「水道事業の現状とこれからを考える川口の"水に流せない”話」イベントレポート(報告:市長・各会派への公開質問状の回答と分析)
今回は4月3日の学習集会の講演以外のところをレポートします。
公開質問状の回答に対する「水道料金値上げに反対する川口市民の会(以下「 市民の会 」)」の見解も発表しましたのでここに書きます。
どうぞ最後までお付き合い下さい。
場所について
会場となった生涯学習プラザの1階ホールは定員200人でフローリングの明るい場所です。聴講席は講師の席から少し離れて扇状に50人分の椅子を並べていました。入り口に受付で名簿に記入していただき小冊子含む資料セットをお渡ししてご入場いただきました。その隣に署名協力コーナーを設けていました。開会時には38人、公演が始まる頃には44人の参加者が居ました。参加者の年齢層は50代~80代という感じで男女比は6:4くらいで女性の方が多かったです。
水道料金値上げに反対する川口市民の会
生田代表の挨拶
ちょうど1年前の4月に会を発足しました。
水道料金が25%上がると聞いてビックリして周りの人に話したのです。
折よく水道民営化の本が出ていて新聞で紹介されていて
読んで自分たちがあまり水道の事を知らないことを知りました。
署名集めて電話をくれる人もおりまして、お話をしますけど
「コロナで大変な時に手洗いしろとか言いつつなぜ値上げするのか」など
切実で悲痛な話を聞きます。
「こうして活動してくれたので半年でも延期されたんですね」と
言ってくれる人もいれば
「もっと頑張って下さい」という人もいます。
駅前や市役所前で活動していると毎回思いも寄らない人から
「一緒にやりたい」と声をかけてもらえます。
すごく大勢の方と知り合いになれた。
「仲間」になれたと感動しています。
市民活動ってこういうことだって思います。
政党や宗教に限らず一緒にやってくれる。
これは川口だけの問題ではなく政治の問題だよ、と
一人一人のの問題だから皆でやっていくんだよ、という
お気持ちのある方が担ってくださる。
責任感のある方がやってくださる。
乗ってくださる。
これは凄いことだと思います。
皆さんと一緒に勉強しながら
もっともっと広がる運動にしていきたいと思います。
中身はいっぱいです。
政党や市長に何度も何度も働きかけたり、手紙出を出したり、
それをどうしらいいか
勉強しながら、相談しながらやっていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
報告 市長・各会派への公開質問状を通しての分析・中間報告
「市民の会」の事務局メンバーが資料を元に報告をしました。
2月24日に公開質問状を3月15日までの期限付きで、市議会各派にお届けしました。公明党以外はすべて、回答がありました。市長にあてたものは、水道局が回答してきています。
(公開質問状とその回答はこちらにアップしています。
https://note.com/suidouneage/n/n57703acb7cba )
質問1.水道事業への市独自の財政支援について、どう考えるか?できるのか?
(1)青嵐会、新風会、共産党の回答は、支援妥当、国に要望していくべき、大切とある。
(2)新風会、共産党は、「一般会計からの低所得者世帯への減免制度を」(さいたま市は実施)と指摘。
(3)市長(水道局)、自民党は、「地方公営企業法でで独立採算が求められ、その例外として17条2で「消火栓、公園の水などの経費、収入のみでは客観的に困難」ななものについて市の一般会計で負担することができると規定している。ただし毎年、総務省からその内容を「繰出基準」として細かく通知される。これ以外は原則認められない。」と指摘。その上で、「水道への一般会計からの繰入は市が行うべき他の施策(福祉、衛生、消防、防災、教育等)の財源を減少させ、遅れさせるので行うべきではない」という回答。
→社会資本としての水道施設は税金投入するべき
(当日配布「水道事業の分析」P15-16まとめ参照)
①財務省ホームページに、「税金は、年金・医療などの社会保障・福祉や、水道、道路などの社会資本、教育、警察、防衛といった公的サービスを運営するための費用を賄うもの」と説明がある。
②日本水道協会は「公費負担のあり方」の中で、「浄水場の更新事業に関わる経費は、膨大な費用を要し、水道料金の高騰や、地域の公衆衛生、生活環境の確保、産業活動の充実、雇用の創出など、地域の社会貢献もあり、繰出の緩和の上、更新事業の経費の一部について一般会計等で負担すべきと考える」とある。
質問2.水道事業の民営化についてどう考えるか?
