
シェルユニットの正体(水星の魔女)
✅1.はじめに
水星の魔女が最終回を迎え、重要そうなガンダムたちが泡のように消え、そもそもGUND-ARMって何?シェルユニットって何?という疑問には何も答えが提示されず…終わってしまい、気持ちも追いつかず… noteの加除修正もできませんでしたが、ただ相も変わらず水星の魔女の身体拡張技術については気になる…という毎日でした。
なぜあのような結末に至ったのか、当方の理解を超えていて、よくわかりませんが、本編に埋もれている身体拡張技術の欠片を見つけ出して、水星の魔女が当初設定していた世界に少しでも近づけたらいいなぁ…と思いながら、「水星の魔女」に感謝の気持ちと、諦観の気持ちを込めて、本稿を作成しています。
(書くまでもないですが、youtubeなどの考察動画などには無断で使用しないでほしいです。)
✅2.GUNDフォーマットって何?という方は
シェルユニットについて読む前に、お時間があれば以下の2つのnoteを読んでいただけると嬉しいです。(すぐ読めます)
1.水星の魔女におけるパーメットの元ネタは水銀ではないかという仮説
2.GUND-ARMとは何か①―身体拡張技術から読み解く(①のみでOK)
上記1.2について
1.については考察のとっかかりになればいいな~と思っており残しています。
2.GUND-ARMとは何か①―身体拡張技術から読み解くシリーズの③は、
1期終わりで書いたこともあり、エアリアルについては深読みしすぎた感があり、「外れたな~」という感じで残念でした。(消したい…)
とはいえ、①の、現実に開発されている技術である「身体拡張技術」については、現実の技術の状況をまとめているだけなので、ある程度はズレが少ないだろうというので、水星の魔女の設定を考えていただく中で、①だけは参考になるのではないかなと思います。
✅3.シェルユニットの正体
水星における身体拡張技術の中でもシェルユニットは非常に重要な役割を果たしていると思っており、こちらで深堀していきたいと思います。「GUND-ARMとは何か②」でも少し考察をしていますが、こちらを引用しつつ、その正体について考えていきます。
<GUND-ARMとは何か②より一部引用(修正あり)>
まずは、ガンプラの箱から。
シェルユニットは、パイロットとGUND-ARM間での膨大な情報伝達と処理を可能にしており、ガンビットを運用するなど、GUNDフォーマットの稼働レベルが一定の強さにまで達した際、シェルユニットが赤く発光する。
こちらの記載から、当初、シェルユニットについては、(エアリアルが何か大きな動きをする際に)ちらちらと光るので、主人公の負荷を肩代わりして、AIと一緒に「膨大な情報を処理している」と考えていました。
しかし、他の方からご指摘いただいた内容をよくよく検討したところ、「単にシェルユニットを増強してデータストームを防げばよい」といった結論になってしまうなと感じました。また、「情報伝達」だけでなく「処理」という言葉も記載があります。
そこで、シェルユニットの本来の役割をよくよく考えみることにしました。
①シェルユニットの光はどうもパーメットの光である
(➡電子回路のようなシェルユニットの中を動いているように見える)
②パーメットが光るときは、パイロットとGUND-ARM間の情報伝達が必要なときのようだ
③情報を伝達するために、シェルユニットは情報に何らかの処理を加えているのではないか
などと考えた結果、GUNDフォーマットの稼働レベルが一定の強さを超えた場合に、機体が得た情報を人体やAIが認識できる情報に変換するなどの役割を果たしているのでは?と考えています。
例えばですが、リアカメラの情報などはどうでしょうか?通常のMSであれば、リアカメラがあった場合でも「カメラ映像がコックピット内に表示されるだけ」かと思いますが、パーメットスコアが上がるときのような、戦いが激化したときなどに、脳にダイレクトに映像情報が流入すればそれだけ反応速度も速いでしょう。
<引用(一部追記・修正済)終わり>
上述したように、GUND-ARMが、他のMSに比較してなぜ機動性が高いのか…などを考えていくと、機体が得た情報とパイロットの思考(脳)とをパーメットで読み取り、その情報をそれぞれ、機体ないし人体に合う形の情報に変換する役割を果たしていると捉えるのが、自然かなと考えます。
以下、理由を3つ、記載します。
🔷理由その①💬
(※理由その②のほうがわかりやすいので、すぐに知りたい方はその②を読んでください)
まずは、パイロット(脳)と機体(体)の関係が、中枢神経(脳と脊髄)と末梢神経(手足など)の関係によく似ているから、という理由。

