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硫化水素が原因のコンクリート腐食
ある鰹節製造工場の排水処理施設でのこと。
2年前に新造したばかりの排水処理施設の調整槽(鉄筋コンクリート造)
コンクリートが腐食している。
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原因は、硫化水素である。
鰹節工場の排水は、有機物濃度が高い。
また、分解されやすい(腐敗しやすい)性質のものが多くあるので、排水中の溶存酸素はゼロになりやすく、硫化水素が発生する条件である、嫌気状態(酸素が無い状態)になる。
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この槽は深さ4m。
常に排水が貯まっている半分より下には損傷は無いが、上半分の腐食は著しい。この槽は、常時攪拌が行われている。
攪拌は空気を送り込むことで行われている。
空気は上昇して槽の上部へ貯まり、硫化水素と反応して硫酸を生成する。
硫酸は、槽の上部のコンクリート壁に付着してコンクリートを腐食する。
これが腐食のメカニズムである。
この排水処理施設から数百メートル離れたところに、原水槽がある。
工場の排出口からこの排水処理施設までが離れているために、一時貯留する槽として原水槽が置かれた。
その原水槽は、ボックスカルバート(箱型のコンクリート構造物)で出来ている。
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その内部の画像が下です。
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ここに紹介した施設は、地上に設置されているが、ニュースになっている下水道管も一部報道では硫化水素が原因と言っている、それが本当だとしたら同じような条件で腐食したのだと思われる。
破損する前に、早めに発見できれば対処はできるが、地下であることがネックになる。また、硫化水素は有毒ガスなので危険も伴う。
管の老朽化は進んでいる他人事ではない。