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今週のハニー「舞台裏-舞台手話通訳つき演劇作り体験③-」【池山】

ちゃお、池山ユラリです。
いい加減書きなさいよね!
手話通訳つき演劇作り体験について
2ヶ月かけてようやく最終回です。

①はこちら

②はこちら

もう誰が読んでるかわかんないけど、
自分のためにも今後のためにも書きます!

2日目後半

なんだか気がそぞろな感じで本番の部屋での稽古が終了。
私たちは次の稽古場へ移動して、お昼ご飯に。

各々部屋の中で点々といろんな場所でご飯を食べながら、やっぱりしっくりこないね?という話をしていた時に、Aさんが
「私とBさんの立ち位置をまず変えてみたらどうでしょう?」とのこと。

【下手】Aさん 池山 益田 Bさん【上手】

Aさん…手話通訳士。環境や状況説明、音楽の雰囲気をお伝えしてくださる役目。

Bさん…手話通訳士。聞き耳を立てて私たちの会話を届けてくださる役目。

全員下手の方を向いている。

私たちは上記の立ち位置で、「深夜バス」の稽古をしていました。

今Bさんは私たち役者を実際に見て、聞いて、そこで言葉や状況を客席に伝えているけれど、目からの情報を一旦シャットアウトして、耳からの情報や雰囲気だけを掴んで客席に伝えてみたら?とのこと。

たしかにたしかに!
実際に自分自身をその状況に追い込めると、やりやすいですよね。
お昼ご飯終わったら立ち位置変えてみようか、とのこと。

そんな話をしていたら、Bチームの中で別の場所でお昼ご飯を食べてる人たちが急に大盛り上がりをしだしたので、何があったか聞いてみると…

なんと、Bさん、台本の読み取りの齟齬があったとのこと!!!

よく聞いてみたら、Bチームの半分の人たちが同じ読み取り違いをしていました。
実はこの読み取りの齟齬、彗星マジックだけの稽古の時にも起こっていまして…
この読み取り間違いはたまたま起こっていたものだろう、と思っていたことが、手話通訳チーム内にも起こっていたそうで。
そりゃ余計しっくりこんわ!

(ちなみに池山はこの事件(?)が起こったおかげで、人の価値観や読み取りの仕方って改めてそれぞれ皆違うから、わかってるつもりでも、わかってもらってるだろうと思っても、ベクトルちゃんと合わせる時間はなにごとにも必要なんだなぁと思いました。)

「そうか、これってこういう話なのか!」とBさん含め他の手話通訳チームの方も納得されてました。この段階で気がついてよかった…。

休憩明けて稽古

休憩が明ける手前で昨日手話監修をしてくださった男性が戻ってきてくださいました!
なのでBチームは手話監修者が2名。豪華…!

台本の解釈の齟齬もとりあえずとけたし、Aさんの仰ってた通りに立ち位置を変えて再度通し。
すると…

え、
通し終了後に手話通訳チームで泣いてる人がいる!

泣くまでいかなくとも、目が潤んでる方もチラホラ。

どうやら、Bさんが、私たちの芝居を耳と空気で感じ取ってくださり、それをその場で一生懸命客席側に伝えようとしてくださってたとのこと。必死すぎて、どんな手話をしたかもう記憶にないとのこと。笑

どうやらその感じが、客席側にいた手話通訳チームに響いたようです。手話監修のお二人も、勝山さんも、「今の通しはとてもよかった…!」という感じでした。

池山はというと、通し中Bさんの手話が見えるようになったので、間がとりやすくなりました。
ホッ。

全体の芝居の空気感や、やりたい方向性の焦点が全員定まってきまして、「この空気はきっと今だから出来るものがあるよね」という話になり、手話の振り返りはしつつ、全体の通しは残り時間の中で2回ほどして終了。
あとは本番を残すのみ!!!
わーとうとう本番だ!!!

本番前

さて、本番はA.B.Cチームがそれぞれのチームをみて、感想のシェアをする、という形だったのですが、告知をした通り、興味のある方は皆さん観に来ていいよ(予約はしてね)という状態でした。
果たしてみんな来るんかな?まあこなくても全体で50人ぐらいいそうだから十分多いし緊張するよね🤣みたいな感じでしたが……


えーーーーめっちゃ人がいる!!!


この件何回やるんだよという感じでしたが、とにかくたくさんのろう者、聴者がいらっしゃいました。すご…!(彗星の応援で来てくださった方ありがとうございます!)

基本的にはきっとろう者の方達が多かったと思うのですが…
後から観に来てくださった方にお話を聞くと、「受付の時からろう者の方が周りにたくさんいらっしゃったけど、みんな賑やかだったし、明るい雰囲気だったよ」とのこと。
そう、最近手話教室行ったり、ちょっとイベントに参加したりで思ったんですけど、とにかくろう者の方って明るくておしゃべりな方が多い!伝えないとという気持ちがとても強くて、輝いててパワーがある方が多いなと勝手に思ってたところだったので、「やっぱりそうだったんだなぁ」なんて思いました。

ろう者も聴者も、互いに芝居に、手話に、はたまた出てる劇団に興味を持ってきてくださった方がこれだけいるのは非常に嬉しいなと思いました。
いや〜でも緊張するよね。
ただ、多分音響オペの香菜海ちゃんのが緊張してるよね(②にかいた稽古中の音響トラブルの原因がわからず、本番だったので…!)