【中枢神経(ちゅうすうしんけい)】
脳と脊髄(せきずい)からなっていて、全身に指令を送る神経系統の中心的なはたらきをしています。脳は頭蓋骨(とうがいこつ)によって、脊髄は脊柱(せきちゅう)によって守られています。
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/karada/karada022.html
【末梢神経(まっしょうしんけい)】
中枢神経と、からだの内外の諸器官に分布する神経とを結び、情報の伝達を行っています。末梢神経には、運動神経と自律神経(じりつしんけい)のふたつがあります。
https://www.chugai-pharm.co.jp/ptn/medicine/karada/karada022.html
上記のとおり、「中枢神経」から送られた指令を「末梢神経」が「体の内外にある諸機関に分布する神経とを結び、情報の伝達を行っている」わけです。神経は、①皮膚や身体のさまざまな部位から情報を脳に送る役割、②送られてきた情報を分析、整理、判断し、その情報に応じて適切な決定を下す司令塔の役割、③その決定を末梢に伝える役割を果たしています。
つまり、脳と体は、双方向で情報をやりとりをし、思考したり行動したりしているわけです。
…何かとても似ていませんか?
そして、脳内には、ニューロンと呼ばれる神経細胞がシナプスを介してつながっていて、電子回路のようなネットワークをつくって情報を伝達します。
シェルユニットの見た目について、思い出していただきたいのですが、エアリアルをはじめ(ダリルバルデとシュバルゼッテ以外)、シェルユニットの発光のビジュアル、なんとなく有機的である一方で電子回路のような不思議なデザインだったように思いませんか?
なんとなくですが、人間の体の中にある、脳や脊髄といった中枢神経や末梢神経の「神経」を機械で表しているように見えてきます。

プロローグに登場しているガンド手術を受けた(ように見える)女性の首元や肩に、発光した赤い何かが見えます。血管なのか神経なのかよく何かわかりませんが、こちらも発光しているシェルユニットによく似ているなという印象です。
🔷理由その②💬
(これが決定打だと私は思うのですが)現実世界で、開発されている身体拡張技術のひとつをご紹介したいと思います。
みなさん、「DARPA」はご存知ですか?

Defense Advanced Research Projects Agency、アメリカ国防総省の研究機関(国防高等研究計画局)
DARPAというのは、Defense Advanced Research Projects Agency、アメリカ国防総省の研究機関(国防高等研究計画局)です。
(これ、私はしたり顔で書いてますが、もちろん、しりませんでした。この作品を知らなかったら、名前すらしらなかったことでしょう…。)
DARPA開発中の身体拡張技術については、様々にあるようですが、その中で、N3プロジェクトというのが進行しています。N3プロジェクトの中にも色々あるようですが、その中のひとつが…非常に…大変…ものすごく…とっても…わかりやすかった(お察しください)ので、ご紹介します。
NHKのクローズアップ現代で紹介されているこちらの記事、是非読んでみてください。
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/p3O572xlEk/
DARPAの開発中の技術、簡単にいうと、
①体内に「ナノレベルの粒子(ナノトランスデューサー/nano transducer※ transducerは変換器の意)の機器」を注射し、
②その機器が、「脳の神経細胞が発する信号を読み取り(Read-Out)」
③②の情報をdecodeしたものを用いてドローンを動かす
(※以下の画像にdecode and encodeという記載がありますのでご注目)
④「また、逆に神経細胞に電気信号を送る(ここでもおそらくデコードが起きている)こともできる」(Write-In)

