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#57.秘密基地の魅力/Dom Dolla, Tove Lo - CAVE

おはようございます。さて、時代時代に流行語なるものがあるけど、去年の流行語は? と問われて答えられる人はどのくらいいるだろうか、みたいなことを考えてしまった。

言葉に限らず、流行それ自体がわたあめみたいに消えていくものなので、それはそれでしょうがないものかもしれない。流行語に限らず、たとえば3年前に流行った歌とか覚えていますか? あるいは、5年前の今ごろ流行ったドラマやアニメを。

このあたりの感覚、もちろん個人個人で大きくちがうので、たとえば去年流行した曲が個人的にものすごく思い出のエピソードと一緒になって覚えている、みたいなケースだってそりゃおおいにあるのだろうけど。

このブログだって、そのときそのときの流行している曲を取り上げていたりするんですが、流行り廃りのスピードは早いですね。「この曲、ひさしぶりに聴いたなあ」という曲が半年前くらいのリリースだったみたいなことだってあるから。

ところで昔、推し活で買ったキャラクターグッズが何年もの時間を経て、人々の記憶からも薄れてしまい、たとえばメルカリに安く出しても売れないとき、泣きながら捨てるしかないのかな。みたいなことをふと思ってしまったのです。大掃除の季節も近いですね。


秘密基地という遊びを今どきの子どもはするのだろうか。ふとそんなことを考えたけど、コロナ禍以降は狭苦しいところに何人も集まる機会も少なくなったので、おそらくは秘密基地の遊びみたいなことも、だいぶ廃れているんじゃないかなあと想像しています。

わたしが子どものとき、近所の農作業小屋みたいな建物の廃屋(田舎育ちなので)を秘密基地にして遊んでいました。

秘密基地といっても、ただ忍び込んでたわいない遊びをするくらいなんだけど、家からも学校からも隔てられた自分たちだけのスペースというのはなかなかドキドキするし、それだけでも面白いものです。

ただ、廃屋とはいえ、やっぱり不法侵入には違いないので、秘密基地という遊びもあまり褒められたものではない。いま、大人になった自分がどこか他人の所有する建物に忍び込んで秘密基地ごっこをする子どもを見かけたら、さすがに注意するよねえ。

我ながら(子どもから見れば)つまらない大人になったものだなあと思うけど、それが大人の責任だからしょうがない。どこかの子どもが秘密基地に忍び込むのを黙認していて、その子どもにうっかり事故とか起きてケガなんかしちゃったら、それこそおおごとだし。

だからこそ、他人の敷地や建物に不法侵入するような秘密基地という遊びも、自然になくなっていくのかもしれない。一方で、自分の家の庭やベランダ、あるいは押入れやクローゼットを使うような秘密基地の遊びは残っているのかもしれないね。

そういえば子どものおもちゃで屋内で使う一人用のテント、みたいなものがあります。いま調べてみたら「キッズテント」というらしい。考えてみれば、キッズテントも外から隔てられた子どもだけの空間と考えると、秘密基地に近いものがある。

そういった世の中に流通しているキッズテントは、どちらかといえば小学校に入るか入らないかくらいの年齢の子どもを対象にしたもの。

それでそれで思いついたんだけど、そのテントに炎を吐くドラゴンとか青白い炎を放つ剣の絵を描いて、ファンタジーゲームに出てくる西洋の城みたいな雰囲気にしたら、小学校高学年あたりの男の子に爆発的に売れそうだけど。

それとも今どきの小学生男子は、ドラゴンや剣に心を動かされないのかな。

とにかく、そういう他から隔てられた自分だけの空間みたいなものへの憧れは大人になってもあるはずです。サードプレイスなんかもてはやされるし、個室ブースみたいなワークスペースもあるし。

つまりは他とは隔たって自分だけの空間を味わうという意味では秘密基地みたいなものの需要はある。その意味ではサードプレイスも秘密基地みたいなものですね。ワークスペースは文字どおり仕事をする場所だけど、他から隔てられてる場所ではある。

さて、Dom Dolla と Tove Lo "CAVE"は、あなたの愛はいらないけど、あなたの手が触れているのを感じると歌います。

Dom Dolla, Tove Lo - CAVE (Official Video)

ここでの"cave"、直訳すれば「洞窟」。ここではいろんな意味を持つスラング的な使われ方ですね。この曲の主人公は、あなたの愛は欲しくないと言いつつも、そのあなたに心が囚われ、そのあなたの「洞窟」へと今にも吸い込まれていきそうな心情を抱えています。

ちなみに"cave"には、「男の秘密基地」という意味のスラングもある。ここからは、ある女性が男性に心惹かれながら、男性の魅力に虜になっていく姿が、まるで洞窟に吸い込まれていくような雰囲気を醸し出しています。

子どもが作る秘密基地、それも家の外に自分だけの秘密の場所を作る種類のものは、一人で遊ぶものではなく、どちらかと言えば友達と遊ぶもの。その友だちと特別なつながり、絆みたいなものを感じます。

大人になって、女性がある男性に惹かれつつ、それでも「洞窟」に吸い込まれる方のものも、ある意味では特別なつながりといいますか、特別な関係性を求めるものではありますね。外の世界と隔たって自分たちの秘密の関係を楽しむという意味では。

わたしは今のところ、心おきなく小説を書けるような秘密基地を見つけたいですね。ファミレスやカフェ、あるいはワークプレイスでもいいんだけど、お金かかるからなあ……。


※ひつじのはなし|Good Morning! Musicは、水月羊(the Maverick Black Sheep)が大胆不敵にも音楽(主に洋楽)エッセイを書こうという目論見と試みです。洋楽の曲を聞いての感想や解釈のエッセイ、コラムとなります。気になった曲の歌詞の意味はそれぞれ訳してみてください。また違った見方ができるかもしれません。


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