GUND-ARMとは何か②―身体拡張技術から読み解く

(本投稿は、GUND-ARMとは何か①―身体拡張技術から読み解く の続きになります。)

※3月28日、シェルユニットに関する解釈が変わりましたので、内容及び画像を変更しました。5.以降の記述です。GUND-ARMとは何か③―身体拡張技術から読み解くについても変更済みです。


4.身体拡張技術を超えて―脳拡張とは―


現実世界においても、各社がしのぎを削りながら開発している身体拡張技術ですが、今現在は、「脳に問題はないが、身体を動かせない人」などにアプローチする方式で開発が行われているように思われます。しかし、ニューラリンクでは、脳腫瘍などにより脳の一部の機能が欠損した人の脳をAIが補完し、元通りの機動ができるように…といった構想も練られているようです。

現実世界での身体拡張と脳拡張の関係

また、日本でもこのような研究が進められています。
(ERARO 池谷脳AIプロジェクト:https://www.jst.go.jp/erato/ikegaya/elsi.html 
こちらで紹介されている動画と冊子、素人でも理解することができ、とても面白いので是非ご覧ください)

つまり、身体拡張を超えて、脳機能の拡張(脳拡張)によって身体拡張を実現するといったこと、例えば「失われた脳の機能をAIで代替して体を動かす」などが可能になれば、現在と全く異なる医療や世界のかたちが生まれる…といったことを考えておられる研究者の方がいらっしゃるということです。

(さて、ここで思い出していただきたいのが、身体拡張意識の拡張という岡田プロデューサーの言葉、それとパーメットの特性です。パーメットは人間と機械をつなぐのに大変便利なトンデモ元素ですが、どうも脳に作用し、脳の機能を破壊し、人を死に至らしめるようです…)

5.水星の魔女におけるMSの種類

このように、身体拡張技術(およびその関連の技術)の中にも様々なタイプの技術があることをご説明しましたが、どうも、それらの技術と水星の魔女に登場するMSの種類が合致するようなのです。

この水星の魔女に登場するMSは、大きく分けて、
(1)通常のMS(車や戦闘機などと変わらないMS)
(2)身体拡張技術を用いたMS(GUND-ARM)
(3)(2)を元にした脳拡張技術を用いたMS(GUND-ARM?)

の3種類が存在していると考えることができると思います。

シェルユニットとは何か❶

各MSのご紹介の前にシェルユニットについて、こういうものではないか?というご説明を入れておきたいと思います。

シェルユニットは、パイロットとGUND-ARM間での膨大な情報伝達と処理を可能にしており、ガンビットを運用するなど、GUNDフォーマットの稼働レベルが一定の強さにまで達した際、シェルユニットが赤く発光する。

プラモデル「HG 1/144 ガンダム・エアリアル」の組み立て説明書より

シェルユニットについては、(エアリアルが何か大きな動きをする際に)ちらちらと光るので、主人公の負荷を肩代わりして、AIと一緒に「膨大な情報を処理している」と考えていました。

しかし、他の方からご指摘いただいた内容をよくよく検討したところ、「単にシェルユニットを増強してデータストームを防げばよい」といった結論になってしまうなと感じました。そこで、シェルユニットの本来の役割をよくよく考えみることにしました。

①シェルユニットの光はどうもパーメットの光である
(➡電子回路のようなシェルユニットの中を動いているように見える)
②パーメットが光るときは、パイロットとGUND-ARM間の情報伝達が必要なときのようだ
③情報を伝達するために、シェルユニットは情報に何らかの処理を加えているのではないか

などと考えた結果、GUNDフォーマットの稼働レベルが一定の強さを超えた場合に、機体が得た情報(例えばですが、リアカメラの情報などはどうでしょうか。通常であればコックピット内に表示されると思いますが、パーメットスコアが上がるときのような、戦いが激化したときなどに、脳にダイレクトに情報が流入すればそれだけ反応速度も速いでしょう)を、人体やAIが認識できる情報に変換するなどの役割を果たしているのでは?と考えています。)

(1)通常のMS

ディランザやデミトレーナーなど、戦闘機や潜水艦のように、武器(道具)として使用できるMSです。機体の中の計器類や電子機器はお互いパーメットでリンクしているようですが、搭乗者と機体はリンクしていないか、していたとしてもパーメットは規定値に抑えられているようです。

(2)身体拡張技術を用いたMS(GUND-ARM)

①AI未搭載GUND-ARM

(おそらく規定値を超えたパーメット)で「搭乗者の脳」と「シェルユニット」と「機体」とを双方向でつないでいる機体です。オックスアース製ガンダム(ルブリス量産機やそれを元に改造した機体)がこちらに該当するでしょう。

情報の伝達が早く正確で、通常のMSとはくらべものにならない機動性を有しています。シェルユニットを介して、パイロットは機体からの情報をダイレクトに得ることが出来、また伝えることができますが、戦闘が激化するなどで情報のやりとりが多くなった場合に、脳には過大な負荷がかかります。

この機体の特性を考えると、強化人士は脳を強化されていると考えるのが妥当かもしれません。(従来の強化人間という言葉ではなく、「人士」を使っているとことから、強化されている場所が違うと考えることができると思います)

また、パーメットそのものの有害性については、(3話ラストのハロの発言から、単独で有害性があるものと考えられます)それらが発露するまえに、データストームにより命を落とす搭乗者がほとんどであったのではないかと考えます。

②AI搭載GUND-ARM

パーメットで「搭乗者の脳」と「機体のAI」を「片方向」でつないでいると考えられる機体です。このタイプの機体は、プロローグに登場するルブリス(白・ピンクのMS)が該当すると考えられます。

従来のGUND-ARMが搭乗者の脳を傷つけ、使い捨ての駒のように食いつぶすことが問題なのであれば、AIをパイロットの代わりに搭載すればいいのではないか、という設計思想なのかもしれません。

ルブリスも他のガンダムと同様に、シェルユニットが搭載されており、情報の伝達がスムーズな一方で、パイロットには過大な負担がかかりますが、AIが搭載されていることで、搭乗者の脳はダメージを負うことはないようです。また、片方向の接続(もしかすると双方向かもしれませんが、殺意のない無邪気なエリクトの様子から片方向と判断しました)のため、搭乗者の脳とルブリスAI、双方は独立していると考えられます。

ルブリスAIは搭乗者の考えていることや感じていることをパーメットを通じて読み取り、適切な形で行動することを目的とし、作られたGUND-ARMであると考えられます。(何らかの形でパーメットの「共有」の性質を抑え込むようなことをしていた(おそらくレイヤー33が関連している)のではないでしょうか。)

片方向インターフェースのため、パーメットスコアがあがったとしても、搭乗者の脳はダメージを負いません。ヴァナディースは、GUND技術の健全性を証明するために、必死でルブリスを開発し起動実験を実施していたわけですが、このような形で証明したかったのではないか?と考えます。

ご紹介しているパターンのMSの中で、一番安全性が高そうではあるのですが、搭乗者の脳の独立が保たれたままなので、機体を動かすにあたっては、AIにゆだねることが多くなる(車の自動運転に近いのかもしれません)ため、搭乗者がおかれている状況を本当に的確に把握し、行動をすることができるのか?といった問題(思考や判断力が未成熟な子供でも簡単に機体を扱えてしまう)や、大量殺戮を意図したパイロットが機体に搭乗した場合の危険性といった課題もあるように思います。

また、こちらの機体はデータストームでなくむしろ、パーメットそのものの有害性についても考慮する必要があると思われます。

GUND-ARMとは何か③―身体拡張技術から読み解く に続きます。

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