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#sp14.2024年夏のヘビーローテーション

いきなりですが、野菜食べてますか? わたしは生野菜も茹でたり蒸したり焼いたりした野菜も大好きなんですが、最近は野菜の価格も高騰していますね。猛暑が追い打ちをかけて、安い野菜というのもあまり見かけません。うちの狭い庭じゃ家庭菜園もできないし。

ところで、梅干しの梅って当たり前だけど野菜なんですよね。梅っていうと調味料とか果実みたいな、野菜ではないカテゴリーに勝手に分類しているけど、れっきとした野菜なんですね。

と、ここまで書いて調べたら、梅は果実として扱われることもあるようです……。つまり梅は、野菜としても果実としてもどっちでもどちらの顔を持つ。そう書くと、ちょっとかっこいい。

けど、この梅の消費量は年を追うごとにどんどん減っているらしい。

わたしは梅干しをご飯に乗せたり、おにぎりに入れたり、あるいは梅サイダーや梅酒(ノンアルだけど)を飲み、ときには干し梅を食べたりと、かなり梅を消費してる方だけど、梅ってそんなに人気がないのかな。

こういう暑い時期なんか、梅サイダーみたいなのは最高なんだけど。

とにかく、8月もひと区切りですね。2024年8月のヘビーローテーションです。6、7、8月にわたしがよく聴いた曲を3曲選んでます。本当はこのあいだの水曜日(第5水曜日だったので)に更新しようと思ってたんですが、そのへんは大目に……。


「キンバラ、キンバラ、キンバーラ」という繰り返しがクセになるのが、Barry Can't Swimの"Kimbara"。歌詞の内容はほぼないので、ひたすら「キンバラ、キンバラ、キンバーラ」と、繰り返します。

Barry Can't Swim - 'Kimbara' (Official Visualiser)

元曲は「サルサの女王」と呼ばれたキューバの歌手セリア・クルースの曲"Quimbara"。1974年発売なので、今から半世紀も前の曲なんですね。以下の動画から、半世紀前の空気を感じられます。

Celia Cruz - Quimbara (En Vivo) - 100 Años de Azúcar

いやあ、いいですね、このステージの雰囲気。この"Quimbara"の歌詞も、みんなで踊ろうという雰囲気が出ています。こちらの元曲のスペイン語の歌詞を英語の歌詞に訳したページが見つかったので、その英語をわたしが雑に訳すと、次のような内容。

「楽しいパーティーに出かける」、あるいは「楽しい時間を過ごします」と歌い、何人かの名前を呼んで、みんなも踊っているよと誘います。「パーティーでみんな踊っているから、私たちも踊ろうよ」と誰かを誘っているような内容ですね。

さて、"Kimbara"も"Quimbara"もどういう意味かというと調べたら、これは日本語圏のインターネットでは明確な答えは見つからない。じゃあ、英語圏じゃどうかというと(わたしの探し方が悪い可能性が大きいんだけど)、やっぱりあまり明確な答えは見つからない。

それでも、いくつか見つかった検索結果では、下品な俗語ということで、いわゆる「make love」だという解釈も載っていますが、これも決め手に欠ける。そもそもが古い時代の口語というかスラングなんじゃないかなあ。

だから、みんなパーティーで踊っているから、私たちも踊ろうという内容は、ある意味では比喩でもあって、まあ、やっぱり誘っているのかもしれない。とにかく、ものすごく暑かった今年の夏にふさわしい一曲。

「キンバラ、キンバラ、キンバーラ」と、呪文のように唱えて暑さを忘れましょう。


いきなりだけど、"birds of a feather"を直訳すれば「鳥の羽根」なんだけど、ちゃんと調べると「似たような人々」「同じ穴のムジナ」みたいな意味の言葉になる。鳥の羽根はたしかに似たような羽根が密集しているから、雰囲気は伝わりますね。

