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#53.大人なんだからね/Paramore - Brick By Boring Brick

おはようございます。最近、公衆電話というものをあまり見かけないですね。使う機会なんてまずない。そもそも、わたしが最後に公衆電話を使ったのは学生の頃だったような気もします。

というより、今の学生や若い人、あるいはそれなりの年齢の人でも公衆電話を使ったことがある人はほとんどいないんじゃないかなあ。最近では災害時に通信インフラとして必要という話も聞いたことがあるけど、そもそも公衆電話がなければ話にならない。電話だけに。

わたしにしても、公衆電話がどこにあるかも把握していないし、それに公衆電話をいちおうは使ったことのあるわたしでも、いま公衆電話を使えと言われたら、ええっとどうやって電話かけるんだっけ、みたいなことになりそうです。

でも、あの公衆電話の入っている電話ボックスってなかなかいい雰囲気ですよね。場所によっては、独自のデザインだったりするし。ああいう感じでスマホを使えるボックスみたいなものがあちこちにあっても、まあ、使わないですねえ。


「大人になった!」と実感する出来事って人によってさまざまだとは思うけど、自分の場合はというと、これといった決定打が思い浮かばない。大人になってそれなりに時間が過ぎてしまったので、忘れてしまっただけかもしれないけど。こればかりはしょうがない。

たとえば、人によってはタバコを吸ったとかお酒を飲んだみたいな話になるかもしれない。けどわたしはタバコを吸ったことはないし、お酒はまあ、その、昔の話なので許してほしいなあと言い訳をしつつ、今はまったく飲んでないのでプラスマイナスゼロということで。

ほかにも初めて給料をもらったときだとか、飛行機やホテルの手配を自分でやったときだとか、アイドルグループのメンバーの顔が全員同じように見えたときだとか、夜更かしができなくなっただとか、いろいろあるかとは思います。

そんなふうに、いろんな出来事を少しずつ経験していくことで、子どもは大人への階段を一歩ずつ登っていって、あるときふと「自分はもうすっかり子どもじゃない!」と気づくときがくるものなのかもしれない。

逆に自分が子どもだった頃のことを考えると、大人の世界と自分の属する子どもの世界とのあいだには、はっきりと大きな壁がそびえ立つような、あるいははっきりと太い線が引かれていたりしているような感覚がありました。

でも、まあ実際にそんな壁や線といった、はっきりとした境界線みたいなものはなくて、中学、高校、大学と進むにつれ、その壁も少しずつ低くなって、気がつけば自分もすっかり大人の世界の住人になっていることに気づく、みたいな感じですかね。実際には。

Paramoreの"Brick By Boring Brick"は、大人になった自分が子どもの世界に終わりを告げる、といった趣のある曲です。

Paramore: Brick By Boring Brick [OFFICIAL VIDEO]

Brickとは「レンガ」との意味。だから、"Brick by Boring Brick"を意訳すると、「退屈なレンガを積み重ねる」みたいになるのかもしれない。

自分が子どもだった頃を考えてみるとですね、大人の世界というのは、ただひたすらレンガを積み上げていくような、退屈で変わり映えのしないうんざりする毎日のように見えたようにも思えます。あくまでも子どもから見れば、ということだけど。

だから、子どもから見れば大人の世界ってつまらないし、大人にはなりたくないなあと思うもの。その気持ちはよくわかります。

けど、時間の経過につれて子どもは少しずつ大人になっていく。ひとりで冠婚葬祭に出席していたり、クレジットカードの明細を確認してびっくりしたり、いつの間にかお年玉を渡す方になってたり。まさにレンガをひとつひとつ積み上げるようにね。

それで、ふと気づくわけです。自分もまた、いつの間にか大人になってしまったことに。その瞬間、大人になったわたしたちは彼方に過ぎ去っていってしまった自分の子ども時代を自分の手で掘った穴に埋めてしまうものなのかもしれない。この曲の公式動画のように。

そんなふうに、Paramoreの"Brick By Boring Brick"は子ども時代と訣別することを歌った曲として受け止めたい。

ただですね、これは蛇足みたいな話だけど、大人になってある程度の時間が流れると、誰にとっても子ども時代が最高だったとは限らないし、むしろ大人になってからの方がはるかにラクで楽しく過ごせたりすることもあるということに気づきますね。

とりあえずは自由なので、好きなものお菓子や料理は好きなだけ食べられるし、夜更かししても誰かに怒られることはないし。ただ、実際には体重や血糖値の心配をしたり、翌日に響くからなあと早めに寝たりするんですが。

とにかく、クレジットカードは使いすぎないように気をつけよう。大人なんだからね。


※ひつじのはなし|Good Morning! Musicは、水月羊(the Maverick Black Sheep)が大胆不敵にも音楽(主に洋楽)エッセイを書こうという目論見と試みです。洋楽の曲を聞いての感想や解釈のエッセイ、コラムとなります。気になった曲の歌詞の意味はそれぞれ訳してみてください。また違った見方ができるかもしれません。


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