(1)「コンセッション方式などの民営化については、現段階では考えていない。」が自民党含め共通。
(2)他の各会派は、「今後とも反対、利用者共有の財産、民主的コントロール下におかれるべき。運営権を儲けの道具にするのは良くない。」と回答。水道局は、「品質、料金、撤退リスクなど検討すべき点も多いと考える。」と回答。
(3)そのうえで市(水道局)は、「市が責任を持ち、安価なだけでなく「安全」のため、強靭な施設持続のため、適正料金も必要と。適正な料金にしている。」と主張。(「水道料金の適正化」と同文)
→ヨーロッパの再公営化の問題は知られている。ただし、厚労省は2018年水道法改定でコンセッション方式(運営権の民営化)を導入。厚労省の「水道料金の適正化」の文章のなかで、総括原価方式(人件費からすべてを原価に含み、支払い利息、資産維持費、法人税、配当金までも含む方式)と提案。民間が事業を行いやすいように整備する、そうした方向であることをしっかり把握する。東京水道株式会社の動きも確認が必要。
質問3-①コロナ禍で1月に値上げしたことについて、どう考えるか?
(1)4ヶ月の延期については、「妥当、運動の成果、大切」と評価。市と自民は「臨時的・緊急処置、緊急対応。」との回答。
(2)1月からの再延期について、
青嵐会は、「これ以上はインフラ整備状況からマイナス」と回答。
市は「再延期は困難」と、自民は財政面から困難と回答。
→市はコロナで支払い困難者は個別相談というが、基準はあるのだろうか?
質問3-② 総括原価方式で減価償却費+資産維持費が計上され水道料金に反映されている。それでも足りない分も水道料金で賄うことについて、どう考えるか?
(1)共産党は、「水道法(総括原価方式)を用いたことで後年の維持管理費用を前倒しすることが可能になり、全国各地で値上げがされている。地方公営企業法や水道法のあり方が問題だが、老朽管更新や耐震化の費用に国庫補助をつけるようにすべき。」と回答。
(2)新風会は、「足りない分は、水道料金で賄うことはやむを得ない。適正化のチェックは必要。負担能力に応じた仕組みが必要。」と回答。
(3)青嵐会(無所属)は、「独立採算の企業会計で、自己資本において経営賄うことは資本主義のもと当然。受益者負担を考えれば妥当。」と回答。
(4)市(水道局)は、「水道料金の算定のため、総括原価方式で将来にわたって計画的に更新・耐震化をするのに必要な費用を見積もる。改定前の料金では賄えないので最小限の範囲で、適正である。」と回答。
(5)自民党は、「2019年2976か所の漏水。老朽化した水道施設を更新する費用を賄うため必要最小限の範囲の値上げは必要。」と回答。
→2018年から資産維持費が導入。総資産×3%が減価償却費以外に見積もられて、料金に反映されている。確かに高度経済成長期に一気に増えた水道施設、その更新時期が一気に来ている問題もあるが、人件費(公務員給与等)含め、料金で賄うことは、いずれ民間委託のための準備と思える。民間がやっても損が無いようにするための整備なのではないか。そうではなく、水道協会のいうように、社会資本の維持のため公費を導入すべき、ということを、どれだけ世論にできるかであると思われる。
質問3-③ 審議会の非公開、市民への説明会なしについて、どう考えるか?