日本語のことわざに「類は友を呼ぶ」というものがあるけど、これが英語になると"Birds of a feather flock together"となる。つまりは「似たもの同士が集まる」みたいな意味だけど、英語ではもう少しネガティブなニュアンスがあるようです。

それこそ「同じ穴のムジナ」みたいな感じなのかな。

Billie Eilishの"BIRDS OF A FEATHER"も、もっと結びつきを強くした方が良いよね、くっついた方が良いよね、みたいな意味合いで「わたしたちは似たもの同士なんだから一緒にいたほうが良いよね」と歌います。

Billie Eilish - BIRDS OF A FEATHER (BILLIE BY FINNEAS)

内容的には、熱烈に恋人を愛していることを歌う内容なんだけど、そこはビリー・アイリッシュふうの、なんだか気だるく、そして不穏な雰囲気さえも感じ取ってしまうような曲調です。なんというか、ひと夏の熱烈な恋、みたいな雰囲気が漂っている、みたいな。

そこでは熱烈に愛してはいるけれど、これ以上この恋は長くは続かない、みたいな予感を抱いている。だからこそ、もっと結びついていたいと願っている。けど、その願いはけっして身を結ぶことはないことにも気づいている。

その上で、これが最高の恋だったかもしれないし、これから先、こんな最高の恋はできないことを予感している、みたいな。そういった感じのひと夏の熱烈な恋、いいですねえ。

今年の夏はものすごく暑かったけど、熱烈に暑いのは恋だけでいいですね。と、見事なオチがついたところで次の曲です。


花の一生は儚いというイメージがある。ひとつの季節を超えて咲き続ける花は、あまり聞いたことありません。わたしが知らないだけで、本当はいっぱいあるのかもしれないけど。たとえば桜もひまわりもそれぞれの季節を超えないからかな。

そういう一瞬一瞬を保存しておきたいと思うのは自然な気持ちでもありますね。花の美しさを少しでも長くとどめようと、人々はドライフラワーや押し花みたいなかたちで花を保存してきました。

そんなふうに、一瞬一瞬を保存しておきたいのは、恋愛でも同じ。

saluteとRina Sawayamaの"Saving flowers"は、「私のすべての花をあなたのために守る」との覚悟から始まります。savingは保存や保管する、保持や維持するとの意味だけど、直訳すると「花を保存する」というタイトル、言いたいことはよくわかりますね。

salute - 'saving flowers (with Rina Sawayama)' (Official Video)

この曲の主人公には好きな人がいるんだけど、その人の心は自分に向いていない片思いをしているとも取れるし、恋人同士だった二人が離れ離れになろうとしているようにも聞こえます。だからこそなのか、「あなたが飛べるように」花を保存すると歌います。

ここでいう「あなた」は私の元から離れつつある。それが恋愛なのか、仕事なのかはわからないけど、とにかく私の元から物理的に離れつつ、そして心も離れつつ、人生の新しい段階へ進もうとしている、みたいな光景が浮かびます。

二人が一緒だった頃の思い出は、まさに「花」のような記憶があるのかもしれない。それは短い期間だけ咲く花みたいなものだったかもしれないけれど、美しい記憶として残したい。だから二人で過ごした思い出としての「花」を保存しておこうと決めた。

そういうストーリーが浮かびます。

ところで、わたしも子どもの頃に押し花なんかを作った記憶がある。たぶん学校の授業とか課題で。けど、その押し花ってどこに行ったんだろう。きれいな花を保存するための押し花なのに、押し花さえもあっけなくどこかへ行ってしまいました。儚い!

あまり歌にはならない思い出です。


※ひつじのはなし|Good Morning! Musicは、水月羊(the Maverick Black Sheep)が大胆不敵にも音楽(主に洋楽)エッセイを書こうという目論見と試みです。洋楽の曲を聞いての感想や解釈のエッセイ、コラムとなります。気になった曲の歌詞の意味はそれぞれ訳してみてください。また違った見方ができるかもしれません。


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