本番

想像以上にお客様が多かったので、ちょっと開演が遅れてしまいましたが、本番始まりました!
果たしてA、B、Cチームどんな作品になってるでしょうか?以下池山の感想と、シェア回で聞いた感想です。


A キンダイゲキセン「コンプレックス」
父親に結婚の申し込みをしに来た男と娘。男は娘の父親と同い年ぐらいで、父親はそんなやつと娘の結婚を許せるか…!と断るんだけれども…

役者が5人、通訳者も5人。1人の役者につき1人の通訳者がつく形でした。お話はあるあるでしたが、面白かったです。皆さん若い方なので、父親が歳上に見えないとかそこら辺はありましたが…ただ父親らしく、年上らしく振る舞おうという姿勢がある意味輝いていて私は好きでした。
通訳者が1人につき1人、なら、誰がどの人か見やすいな〜と最初は思っていたんですが…途中からもう1人上手からやってきて、そこから全員が色々動いて話すので、ちょっととっちらかってる印象になりました。10人舞台上にいると、誰がどの通訳者かわからなくなってくる。私たちは耳で、「あ、あの人の台詞言ったな」と判断出来ますが、ろう者の人はどこを注目したらいいのかわからない。特にお席が前の方の人は、全体が見えづらかったようで、読み取りづらかったみたいです。

あと、その上手から飛び込んで来る人なのですが、実は意外な人が舞台上に入ってくる…という流れだったのですが、先に手話通訳者が舞台上にあがって、その人が飛び込んでくる時の台詞を訳すので、数秒のネタバレというか、「あ、だれか舞台にでてくるな」がわかっちゃうので、そこらへん難しいなと思いました。もちろん通訳者が先に出ておかないと、台詞は表現できないわけで…。


B 彗星マジック「深夜バス」
俺たちのことも書いておこう。

キンダイゲキセンさん達が、明るい雰囲気の中終わって、私たちは夜中からスタートの物語。
全体的に客席が明るい雰囲気、楽しむぞの雰囲気だったので、「ここで笑う?!」みたいなことがちょくちょく起こりました。あと、本番が芸術創造館の大練習室で、結構ぎゅうぎゅうにお客様が入ったので、声が届いてるのか…?とか気になりました。本番の動画見てたら、一応届いていたみたい。
声のこともだし、状況もだし、このすごくぎゅっとしたプライベートな夜の空間を、手話通訳のお二人が広げてくださったなという印象でした。手話通訳の方がついて4人での深夜バスだったからこそ、この大練習室でやる意味がある芝居だったんじゃないかなと。
ただ、やっぱり誰が何を言ってるかがろう者の方にはわからないシーンがあったみたいで。それは私池山と、益田がもうちょっとBさんの雰囲気も汲み取って合わせて、Bさんも役者の間合いにもあわせる、というところまでいけたらよかったのかな?と思います。個人的にBさんの間合いと杏花ちゃんの間合いに挟まれて芝居してたなと2ヶ月たって思います。

ただ、正直初めましての2日間で空気感をお互いにつかむのはムズい。もうちょっと交流しあって、稽古したかったです。まあしたところで「あと何日あれば…!」って結局いう羽目になると思うんですけど!

あと、音響のトラブルなどなどはなかったです。香菜海ちゃんグッジョブでした!勝山さん照明ありがとうございました。


C ヘラヘラ企画「イス」
実はヘラヘラ企画さんは火曜日のゲキジョウに出演してくれたこともあって1回拝見していたのですが、正直見た時「なんやこの劇団!」とあまり良い印象を受けずに終わってました。笑 ただ、今回の「イス」は私個人の印象としては、面白かったです。ろう者の方で「そもそもなんかよくわかんなかった…」みたいなお言葉もありましたが。笑、なんか、よくわかんなかったけど、やりたいことはある!というのが伝わってきてめっちゃ好印象でした。ただ、お芝居を見慣れてない方や、お芝居って、こうゆうものでしょ!みたいな価値観を持ってる方は見づらかったかも。
やりたいことは見えたけど、最初通訳者さんが2人いて同時にやる手話表現がバラバラだったりとか、何かをまたぐというルールがちょっとミザンス的に曖昧だったりとか、大事なセリフが聞こえないとか、そこが詰まってたらもっと面白かったかなと。(Bチームの手話通訳のお一人が、同じようなことを言ってて、伝わってる人には伝わってるよな…と)
どうやらヘラヘラ企画さん、ギリギリまでどんな立ち位置で手話通訳さんにいてもらうか悩んだそうなので、稽古不足もあるかな…
見慣れている私たち演劇人も「?」となっちゃって、その「?」が面白いよね!みたいなところが醍醐味な作品、醍醐味な劇団さんなのかな〜とも思ったのですが、それを演劇見慣れてない、ろう者に伝えるって、まだ正直難しい、というのが世の中の現状だと思う。樋口さんのご感想がとても勉強になりました。


以上感想でした。

本番終わって

本番終わって、お客様の感想が直に聞けるシェア回めっちゃいいなぁと思いました。結構正直に言ってくださったのもよかったです。

その後お客様がお帰りになったあと、またチームごとに振り返り会。そして全体の振り返り会。そして解散!

意見を自分の言葉で言う、というのは当たり前のことだけど、ちゃんと言語化することで自分が今何を感じているのかよくわかるので、強制的にでも発表するって大事だなと思いました。まあ、ろう者の方も手話通訳者の方も演劇人もお喋りの方多かったですけどね…!池山と益田は無口な方でした。笑

その後、Bチームで残れる人たちだけで打ち上げ。各地方からやってきてる方がたくさんいたので、すぐ帰らないと…!という方も多くて。改めて、いろんな場所から大阪に集まってるって、ありがたいし、素敵な環境に2日間どっぷりつかったなとおもいます。また参加したい〜
あと、いつか手話でお芝居したいです!
池山のあと3〜5年後にご期待ください。笑

お世話になったBチームの方達との写真だ!


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