渉が感情の名前を知らない可能性
こんにちは。鳥です。
サンクチュアリで友也が渉と子渉を和解させたというnoteを書いたあと、日々樹渉について自分なりの解釈をちゃんと纏めようと、
渉にとっての仮面の下とは?
そもそも仮面の下って何?
みたいなことをずっと考えながらひとりでいそいそとツイートをする日々を過ごしておりました。
さて、私はしがない大学生なのですが、子どもの愛着形成について関心があり、前回のnoteでは渉の仮面の下にいるのは「哀しい気持ちを抑え込んだ幼少期の渉」という解釈をしていたと思います。
しかし最近、こんな話を耳にしました。
赤ちゃんが生まれたときに持っているのは「快」と「不快」の2つの感情であり、親がその感情に名前をつけてフィードバックすることで細かな感情を獲得する。
ex:「嬉しいんだね」⇒嬉しい気持ち、「哀しいね」⇒哀しい気持ち、「びっくりしたね」⇒驚き、「楽しいね」⇒楽しい気持ち
今回はこれを踏まえて考えます。
日々樹渉について、怪盗vs探偵団の昔話、サンクチュアリの5歳の渉の様子を見ると、幼少期に「親」又は「養育者」の機能がうまく働いていなかった可能性があると思っています。
つまり、渉は感情を言葉で表す術を持たないのでは?
という話です。
渉の苦手なこととして、
・自分の気持ちを言葉で表すこと
・読書感想文
がストーリーで挙げられていたと思います。
これも全部、自分の感情の名前をうまく理解できていないからこそなのではないかと考えました。
もしそれが本当なのだとすれば、日々樹渉の仮面の下にあるのは「哀しい気持ちを抑え込んだ幼少期の渉」ではなく、「感情は確かにある、けどそれを言葉で表す力がない子」なのかもしれないと思い至ったわけです。
では、感情はあるけど感情に名前がないとは?
それは、身体的な感覚、例えば、
・息がしづらい感覚
・胸がつまる感覚
・自然に口角があがる感覚 など
でしか、感情を言語化できないということです。
しかし、渉は天才です。演劇の才能を持ち、色々な仮面を被り、人々を魅了することができます。つまり、「役」を通した感情は理解しているみたいなんですよね。
寂しいってこういうこと、哀しいってこういうこと、というのを「役」としては解っていても、生きている中で自分が感じるそれとよく似た身体感覚がその感情と同じものであるかは解らない。
自分の感情とうまく繋げられないのではないかな?思います。
だって知らないから。誰も名前をつけてくれなかったから。
怪盗vs探偵団で渉は昔話を「笑い話」と言っていました。みんなが喜んでくれないことを「不思議」だと言いました。
これは、『高尚すぎて理解できない』と言われたそのとき感じた哀しい気持ちを、当時から今現在に至るまで言語化できてない、解っていないからこそ出た言葉なのでは…?と思います。
しかし、その昔話を聞いた真白友也は、渉自身が分かっていないその感情を、「寂しい」「哀しい」だと思いました。
一般家庭で育ち、恐らく親からの適切なフィードバックがあったであろう真白友也から見たそれは、たしかに「寂しい」「哀しい」という感情だったんですよね。
だから、友也は透明と仮面において、渉の感情に名前を付けたんです。
『やっぱりあんた寂しいんだろ』と。
これがサンクチュアリの『自覚』に繋がったのではないかと思います。(前のnote参照)
(友也は渉にとって、安定した愛着を形成するための助けになる存在『安全基地』になりうる存在だと思っているのですが、もし友也が渉の感情に初めて名前を与えたのだとしたら、やっぱり真白友也は渉と子渉を和解させる存在なのかもしれません。)
赤ちゃんと同じで、感情に名前を持たない。だから解らない。
しかし、仮面(役)があればそれを理解できる、演じられる。
だからこそ、渉は仮面を被り始めた可能性があるのではないでしょうか。
仮面があれば、人から向けられた気持ちを全て役として受け取ることができます。
言葉で表すことができない不快な感情(哀しい気持ち)を感じずに済むんですよね。
しかしながら、こんな長々と書いた後に読み返したサンクチュアリで、5歳の渉は友也に対してこう言っていたことに気づきました。
演劇を知らない5歳時点で、ちゃんと「嬉しい」を知っているんですよね。
これについては、5歳より前の幼少期渉は養育者に対して、「不快」よりも「快」の感情を見せていたのではないかなと思います。
人を喜ばせるのが好きで、人に哀しい顔をさせたくないからこそ、本当に小さな頃から「快」の感情だけを優先して見せ、名前をつけてもらっていたのかなと。(渉のそういう性格に関しては、捨て子だったことも関係しているのかも…)
つまり、感情に名前をつけてくれる人がいなかった、というよりかは、渉自身が名前をつけてもらう感情を選んでいたのかもしれません。
長々と失礼しました。
仮面の下については色々な解釈があると思います。ひとつの可能性として受け取っていただけたら嬉しいです。
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