連れて。あといろんな繋がりでたくさんの人がとにかくどこかのタイミングで来るらしい。とのこと。毎年そんな感じ。
最初に来たのは竹内くん家族でした。
最後に。
家族と来客で賑わって来た夕方ごろ。
箸を止めていたワタシを見て、ねをさんが「しゅうちゃん、ゼリーでも食べる?」と言ってくれて、「もうその冷蔵庫の中にゼリーは無いんですよおれが深夜に我慢できず食べたから御免なさい」が、言えなくて、「大丈夫です、ありがとうございます」と返事をしてしまい、今日に至るまで盗み食いしたことを黙り続けていることをここに記し、供養とさせていただきます。
迷惑をかけた分だけ親孝行!
今年も演劇がんばるぞ!オー!
それより健康に気を使うぞ!オー!
なるべく素行に気を使うぞ!オー!
以上、勝山でした。
また来週ッ
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