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アイドルの熱愛・結婚は、アイドルの死、そしてファン層の新陳代謝である。

結婚すると、アイドルは死ぬ。

これは10年来の推しが全員結婚した私の結論だ。アイドルは結婚すると、死ぬ。

そう思っていた。


アイドルは恋愛するな論がまだ色濃く残っている中で、事務所にも空前のベテラン勢結婚ラッシュがやってきた。若手の熱愛報道も目に見えて増えた。

祝われる者、目に見えて失望される者、人知れず見捨てられる者と様々いるが、多くのファンにとっては結婚は受け入れがたいのが本音だ。特にお互いに若い層が中心の界隈は阿鼻叫喚。筆舌に尽くし難い地獄が生まれる。

円盤の売上は落ち、目に見えて動画の再生回数は減り、ファンクラブの名義は人知れず死ぬ。デビューへの道は遠のき、冠番組は呆気なく終わる。しかし、それでも彼らは一人の人間を愛することを決める。

しかし、これまで熱愛報道を重ねたり、現役で結婚というものをして本当の意味で死んだアイドルはそういない。厳密に言うと、『干される奴』なんていない(元から干されているだって?皆まで言うんじゃない)。普通に芸能活動するし、アイドルとしての仕事も大なり小なり続けている。それに世間一般から見れば、いちアイドルが結婚したって何も変わらないし、ぶっちゃけどうでもいいことだ。

大仰に言えば、彼らは復活する。さながら、神の子のように。再構築される。何事もなかったように。

ではなぜアイドルは死に、そして復活するのだろうか。

そもそも、熱愛報道や結婚というのはアイドルが死ぬことではないんじゃないか。ここまで考えてそう思った。

もしかして、アイドル本人ではなくファン層が死ぬんじゃないか。そして、無惨にも『新陳代謝』されるのではないか。

まず、アイドルの熱愛・結婚ではだいたい一定層が担降りする。戻るか戻らないかは分からない。降りなかったファンはなんとか耐える。自分は全肯定お花畑だと割り切るファンも出てくる。

そして、その後には多少なりとも新規のファンがつく。さて、その新規ファンは熱愛を知らない、もしくは結婚していると知った上で推すと決めた人間だ。人々は古参のリアルタイムの苦しみなど分かるはずもなく、全肯定お花畑に転生することを選んだファンと合体し、意気揚々と推しを愛でる。

要はこの繰り返しだ。そうやってファン層は無理やり新陳代謝されていくんじゃないか。ついていけないファンが離れ、『今のアイドル本人』を肯定するファンが生まれる。その繰り返し。

中身の内訳なんてどうでもいい。だって、アイドルにとっては『今のアイドル本人』を応援してくれる人こそがファンなのだから。

もう綺麗事なんて、未婚至上主義のドルオタの願いなんて、そこには通じない。そういうファン層になってしまったのだから。もう戻ることはできないから。

だからたまには、ぶり返した深い傷を舐め合っていても、それだけは許してほしい。

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