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新譜『Monochrome Erosion』について語ります
こんばんは。Suirenといいます。
先日開催されたC104、2日目にサークル参加してきました。コミケは過去に2度、別サークルとして小説を頒布したことはあったんですが、Suiren:MusicStorageとしては初参加。
新譜お手に取っていただいた方々、本当にありがとうございます……!
初のオリジナル作品ということで諸々不安な面もありましたが、無事に作品が完成し、また好意的なご感想もいただけてありがたい限りです。
さて。今まではやったことなかったのですが、今回は作品について軽くコメントを残してみようと思います。
音楽を言葉で語りすぎるのは無粋かなとも思いつつ、Suiren:MusicStorageや今回ゲストで参加していただいた雲丹天まろ様の歌唱が好きだという方、興味がある方は、ぜひ軽くでも目を通してみてください。
名義について
初オリジナル作品ということもあるので、名義についてかるーく書いておきます。
現在、サークルSuiren:MusicStorageに所属している名義は3つ。中身は代表名義Suirenである私がすべて兼任しています。
極端に激しいジャンルと、普通のボーカル曲やアンビエント系の曲が混在しているのはどうなのかということで、1枚目のCDを出す少し前に名義を3つに分けたのが始まりです。
名義ごとに担当ジャンルを分けてリリースしています。
Suiren:ダンスミュージック全般(UK Hardcore, Trance, Dubstep, Houseなど)
Ariez:キックドラムが歪む激しいジャンル(Mainstream Hardcore, Hardstyleなど)
Minakami:アンビエント・アコースティック全般(Harp, Music Box, Pianoなど)
簡単に言うと、電子音楽はSuiren、中でも激しいジャンルはAriez、癒し音楽はMinakami、といったかんじ。
たまーに例外もあり。
Monochrome Erosionについて
少し前からオリジナルでCDとして作品を発表したいと思っていたので、私としては満を持しての第1弾です。
今回のテーマはモノクロ世界、単にオリジナル曲を雑多に収録するだけでは面白くないかなということで、曲に属性をつけて2分化してみました。
これまでの弊サークルらしいクラブ系ジャンルでありながら、冷たい・無機質な曲が多くなっている印象です。
ジャケットイラストは山田maya様にお願いしました。
去年の11月に博麗神社秋季例大祭にて頒布した、ハードジャンル特化東方アレンジRetaliation EPでもお世話になっています。
仄暗い雰囲気の作品がお得意な方で、今回もクールに仕上げていただきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1724059090631-eu0yYZncPi.png?width=1200)
今回は特に具体的な物語があるわけではありませんが、ハイファンタジーとスチームパンクが入り乱れた世界観で、何らかの力に目覚めた少女が実験施設に囚われ、自身の精神世界を彷徨っている……というのが最初に思いついたストーリーです。
ダンスミュージックは基本バイブスというか、何も考えずに聴くジャンルだと思っているので(歪み系HardcoreやHardstyleは特に)、ふんわりとした世界観の構築だけにとどめています。
ちなみに、収録曲に"Elsie(エルシィ)"、"Isolde(イゾルデ)"という女性の人名が2つほど登場しているのですが、どちらもジャケットキャラクターの名前ではないかなと。
後述しますが、Erosionの歌詞にはジャケットキャラの他にもう一人登場人物がいるので、その人物の名前がどちらか……というのはアリかもしれません。
各トラックについて
