『スミス理論』 計量経営編

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前書き

弊社で研究している計量経営理論を載せています。
顧客へ提示する価格の決定方法や社内における予算の決定方法などを論じます。
書きかけですので、ぜひご意見ください。随時更新していく予定です。












利益の上限

【利益の上限】
まず最も基本的な知識を記す。

利益<顧客への提供価値ー提供にかかる費用

である。
※ただし、これはクライアントに錯誤がない場合に限る。
詐欺のように錯誤によってこの不等式が破れることはある。

したがって長期的には我々は『顧客への提供価値』を拡大せねば利益を拡大することはできない。

至極当然のことであるが、忘れられがちなことである。

これを忘れて
「どうやったらたくさんお金が取れるか」
「どうしたら会社を大きくできるか」
などと考えてしまうのは滑稽ではあるが、本当によくある事である。











取引価格の上限

競合の極めて少ない、顧客に対して自社の優位な環境であるブルーオーシャン市場における取引価格について議論する。
【取引価格の上限】
まず、『取引価格』の上限は

取引価格<創造価値×クライアント視点から見た取引リスク係数ー顧客側にかかる{内部&外部}費用

である。
これについて説明する。

【顧客への提供価値:EVC】
まず、『顧客への提供価値:Economic Value to the Customer(EVC)』について考える。
顧客への提供価値EVCは

EVC=創造価値ー顧客側にかかる{内部&外部}費用

である。
例えば、コストカットのようなケースでは「創造価値=削減したコスト」である。

または、顧客製品の改善のようなケースでは

EVC=事業価値上昇(創造価値)ー顧客側にかかる{内部&外部}費用

となる。
『事業価値上昇』については以下の通り。

【事業価値上昇】
事業価値上昇
製品価格上昇分の事業価値上昇販売増加分の事業価値上昇

と分割して考える。

製品価格上昇分の事業価値上昇
(導入による)付加価値率×導入前の事業価値

販売増加分の事業価値上昇
≒({(1+導入後の成長率+資本コスト)/(1+導入前の成長率+資本コスト)}^インパクト年数-1)×導入前の事業価値
=({(1+導入後の成長率+1.08)/(1+導入前の成長率+1.08)}^インパクト年数ー1)×導入前の事業価値
≒({(2.08+導入後の成長率)/(2.08+導入前の成長率)}^5ー1)×導入前の事業価値
≒({1+(導入後の成長率ー導入前の成長率)/(2.08+導入前の成長率)}^5ー1)×導入前の事業価値
≒({1+(導入後の成長率ー導入前の成長率)/2.15}^5ー1)×導入前の事業価値 ※1
≒2.3×(導入後の成長率ー導入前の成長率)×導入前の事業価値 ※2

ただし
インパクト年数≒5年
資本コスト≒1.08
を代入した。
※1 導入前の成長率を0.07程度と仮定
※2 一次近似

したがって元の式は

【事業価値上昇】
事業価値上昇
製品価格上昇分の事業価値上昇販売増加分の事業価値上昇
≒(導入による)付加価値率×導入前の事業価値
+2.3×導入後の成長率×導入前の事業価値
=(付加価値率+2.3×(導入後の成長率ー導入前の成長率))×導入前の事業価値
=(付加価値率+2.3×成長率増加量)×現在売上高×PSR

と導ける。
つまり、導入によって製品の付加価値率が1割だけでもあれば現在事業価値の1割分の価値を創造したことになる。
また、導入によって事業の成長率が10%増加すれば現在事業価値の23%の価値を創造したことになる。


【提供価値の取り分】
さて、ここで『顧客への提供価値EVC』がそのまま取引価格へ転嫁される訳ではない。それはなぜか。そこには『取り分』による顧客との利益按分が起きるからである。
つまり

取引価格=創造価値×創造価値の取り分率ー顧客側にかかる{内部&外部}費用

である。
では、この『創造価値の取り分率』はどのようにして決まるのであろうか。

【取引リスク】
ここで我々は、『顧客にとっての取引リスク』を考慮しなければならない。
顧客からすれば、あなたと取引契約をしたからといって、あなたとの取引が成功するという保証はない。

成果物を納入するに至らずにプロジェクトが頓挫してしまうかもしれない。
または、成果物を得られたとしても、導入した結果として期待していた成果が得られないかもしれない。

したがって以下のようになる。

創造価値の取り分率<クライアント視点から見た取引リスク係数

よって冒頭の式

取引価格<創造価値×クライアント視点から見た取引リスク係数ー顧客側にかかる{内部&外部}費用

が導かれる。

このことから、あなたは『創造価値』を最大化するだけでなく、
『クライアント視点から見た取引リスク』を最小限に低減しなければならないことがわかる。

実際、十分な交渉力がある場合は以下の式が成立する。

取引価格=創造価値×クライアント視点から見た取引リスク係数ー顧客側にかかる{内部&外部}費用












資本回転率と価格

価格を下げることで取引速度が上がる場合、どの程度価格を下げて良いのだろうか。
あるいは、価格を下げることで入金タイミングを早めてもらうことができる場合、どの程度価格を下げて良いのだろうか。

取引速度が上がり資本回転率が上がれば、事業の成長速度は上がる。
一方で、価格が下がり利益率が減少すれば、事業の成長速度は下がる。
このバランスについて考える。

あなたの事業が、一度の取引で得た利益の分だけ次の取引の規模を拡大できるとすると取引一回あたりの成長率は

1+取引一回あたりの成長率=1+案件利益率

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