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石読み日記 受け取る準備は知らぬ間に
先日、さいたま市商店街応募キャンペーンに当選した。
「5等は景品の発送をもって当選と~」
きっとどこかに書いてあったのだろう、が、覚えているはずもなく。
宅急便の配達員さんが差し出した箱は、エアパッキンで丁寧に梱包されている。
何も買った覚えは無い。送りつけ詐欺じゃなかろうか?
ハンコを押す前に、ちゃんと差出人を確かめなくちゃ。
配達票の差出人名は「さいたま市商店街応援キャンペーン」
ん?さいたま市商店街?うち、加盟してないけど…何これ?
疑ってかかると、正しい名称を見てもすぐに理解できない。
商店街を装った詐偽とか?
えー?狙うところがマイナー過ぎじゃな…
……あ!あれか!
そうだ応募したわ、商店街キャンペーン!
斜め向かいのパン屋さんでもらった応募券で…
やっと状況を正しく理解。気持ちよく受け取りのハンコを押す。
配達員さん、ごめんね。私は怖い顔をしていただろう…
受け取ることが判っていないと、こんなことになるんだな。
さて、何が当たったんだろう?
「五等 さいたま市内商店街の推奨品A」
と書いてある。品名は無い。そして、結構重い。
ワクワクして開けた。
「お酒だ」
四合瓶3本がうやうやしく並んでいる。呑めない訳ではないが、自分では買わない品物だ。これから年末年始だし、あれば食卓の目出度さが倍増すること間違いなし。
これは良い時期に良いものをもらったな〜と喜んでいると、ふとあることに気付く。
「あれ?昨日作ったやつ、もしかして…」
昨日、精麻のお飾りが一つ完成した。壁掛け用に作り始めたけれど、なんだかしっくりこない。普段なら作り直すのに、そのまま精麻で房を作り、稲穂まで付けてしまった。しかも取り付け用の紐までキチンと撚り、長めに付けた。その紐も、いつもより明らかに長い。
気に入らないが、そのまま完成させていた。
気に入らないままの精麻お飾り。
私はそれを取り出して、当選品の酒瓶に掛けてみた
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ぴったりが過ぎる。
笑ってしまった。
房の感じも、紐の長さまもぴったり。輪っか部分は注連縄と同じ左綯い三本締め。まるで
「御神酒にしなさい」
とでも云われたような気分。
なんだ、ちゃんと準備してたんだ。
精麻飾りを作ったタイミングは、景品が宅急便業者へ渡された頃だろうか?
何も知らず、無意識にせっせと作っていた。
細くて小さめの輪。なんか気に入らないなぁ〜と思いつつ、手間のかかる房を作って取り付けて。やっぱり気に入らないなぁ〜と思いながら稲穂を付けて…
酒瓶に掛けた姿を見て、腑に落ちた。
「うわ、びっくり!すごく良いわ。ラベルの□とお飾りの○、酒と稲の組み合わせ、紐の長さもばっちりだし…」
見えないところでは、ちゃんと受け取る準備ができていたらしい。
意識上では気に入らなくても、見えないところでは「これで丁度良い」と解っていたのだろう。
疑ってかかったのも自分、知らずに準備していたのも自分。
知らぬ間の準備の方が重要。そんなこともあるね。
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