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本当にあった怖い話・短編怪談|視線
これはYさんが、小学生の頃に体験した怖い話です。
家族と友人家族で買い物に出かけたときのこと。
友人宅の車で遠くのスーパーへ行くことになりました。
車でとあるトンネルの中を通ると、私は強い悲しみや不安に襲われ涙が溢れた。
その様子を見た私の家族や友人らは「大丈夫?」「どうしたの?」と心配そうに声をかけてくれましたが、私は「分からない」と言いながら泣き続けました。
Sちゃんがゆっくりと口を開くと「このトンネル入ってから、足元が寒いしこのトンネルヤバいかも。Yちゃん強い心持たないともってかれるよ」と背中を軽く叩きながら慰めてくれました。
友人のSちゃんは霊感があり、亡くなったSちゃんのお爺ちゃんが見えたりとさまざまな霊体験をしているような子だったので、私は言われた通り涙を拭き、トンネルを抜けるまで涙を堪えていました。
5分くらい経ち、無事にトンネルを抜けると強い悲しみや不安はなくなりましたが、何かに見られているような感覚がありました。
気晴らしにSちゃんと一緒にゲームセンターへ遊びに行くと、ふとガシャポンコーナーに目がいきます。
綺麗に並べられたガシャポン…その暗く狭い隙間に人間の目だけがこちらを覗いているのです。
ソレと目が合ってしまった私は、Sちゃんの手を取り、急いで親の元へ走りました。
Sちゃんもずっと気配を感じていたらしく、トンネルから連れてきてしまったと言っていました。
スーパーでお塩を購入し、簡易的なお祓いをした後、手を洗いにトイレに行きました。
その間もずっと何かに見られている感覚がありましたが、気にしないようにSちゃんと会話をしながらトイレのドアを開けると…薄暗く空気が重い空間が拡がっていました。
早く手を洗って出ようと思っていると、さっきまでは後ろからの視線だったのにトイレの奥…私の右側からの視線に変わりました。
見てはいけないと思っているのに、自然と首が右側へ向いてしまう…。
ゆっくりとトイレの奥に顔を向けると「見ちゃダメ!!」とSちゃんの声で我に返り、Sちゃんと一緒に手も拭かずに急いでトイレを出ました。
私はしばらく視線に悩まされましたが、その出来事も忘れ過ごしていると視線は消えました。
トイレの奥を見ていたらどうなっていたのだろうと考えるとゾッとします。