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|astrology|かに座のおはなし


火地風水、めぐる、めぐり。


風が立つのは、雨の合図。



夕立の前、強い風が吹き渡るように。風たちが分けた後、やってくる水は、ふたたび「くっつけよう」「ひとつに戻そう」とするのです。

かに座は、水の領域のはじめ。うお座の世界の、あの「ひとつ」は、ここではまだ予感でしかないのかもしれません。

分たれてしまったものが、ひとつであったことを思い出そうとする、その予感。そのはじまり。



「くっつけよう」とする最初の働きは、ちいさくあたたかな輪に注がれる愛情として、姿をあらわすようです。

もしかすると、愛というよりも、情が強いのかもしれません。そうであっても、水はその働きを思い出そうとしている。

ちいさな輪は、ホームと呼べるような何か。家族でしょうか、何らかの居場所でしょうか、まるでちいさな湖のような、やさしい輪。



おおきすぎないからよいのです。近しいひとだから、大切に思う。おおきすぎないから、多すぎないから、ひとつひとつがよくわかる、その全貌もよくわかる、よく感じられる。

水の領域は、こんな場所から思い出されることをはじめます。そうして思い出されることをはじめるそれは、やがて突き抜けるような深さや、とめどないひろがりに出会うのです。



この先、さそり座を経て、うお座へ向かう水の領域。その果てから振り返るのなら、とてもかわいいはじまり、やさしく、あたたかな場所。

一巡して戻ってくるとき、このちいさなやさしさ、あたたかさは、より一層深く、まばゆく、感じられるはずです。

同じ《場所》でも、幾重にも深まるのです。再びやってくるとき、知らなかった景色は必ず見えてくる。そうして重ねます。色は重ねられ、深まってゆく。だからホロスコープの世界はおもしろい。



ここから水の領域ははじまったのだと、いつでも思い出されるやさしさが、あたたかさが、ここにちゃんと記されています。

だからいつでも、そのあたたかさに、やさしさに、かえってくること、できるのです。


この季節も、よき旅を。




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