今回の仕組み上、白属性の曲と黒属性の曲を同じ数にしたかったので、締切間際まで頑張って7曲にしました……。
聴く側となるとキックの歪んだジャンルが好きなのもあって、自然とAriez名義の激しい曲が多めに。基本クラブユースな曲(のつもり)で揃えてあります。
01.Light for Elsie - Suiren
今回2曲しかないSuiren単体名義の曲その1。
なんちゃってDrum & Bassです。春に出した東方アレンジCD、Little UmbrellaでDnBに挑戦してみたいと思っていたのですが、余力がなく叶わなかったので今回収録しました。
なんとなくですが、この曲を聴くと白い霧に覆われた塔みたいな景色が頭に浮かびます。
02.Back into the Darkness - Ariez
"バック イ イントゥ ザ バック…"みたいなことをひたすら言ってる(気がする)サンプルを使ったので、勝手に闇に戻ってることにして1曲目と対になりそうなタイトルにしました。
ジャンルはHardstyle。Ariez名義の曲です。
オールドスクールなテクノみたいにメロディも無くひたすらループしている曲が作りたかったので、Hardstyleでやってみました。
Reverse Bassサウンドは初挑戦。派手なRawstyleもいいけど、硬派なReverse Bassもいいんですよね……。
03.Virtual Eden - Suiren
Suiren単体名義2曲目。
ジャンルはColour Bassです。こちらも1曲丸々は初挑戦。
かの有名なプラグイン、Rezonatorをサンプルに差して遊んでいたのですが、1曲作ってみたくなったので収録しました。
真っ白な無の世界に、箱庭のような小さい浮島がただ1つ浮かんだ仮想空間をイメージしています。こういう空間を自由に探索できるVRゲーやってみたい……もうありそうな気もしますけど。
タイトルは5秒で決めました。仮想の楽園……どんな景色を思い浮かべますか?
04.BRUTAL ZONE - Ariez
Ariez名義、ジャンルはTerrorcoreを基軸にしています。
今のところ私が作った曲の中では最速です(240BPM)。そのうち300越えのSpeedcoreとか作ってみたい。
元はとあるハードコアレーベルの公募用に作ったものなので(無事落選しました)めちゃくちゃ激しいです。ただワンコードですが一応メロディはあるので、Terrorcoreとしてはけっこうソフト寄り(?)かも。
人を選ぶジャンルだとは思いますが、私はこういうちょっと笑えるがっつりハードコアがすごく好きです……日本でももっと市民権を得てほしいところ。
05.C.R.Y.I.N.G (Extended Mix) - Ariez
エモHardstyle。白側に分類した明るい曲ですが、ジャンルとしてHardstyleから逸脱しているパートがないので、制作名義はAriezです。
元は公募企画であるCosmic Radio 2024へ応募した作品で、今回はロングバージョンを制作して収録しました。
元尺はYouTubeにて聴けるのでぜひ。
後半に新規パートを追加し、新しいメロディに新しいリードシンセ、新しいキックが登場しています。
エモーショナルなHardstyleは健康に良いのでぜひまた作りたいところ。
個人的には1~6曲目の中で一番気に入っています。
06.Isolde - Ariez
名義はAriez。Tearout DubstepとRawstyleのクロスオーバーに挑戦してみました。
制作終盤に超特急で仕上げたので少々荒削りですが、Ariezの楽曲に強いDubstepの要素を取り入れてみたかったので、かたちにできてよかったなと。
この曲のテイストや"イゾルデ"と読む楽曲タイトルは、私が大好きなとあるゲームをオマージュしています。
楽曲内にもそのゲームをプレイした人なら印象に残っているはずの音が、わりと露骨に入っていたり。日本ではなかなかマニアックな作品なので、わかった方がいらっしゃったら手を取り合いたい。
実はジャケットの少女が片目だけ赤いのも……?
