|astrology|うお座のおはなし
ホロスコープの旅の終着点、うお座の季節をゆきます。
旅のあるころから少しずつ感じてきた、おおきな水の、香り、感触。
「それは、この場所だったのか」
辿り着いた旅人は、そうつぶやきます。
おおきなおおきな、すべてをひとつとする、ひとつをすべてとする、海。
すべてがやさしく溶けあってゆく、海。
たくさんの《私》たちが、個々別々に生きる《地上》というシーンにあって
「愛」という言葉が、狭く、細切れにされて捉えられ、ときにその本質が失われてしまうのと同じように
うお座の領域のこの資質を、どのように見つけ、見つめ、そして、あらわすのか、そこには多種多様な試行錯誤があるのだろうと思います。
自他の区別のあるところで、どこまで他者を受け入れるのか、ゆるすのか、一方で、どこまで自己をそれとして打ち出すのか。
自他の相違を祝うのか、嘆くのか。
自他の類似を、どの層で認めるのか。
献身的であることのうつくしさに陶酔することで、損なわれてゆく何かはないのか。
他者を優先し過ぎて、自己を犠牲にしてしまったり、自分本位になり過ぎて、大切なひとが視野から外れてしまったり
自他の間のシーソーは、常に揺れ動き、ときに激しく傾き、バランスを取り戻そうと必死になることもあるのかもしれません。
さまざまな葛藤やドラマが起こることもあるのでしょう。
うお座と、そして、対岸のおとめ座の領域を見るとき、そんなさまざまを感じることも多いのです。
さまざまな葛藤やドラマが起こる、ということは、そこにたいせつな何かが隠されているということ。
何かが隠されているというよりも。葛藤の奥に、ドラマの奥に、見つけ、触れ、取り戻したいのは、ずっとどこかで知っていた「わたし」なのかもしれません。
おおきなおおきな、すべてをひとつとする、ひとつをすべてとする、海。
すべてがやさしく溶けあってゆく、海。
うお座の水となって、ひろく深くすべてを包摂したわたしたちは、春分点にたどりつき、「ひとすじの閃光」へ、ふたたび姿を変えます。
ホロスコープの旅は、螺旋を描いて伸びてゆく樹のように、めぐりめぐって次のサイクルへ入ってゆきます。
この季節も、よき旅を。
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