ウェス・アンダーソンとの出会い。[グランド・ブダペスト・ホテル]
このごろ、感性を養うため一日ひとつ映画を観るようにしている。
ある朝起きると喉が痛く、風邪を引いていた。きっと甥っ子たちのかぜっぴきをもらったんだろう。
クラクラする頭でリビングに向かい、ソファに横になる。なぜかYouTubeもInstagramも見る気になれないふわふわとした気持ちで、PrimeVideoのアプリを開いた。
まだ起き抜けの眠たい視界にとびこんできた、ピンク色の可愛いホテルの絵。
「あなたが興味のありそうな映画」の欄にあったその作品は、わたしが触れたこともないもの。しかし都内で展示会が行われたことでInstagramをいっとき賑わせ、聞いたことがあった[ウェス・アンダーソン]の作品。
体温が上がりそうな悪寒を感じながら、あまり刺激の強いものは目に入れたくなくて、柔らかい色合いを持つタイトル「グランド・ブダペスト・ホテル」を毛布にくるまって再生した。
あらすじは、「ヨーロッパ随一の超高級ホテルの、伝説のコンジェルジュが殺人の疑いをかけられる。彼はロビーボーイ見習いの少年と事件解明に奔走する」というもの。
正直で率直でなんの捻りもない感想だけど、わたしはすぐに虜になりました。
ウェスアンダーソンにしか作れない世界観がそこにあった。シニカルな表現、ノスタルジックだけどポップな色味、ちょっとコワイ描写と、それもかわいらしく見せてしまう才能。すべてのシーンが芸術作品でした。
わたしは、すべての画が美しい映画がだいすきです。ジブリの作品にもそういうところがあって、なんだか同じような気持ちを感じた。物語を観ている一瞬一瞬に幸福を感じるような。
ストーリーには何かとっても学びがあるとか、すっごく感動するとか、一発逆転サヨナラ劇があるとかそういうものではないけれど、廃れたグランド・ブダペスト・ホテルで一人の寂しい老人が語る話に引きこまれる時間を、著者と一緒に過ごしました。
ウェス・アンダーソンすぎる風景展、ぜったいに今からでも出向こう。インスタグラマーがインスタにあげてなんか消費してるなぁ、くらいにしか思ってなかった自分を反省します。観れる作品はぜんぶ観てから臨みたい。