
世界は揺れ動く振り子のように
毎年1月になると顧客の皆様から「今年の運気を教えてください」という年運依頼を受けることがあります。
もしその質問の意図が「今年は私にとって積極的に何かに挑戦するべき時期ですか?」であるならば、確かに「運気」と呼ばれるものはこの世に存在していますよ。
占星術における運気のホンの一例ですが、トランジット木星がネイタルの太陽や火星と角度を持つ時期に当たっていれば「今すぐに行動しろ」という意味ですし、トランジット土星がネイタルの太陽や火星と角度を組めば「無理をせず、今は休め」という意味になります(他のパターンもたくさんありますが)。
厳密に言うとホロスコープは「運の良し悪し」ではなく、季節の移り変わりのように「すべての行動には適切なタイミングがある」ということを私たちに教えてくれる「運命のカレンダー」に過ぎないのです。
真冬に大豆の種を蒔いても育ちませんし、真夏に麦の種を蒔いても育ちません。仮に芽が出ても途中で枯れてしまいます。
なぜなら、どちらの種にも「蒔くべき適期」というものが存在するからですね。
もし天が指示してくれている「絶妙なタイミング」を無視して行動すれば、どんな涙ぐましい努力も無に帰してしまうのは仕方がありません。
私たちはこの「生命の自然なリズム」には決して逆らえないからです。
もうちょっと分かりやすい例で説明すると、70代で婚活するのは遅すぎますよね? 成就するのが絶対に無理とは言いませんが、お見合いの成功率は20代30代の頃と比べれば格段に落ちることは誰でも理解できることのはずです(60~70代は土星の影響力が強まる撤退の年齢域です)。
この「運気の流れ」を無視をして強引に「熟年婚活」に挑戦すると、「近畿連続青酸死事件」の筧(かけひ)千佐子死刑囚のような結婚詐欺師に引っかってしまう恐れすらあるわけです。千佐子は俗に言う「後妻業の女」です。

そもそもの話ですが、筧千佐子死刑囚は無理して結婚したくなるほど魅力的な女性ではなかったですよね?
ただ「日常的な寂しさ」を抱えていた富裕層の高齢男性が、優しい言葉をかけてくれる千佐子に精神的に甘えようとしただけです。
もっとハッキリ言えば男性たちの「妥協の結果」です。そこには「相手の幸せを思いやる愛」なんて最初から存在すらしていなかったのですね。
でも、男性たちにとってその依存心は仕方のないことでした。被害男性の大半は70代で、老後の生活に不安を抱えており、「自分が死ぬまで介護してもらいたい」という切実な願いがあったからです。要するに「与える愛」ではなく「もらう愛」しかイメージできない枯れた年齢になっていたのです。
起訴されたのは3人の男性に対する殺害容疑ですが、千佐子本人はマスコミの取材に対して「10人以上は間違いなく殺したが、数が多すぎて全部は覚えていない」と証言しています。
怖ぇーよ・・・。
あなたがこういうモンスターに引っかからないためにも、人生は「動くべき適切なタイミングで動く」ことを心掛けなくてはいけません。
人生に果敢に挑戦するのは、天から「ゴー!」のサインが出ている時であり、自分が持っている財産を必死に守るのは天から「ステイ!」のサインが出ている時であるべきなのです。
で、その「ゴー」と「ステイ」の時期をそれぞれ計算してみると、すべての人が「ほぼ同じ期間」だけその状態を体験することが分かるんですよ。
トランジット木星は比較的動きが早く(一周するのに12年です)すぐに有効誤差範囲内から通り過ぎてしまいます。だから「チャンスの女神には前髪しかない」と言って、機会が来たらすぐに行動することが求められるんですね。

しかし、木星は通過速度が早い分だけ「短期間で何回も繰り返し」太陽と角度を組む時期がやって来るという利点があります。
もっとも有利なタイミングである太陽とトランジット木星の0度、120度はだいたい「4年に一度」のペースで起こりますし、やや影響力の落ちる90度や180度まで含めれば「2年に一度」の間隔でやって来ます。
さすがに「前回と全く同じ種類のチャンス」は二度と来ませんが、それでも「人生を浮上させる絶好の機会」は何度でもやって来るんですね。
一方、トランジット土星は一周するのに30年近くかかるほど進行速度が遅いので、一カ所にそれだけ長く留まり、マイナスの影響力も長期に及びますが、動きが遅い分だけ「たまに」しか太陽と角度を組みません。
土星の影響力が強まる0度、90度、180度はだいたい「7年半に一度」のペースで発生します。
つまり、苦しい時期を一度抜けたら「しばらくは安泰」なんですね。
そして、人生全体を通して、木星と土星の影響期間(有効誤差範囲内にある時間)をトータルで計算すると「良い時期と悪い時期はだいたい同じ時間だけある」ことになるのです。
これを西洋占星術では「リズムの法則」あるいは「振り子の法則」と呼びますが、これは前回ご説明した「キバリオン・7つの宇宙法則」の第5原理に該当するとても重要な考え方です。
良い時期と悪い時期のトータルは誰でも同じなんですから、誰かが他の誰かよりも「人生で得をしている」ということはないことが分かりますよね?
「幸せな時期」があれば、同じ分だけ「苦悩の時期」も来るわけですから、現在の一瞬だけを切り取って比較して「私だけが不当に損をしている」と思ってはいけないんですね。
「無差別通り魔(ジョーカー)事件」を起こすような人たちは、逮捕された後に大抵「自分だけが世の中で損をしていて、幸せそうなやつらを見ると腹が立つ」などと証言しますが、たまたま今、幸せそうに見える人だって苦しい時期は必ずあったはずですし、それは犯人たちが「親密な人付き合いをしてこなかった」から気がつかない「当たり前の事実」なのです。
ひょっとしたら、彼らが刃物で傷つけた幸せそうな女性は、何年も癌治療を続けていた苦労人かもしれません。人生は誰にとっても平等であり、幸せな時期と苦しい時期は、必ず「交互に来る」ように設計されているからです。
大事なのは「良い時期」に新しい恋をしたり転職をして、「悪い時期」にはそれまでに築いた人間関係や仕事をキープすることに力を注げば良いのです。
このタイミングが逆になってしまうと、人生はめちゃくちゃになりますよ。
ここから先は
¥ 500
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?