未来の記憶を思い出す方法
「未来を予測できるようになったら、生きることがツマラなくなりませんか?」
これは以前、占星術鑑定の現場で顧客から面と向かって言われた言葉です。
なかなか鋭い質問だったので即答できず、数日間かけてじっくりと考えてみました。そうやって熟考した末の結論は「未来を知ると、私たちの人生は今の何倍も楽しくなる」という全く逆の結果だったのです。
確かに人生が推理小説のようなものであれば「結末を知ること」によって生きる喜びは減ってしまうでしょう。でも、人生に推理小説のような「どんでん返し」や「意外な結末」は必要ありません。私たちが求めているのはただ「文句なく幸せなフィナーレ」だけだからです。
ディズニー映画が全世代に人気なのは、ほとんどの作品がハッピーエンドで終わることを私たちが「知っている」からです。途中でどんなに意地悪な魔女が出てこようと、必ず最後は「幸せに暮らしましたとさ」で終わることが分かっているから安心して見ていられるのですね。
逆に「あやふやな未来」は私たちの不安感を搔き立て、その不安感を払拭するために私たちは膨大な「無駄な時間」を過ごすことを余儀なくされます。
何年間もやりたくもない勉強を強いられ、好きでもない仕事に就き、生命保険に多大な掛け金を払い続ける・・・とかですね。それでも心の中の不安感が消えることはなく、その緊張感に耐えきれなくなると今度は「政治のせい」「世の中のせい」「親のせい」という見苦しい言い訳を始めたり、飲酒や薬物に溺れる人もいます。
でも「確定的な未来」の存在を信じることができれば、ディズニー映画を見ている時のように心穏やかに大団円のエンディングを待てるのではないでしょうか?
「努力して勝ち取る人生の目標」ではなく「すでに確定している未来の記憶」として自分の将来像を頭に思い浮かべることが大切なのですね。
今回はこの「未来の記憶」についてお話ししたいと思います。
西洋占星術の実践経験を長く積むと、顧客のホロスコープを開いた瞬間に、その人がどのような才能を持って生まれて来たのか、いつ結婚するのか?相手はどのような人か?離婚はするのか?子供は何人持てるのか?などのライフストーリーが僅か数秒ほどでパッと読み取れるようになります。
別にこれは私が特別な才能を持っているからではなく、訓練すれば誰でもできるようになる「再現可能な技術」なんですよ。
私の対面鑑定を受けた人ならご存じでしょうが、私はホロスコープを開いた数秒後にはもうベラベラと喋り始めます。出生図を見た瞬間に彼らの人生ストーリーが頭の中にドーッと流れ込んで来て「いくらでも喋れる状態」になるからですね。
対面鑑定を始めたばかりの頃、そのままの勢いで2時間ぐらいぶっ続けで喋ったこともあるので、後から顧客のツイッター(X)に「膨大な情報量を喋り続ける占い師で怖かった」と苦情を書かれたこともありますが(苦笑)、それぐらい一人のホロスコープに含まれる情報というのは多いのです。
その時の反省から、今は最初にお客様の相談内容をじっくり聞き、相手の立場に共感してからゆっくり話し始めるようにしてはいますが、それでも「その気になれば何時間でも延々と話し続けられる」ことに変わりはありません。
このノンストップトークを経験した人の中には「霊視か何かですか?」と聞いて来る人もいますが、音楽家が譜面を見ているのと同じで、ちゃんとホロスコープを「読んでる」んですよ。目の前に原稿があるわけですから、途中で言い淀んでしまうようなこともないわけです。
特に、精神疾患とか浮気癖とか浪費傾向のような「生まれつき持っている顕著な特徴」については「見た瞬間」に分かります。冒頭でいきなり「今現在、不倫されてますよね?」と質問して相手をビビらせたこともありますが、ほとんどの不倫(特に女性の場合)は悪意からではなく、「避け難い運命のプログラム」として強制的に発動してしまうものですから、彼女たちを責めることはできないんですね。
10分ほど計算するお時間をいただけるのであれば「何歳の時にどのような死因で亡くなるのか」まで詳細にお伝えすることだって可能です。「病死です」というような曖昧な表現ではではなく「急性の心筋梗塞で、ほぼ即死状態です」というような死の瞬間の詳しい状況も説明できるんです。
このように、我々占星術師にとっての鑑定とは「天気予報のような確率論的未来予測」ではなく「すでに確定している未来の記憶を読み取る作業」に近いんですね。すでに存在する「未来」が遠くに見えていて、それを特殊な望遠鏡を使って眺めているようなイメージですから、求められればどんなに細かい話でもできてしまうのです。
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