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【京大吹零会 起業家インタビュー】株式会社コーチェット 櫻本 真理さん 教育学部 2005年卒

「京大吹零会」とは、京大出身(在学中も含む)の起業家を集めた、起業家コミュニティです。京大には変人が集まると言われるように、京大出身の経営者も変わった人が多いので、周りに理解されず、孤独になってしまうこともあります。そんな「吹き零れ」たちが集まり、経験をシェアして切磋琢磨する、唯一無二の会です。メンバー同士の交流を促すため、また、これから起業したい方に吹零会メンバーを知ってもらうため、隔週で「京大吹零会 起業家インタビュー」をオンラインで放送中。このイベントで収録した起業家たちの講演内容を書き起こし記事としてお送りします



【要チェック!】

公開インタビューのスケジュールや、記事を見て「起業したい!」と思った方のための「京大・起業相談デスク」についてはコチラをご覧下さい。

学生時代のこと。

京都大学に入学した理由は、高校時代に心理学に興味を持ったからです。そのきっかけが日本を代表する心理学者、河合隼雄先生でした。河合先生の著書や講演を通じて心理学の奥深さに魅了され、迷うことなく進路を決めました。

しかし、大学では思うように勉強が進まず、落ちこぼれてしまい、入ったテニスサークルも最初の3ヶ月で辞め、ほぼ天井を見ながら過ごしていた時期もありました。

ただ、京都大学の臨床心理学は夢や無意識を扱うような抽象的な内容も多く、どう学べばいいのか分からなくなってしまいました。その結果、学校に行かずに自分の好きな本を読んで過ごすことが多くなりました。次第に臨床心理学から進化心理学に興味が移り、進化心理学の学会や行動経済学・経営学の勉強会などにも積極的に参加するようになりました。

起業のこと。

その後、IBMでインターンをし、普通の就職活動をする過程で金融業界に興味を持つようになりました。最初に内定を得たモルガン・スタンレーに入りましたが、半年で自分には向いていないと感じ、ゴールドマン・サックスのリサーチ部門に転職しました。ゴールドマンでは運輸業界やテクノロジー業界のリサーチを担当し、非常に興味深い仕事でしたが、リーマン・ショック後に会社の雰囲気が変わったことをきっかけに、体調を崩すことが多くなりました。

この時期、うまく眠れなくなり、仕事に対するモチベーションも低下し、メンタルクリニックを受診しましたが、対応に不満を感じました。待ち時間が長く、診察時間は短く、薬の処方だけで終わるという体験に疑問を感じ、これがきっかけとなってその数年後にオンラインカウンセリングサービス「cotree」を立ち上げることに繋がっていきます。「cotree」は臨床心理士とメンタル不調を抱える人々をオンラインでマッチングするサービスです。

知り合いのオフィスのすみっこを間借りして細々と運営をしていましたが、「cotree」は徐々に成長し、2018年頃から急速に拡大し始めました。

この時期、リーダーや親、先生たちに対してコミュニケーショントレーニングを提供する新たな事業「CoachEd(コーチェット)」を2020年に設立しました。しかし、コロナ禍でオンラインカウンセリングの需要が急増しました。

プライベートでは出産もあったため、全てを掛け持ちするのは無理だと思い、最初の会社を売却して「CoachEd」に専念することにしました。

現在、「CoachEd」では経営チームやミドルマネージャー向けのコミュニケーショントレーニングを提供し、組織の自律型チーム作りを支援しています。

目指しているのは、メンタルヘルスの問題を解決し、人々の幸福度を高めることです。多くの場合、メンタル不調は人間関係やコミュニケーションの問題から生じるため、リーダーが適切なコミュニケーションスキルを身につけることが重要だと感じています。メンタル不調の人を直接サポートすることも重要ですが、影響力を持つ人たちが変わらない限り、社会全体の変革は難しいと考えています。

教育領域にも関心を持ち、大学向けのプログラムや高校生向けのプロジェクトにも取り組んでいます。鎌倉市の教育委員会と連携し、校長先生や教頭先生にコーチングトレーニングを提供するなど、教育現場にも積極的に関わっています。教育の現場での取り組みは、未来のリーダーたちに影響を与える重要なステップだと考えています。

20代ですべきこと。

私の経験から学んだことの一つに、多様な経験を積むことの重要性があります。若い頃には、自分の得意なことだけでなく、苦手なことにも挑戦していけるといいと思います。やってみると意外とできるようになる、という体験は、若いうちの方がしやすいものです。できるだけ早いうちに、たくさん失敗をしているほど、未来の可能性が広がります。

心理学から金融へ、そして起業とチャレンジしてくる中で、長い時間が経つと全ての経験が無駄でなかったと思えるタイミングがくるのだなと感じています。直感を信じて、迷ったら行動する、失敗から学ぶ、のスタンスがこれまで自分の役に立ってきたと感じています。

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