ということだそうです。
簡単に言うと、(何度も何度も書いていますが)、「脳からの発信を”何か”が読み取り、その情報を機械に合う形の情報に”何か”が変換する」ことが起きているのです。しかもドローン(スウォーム兵器との記載も有)を複数機を動かす、ということを最終目的として…。
補足:
Decodeの意味
〔記号化されたものを〕解読する、復号する
・Scientists are working hard on decoding human DNA. : 科学者たちはヒトのDNAの解読に懸命に取り組んでいる。
Encodeの意味
エンコードする、コード化する、符号化する、記号化する
・A special scanner will read information encoded on the tiny capsule. : 特別なスキャナーで、微小カプセルに記号化された情報を読み取る。
また、①に記載した「ナノレベルの粒子(ナノトランスデューサー)」というのは、「圧電シェルに包まれた磁性ナノ粒子である『BrainSTORMS)』」といい、このシェルが 「electrical signals from neurons(ニューロンからの電気信号)」 を 「magnetic ones and vice-versa(磁気信号に変換したり、その逆)」にconvert(変換)する、との記載する記事があります。
The nonprofit Battelle team gets even fancier with their ”BrainSTORMS” nanotransducers: magnetic nanoparticles wrapped in a piezoelectric shell. The shell can convert electrical signals from neurons into magnetic ones and vice-versa.

(何かに、とってもよく似ている気がいますが、、、空似だと思うことにします)
いずれにしても、DARPAのこちらの技術(他のどの身体拡張技術もそうではありますが)
「①脳波を読み取り」
「②読み取った信号(情報)を」
「③機械に合う情報に”変換(デコード)”し」
「④デコードされた情報を機械が実行する」
(※その逆も可能にしようとしているのがDARPAの技術)という一連の流れが発生することは、当然の流れであって、「該当する情報をデコード(エンコード)する機能」というものは、その技術の根幹なわけです。
とすれば、やはりDARPAの技術と同じ、シェルというの言葉を使っていることからしても、「シェルユニットというのは、脳と機体をつなぐための『デコード(エンコード)装置』であるだろうということ」
また、「身体拡張技術であるGUNDフォーマット搭載の機体にしか、シェルユニットは搭載されていないだろう(…1機、怪しいのがいますが)」といえると思います。
🔷理由その③💬
すでにもう何話だったか忘れてしまいましたが、「しょーもない兄弟喧嘩」をみなさん、覚えていますか?
グエルとラウダが戦闘になった際、最終的にグエルはシュバルゼッテのシェルユニットを破壊しラウダを止めます。シェルユニットを破壊すると、GUNDフォーマットが停止し(ラウダのパーメット痣も消えます)、シュバルゼッテの動きも止まります。(エアリアルがアンチドートを喰らって通常のMSと同じ状態になったのと同じかと)
こちらの描写を読み取る限り、「シェルユニットが壊れるとGUNDの接続も止まる」わけです。
このシーンを見て、ずっとシェルユニットの役割を考えていた当方としては、本当のグエルの行動のすごさ…「GUNDの仕組みをきちんと理解していた」には、説明は割かれませんでしたが、きちんと描写だけはしていただけたことに、酷く感動したのを覚えています。
シェルユニットの搭載された機体(ダリルバルデ)に乗り、多くのガンダムと邂逅し…(本来であれば赤いシュバルゼッテも彼が搭乗予定だったはず…というのは本当に残念ですが)それでも、本編のストーリーには不自然なまでに遠ざけられていた
にも関わらず、グエルだけはGUNDを理解しよう、わかろうとしていた描写が入っていた
なぜ、この描写が「残った」のかは分かりませんが、本編ではほとんど核心に触れられなかった、GUNDという技術や、グエルというキャラクターの本質を大事にしていた方が存在していたこと、そのことについて、ありがたく感じました。
以上です。拙文を最後までお読みいただきありがとうございました。
医療としてのガンド技術におけるシェルユニットとは何かについて、次回書きたいと思います(作中の描写が少なすぎておそらく憶測だらけになる予定)
が…色々なことにうんざりしているので、いつになるかは分かりません