#54.あなたのために泣く/September - Cry For You
おはようございます。9月にふたつあった三連休も終わり、10月の三連休が待ち遠しいこの頃ですね。
早くもハロウィン仕様のパッケージが施されたお菓子をスーパーやコンビニで見かけるようになりました。さっそく試してみましたよ。アップルパイ味のキットカットです。あまりハロウィンに関係ない味のような気もしますが、そこはお祭りみたいなものなので。
誰かのために泣いたことがあるか? と聞かれると、わたしの場合、考えてみれば誰かのために泣いた記憶はない、ような気がします。我ながら薄情だなあと思うけど、そのあたりはわりとドライなのでしょうがない。覚えてないだけかもしれないけど。
もちろん、悲しい映画やドキュメントを見て、そこに映し出される悲惨な状況に置かれた誰かの姿に泣くことがないわけじゃない。『火垂るの墓』に出てきた清太と節子の姿みたいなね。
ここではそういう映像の中の誰かのために泣くことではなく、あくまでも自分の身近にいる誰かのために泣くこと。親子、兄弟、パートナー、友人、先輩後輩などなど。
だから逆に親しい誰かが泣いていたら、一緒に泣けるかと問われても、それはなかなか難しいですね。もちろん、親しい誰かが悲しい思いをして泣いているのなら、できるだけ寄り添うとか一緒にいるとかして、その悲しみを軽くしようとはするけど。
そう考えると、誰かと一緒に泣くって行為はけっこう深い共感というか感情の共振みたいなもの。二人のあいだのつながりがよほど強いものじゃないとできない行為です。あるいは、相手への思いやりや信頼が強くないとできない行為ですね。
だから、自分のために一緒に泣いてくれる存在はいますか? と聞かれて、即答できる人は幸せかもしれない。わたしの場合はあまり自信がない。自信を持ってこの人のためになら泣ける人がすぐには思い浮かばない。普段の人づきあいがあまり良くないからかな。
Septemberの"Cry For You"。タイトルはそのまま、「あなたのために泣く」。歌詞には「私と別れて二度と会わなくなったら、いったい誰があなたのために泣くの?(意訳)」みたいな感じで出てくるフレーズです。
September - Cry For You (UK Radio Edit)
「私」は恋人のために泣くほど相手に思い入れがあったのに、その恋人はそんな「私」から離れていく。この歌詞からはそんな光景が浮かびますね。ただ、その一方で相手が「私」のために泣いたことがあるのかといったことは、この歌詞からは読み取れません。
恋愛していても、相手への愛情の深さみたいなものに温度差はあるものだけど、この歌詞に出てくる「私」はずいぶんと相手に深い愛情を抱いていたのかもしれません。
ところで、別れるときになって「あのとき、一緒に泣いてあげたでしょ!」みたいなことになるとちょっと鬱陶しいし、厄介なことになったなあと思うけど(これは男でも女でもどちらでも成り立ちそうですね)、この曲にはそういうニュアンスはない。
まあ、歌詞にあるように「私と別れたらいったい誰があなたのために泣くの?」という問いかけ自体は、ちょっと鬱陶しいかもしれないけど。
ちなみにこのSeptember(言い忘れていましたが、これがこの曲を歌ってる歌手の名前です)の"Cry For You"をサンプリングした曲が、Charli XCXの"Beg for You(feat. Rina Sawayama)"。
Charli XCX - Beg For You feat. Rina Sawayama [Official Video]
この曲もまた、別れゆく恋人にまだ行かないでと呼びかける曲となっています。公式動画は怪しげなカルト教団感が出てますね。熱烈に恋することを皮肉的に表しているのかな。
※ひつじのはなし|Good Morning! Musicは、水月羊(the Maverick Black Sheep)が大胆不敵にも音楽(主に洋楽)エッセイを書こうという目論見と試みです。洋楽の曲を聞いての感想や解釈のエッセイ、コラムとなります。気になった曲の歌詞の意味はそれぞれ訳してみてください。また違った見方ができるかもしれません。
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