生きてることが辛くても・・・
恋人であるレアンドロスの溺れ死んだ姿に発狂したヘーローが、後を追って海へ身を投げた悲恋の物語である
プッチーニのオペラ「トスカ」は、処刑された恋人・カヴァラドッシの後を追ってトスカが投身自殺をして幕を閉じる
同じくプッチーニのオペラ「蝶々夫人」は、夫・ピンカートンの裏切りに絶望した蝶々さんが自害して幕を閉じる
・・・
みんな、死に過ぎじゃない?
というか、いい感じに感動的な物語にし過ぎじゃない?
私は生きることを選んで欲しかったよ
そこで幕を閉じず、その先の人生を紡いで欲しかったよ
美しくなくても
悲劇の物語に誰かが涙してくれなくても
這いつくばるような日々がその後に待っていたとしても
それでも私はやっぱり生きて欲しかったよ
私は生きてきたよ
その選択が私にとって正しかったかどうか、それはわからないけれど
それでも私は生きることを選んだよ、と胸を張りたいよ
そして長い歳月を経た今
私は、私の人生を悲劇の物語を生きた人として閉じるのではなく
豊かで幸せな人生を生きた人として閉じたいと思い始めているよ
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「生きてることが辛いなら」
テノール歌手・鳥尾匠海さんは
様々な悲しみや苦しみを背負って
それでもなお、もがきながら生きることを選んだ人々を
「一緒に今日を超えていこう、一緒に明日を生きていこう」
と励ますように歌う
「よく頑張って生きてきたね」
そう褒めるように歌う