07.Erosion feat. 雲丹天まろ - Ariez & Suiren
私初の日本語ボーカルでのオリジナル曲です。
日本語歌唱を中心としながらもドロップはしっかりMainstream Hardcoreという、イベントアンセムなどで見かける構成を目指してみました。
作詞と歌唱パートをSuiren、作曲と歪みキック、リードシンセをAriezが担当……ということにしています。
SuirenとAriezの名義合作は今回で3曲目(1曲目は東方アレンジCD『Sound:World』収録の『Scarlet Monster』、2曲目はYouTubeに投稿しているリミックス『可愛くてごめん (Suiren & Ariez Colorstyle Remix)』)で、Ariezが先行する表記は今回が初です。
-歌詞について-
正直半分くらいは雰囲気で書きました。
今回のテーマはモノクロですが、もう少し掘り下げると、先述した通り一人の少女の精神世界を描くのがテーマとなっています。
虚空と深淵(白側と黒側)を行ったり来たりしているうちに、やがて自分が何者なのかわからなくなっていく、みたいな……すみません、完全に雰囲気です。
記憶や人格が浸食されていく、というのが初期案で、歌詞中に"回顧"や"欠片"など記憶に関する単語をいくらか登場させています。
白世界と黒世界が互いに浸食し合っている、というイメージも(Erosion=浸食 の意)。
楽曲後半の "触れた手 寄せる肩 白百合の香り" という一文は、現実世界に少女にとって大切な人がいたことを示唆するものとして入れました。
あえて白百合と限定したのは、百合にしたかったのでその人も女性であると示しているのと、純粋・無垢という精神性の根幹を表すような花言葉、あとはIsoldeの項にも書いた、とあるゲームをリスペクトしている、というのもあります……。
また、この後"赤く染まる空"という、歌詞中に急に色が登場するのですが、これはジャケットキャラの左目に景色が映り込んでいるという意味。
音楽なので小説のようなストーリーや世界観設定は必須ではありませんが、ジャケットや歌詞、メロディなどの限られた情報から自分の中に世界観を構築していくのが個人的に好きです。
この曲を聴かれている方も、よろしければ自分なりの解釈を探してみてください。
-歌唱について-
歌唱はVtuberの雲丹天まろ様にお願いしました。
ご本人の普段のイメージとはだいぶ離れた楽曲ですが、今回ありがたいことにご協力いただきまして、作品を完成させることができました。
なぜご依頼させていただいたのかというところですが、ひとつは創作者として私がリスペクトしている方であり、(こう書くと少しおこがましいかもしれませんが)一緒にモノづくりをしてみたいと思ったこと。
もうひとつは、これは前提ですが声が好みだということ。
今回のようなテイストになったのは、もともとMainstream Hardcoreでボーカル曲を作りたかったのと、推しのジャンルを推しのVtuberに歌唱していただきたかったということ。
また、雲丹天さんの声ならこういうジャンルも意外といけるのでは?と思ったのと、想像に難くない王道ジャンルより、聴き手が少し驚くような作品にしてみたかった(リスナー限定になりますが……)というかんじです。
楽曲の世界観に合わせた歌唱と、トーンの変化や緩急など各所のニュアンスを汲んでいただきまして、よい仕上がりになっていると思います。
中盤、囁きから始まるパートにて登場するセリフは、ダンスミュージックっぽいサンプル感のあるニュアンスでお願いしました。かわいさを含みつつのかっこいい発音といった感じで好きです。歌ものハードコアっぽさもあってよい。
さいごに
思っていた以上に長くなってしまいました……。
過去のCDにもストーリーやコンセプトが色々あったりなかったりしたのですが、こう語ってみるのもアリですね。
最後に、今回のMonochrome Erosionのストアページを貼っておきます。
◇BOOTH
◇メロンブックス
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2516488
各種デジタル配信やサブスクリプションサービスでも配信中。
おまけ
この前、雲丹天さんご本人が配信で「(クオリティ)大丈夫か!?ってドキドキしてた」とおっしゃっていたので、歌唱よかったですというコメントとともに、雲丹天ボーカル推しポイントをここに羅列しておきます。
声が良い
各所「イロージョン」の発音、勢いとトーン
「白く染まる月」「黒く染まる星」の伸びやかな歌い方
「常闇の空」の "ら"の発音
声が良い
中盤の囁きASMR
セリフ「Dark and Light…」(かっこいい)
「垣間見た――」のやわらかな歌声、からの「瞳に――」の解放感
「"――己へ捧ぐ詩。"」最後の低めの伸ばし
声が良い
声が良い
声が良い
以上です。