(1)青嵐会、新風会、共産党は、「必要な情報を公開し、市民に広く議論しながら、意思統一すべき。国のルールのもとで、更新・耐震化どう進めるかを全市民的に議論をすべき。」と回答。
(2)市(水道局)は、「審議会については 市民参加条例16条2号、情報公開条例7条6号「公にすることで・・・不当に市民の混乱を生じさせるおそれのあるもの」に該当する措置。説明会は、市民参加条例の中の6条2号「市税や金銭の徴収に該当する場合は意見徴収を行わないことができる」とされ、しないことを決定した。」と回答。
自民党も、「審議会で市民も参加し、関係条例にも適合、市民の代表たる議員が議会で議論し決定したもの。」と回答。
→自治基本条例にある、市民が主人公との立場からは程遠く、市民を信頼していない姿勢は、民主主義を軽視するもの。水道事業を市民のみんなに理解してもらう姿勢の放棄と感じる。
今後のとりくみ素案
1.見解を整理して、学習会内容踏まえ、市民の会の見解を文章にして広げ、記者会見を開こうと考えています。
2.運動として水道事業民営化反対、浄配水場・水道管(社会資本)整備に国も自治体も負担しろの運動がポイント。
(1)映画会、学習会を通して、署名を各地区で、計画して広げる。
(2)駅・市役所前での宣伝・署名行動をすすめる。
(3)衆議院候補者への公開質問状にとりくむ。
これからの行動提起
先ほどとは違う事務局のメンバーが前に出て呼びかけました。
学んで行動しましょう!「水道料金の25%値上げはやめてください」署名は
今年中に6万筆(川口市の人口の1割)を目指します。
スタンディングに参加しましょう。
①市役所前スタンディング 毎月第3月曜日10時~11時(変更もあり、事前に連絡します。)
②駅頭スタンディング・各地域スタンディング
水道の「ミニつどい」を計画しましょう。
公民館や自宅で少人数で集まって、映画(DVD)を見て話し合ったり
"水道のお話をする人”(市民の会メンバー)を呼んで話し合い、
水道の署名に協力してもらえる人の輪を広げていきましょう。
募金にご協力お願いいたします。
ニュースや署名用紙の印刷、会場費、宣伝グッズなど、運動にはお金がかかります。メンバーもボランティアで活動しています。みなさんからの募金が大きな力になります。
参加者交流(質疑応答)とこれからの行動の確認
参加者はまだ質問が思いつかなかったのか、出てこなかったので市民の会のメンバーが前に出て署名の集め方について話をしました。
署名の集め方
我が家は3人家族ですけど、水道料金が、今まで1万6千円だったのが1万9千円になったのです。12月.1月の請求書で。たった1ヶ月で3千円も上がったのです。そのことを署名をお願いする時にお話しています。「あなたの家はどうなの?」とか言って。自分の家の料金が上がった事も知らない人も居ます。昨年、埼玉で水道料金を下げたのが22市ですね。ガーンと上げているのが川口市。「川口は思いやりがないんじゃないの」って言うんです。コロナ禍で賃金が減った人、仕事がなくなった人がたくさんいるでしょう?そういう中で水が飲めなくなったら大変です。命も危ない。そういう中で「私は大丈夫だから」という人が居ます。「ウチが大丈夫でも困っている人がたくさんいるんですよ」って。「私達はそういう困っている人達への思いやりで、集めているんですよ」って言っています。水道料金値上げしないという思いやりが大事だと思うのです。
ローラー作戦
木曜日に署名用紙を150軒の家庭のポストに「日曜に来ますから、署名したら、ポストから署名用紙が少し出るように入れておいて下さい」と紙に書いて署名用紙につけて配します。そうすると1割の15軒が署名してくれます。
署名してくれなくてもせめて署名用紙を読んでもらえれば、と思って毎週150枚配っています。
集めた署名用紙で5人分埋まりきっていないものは近所のスーパーに行って3~4人で買い物に来た人に「ここ埋めたいんです」と言って色々対話をしながら署名してもらっています。多くの人と対話することが大事だと思います。
ネット作戦
ネット上でメールアドレスで署名できる「change.org」というシステムを利用しています。それと「水道料金値上げに反対する川口市民の会」のTwitterとnoteというブログを利用して活動報告を上げています。Twitterで短い文を、noteで長い文を上げてレポート配信をしています。
「change.org」だけでは多分、見てもらえないと思いますがTwitterとnoteの3つの組み合わせで3ヶ月位コツコツとやって効果が出てきたと思います。Twitterも自分の言うことばかりでなく人の意見に「いいね」をしたりコメントしたり、特に埼玉県や川口市の人、社会活動に関心のある人をフォローしたりしています。
我が家の水道料金
資料の中に「わが家の水道料チェック」というのを入れさせてもらったのですけど、この領収書を見て下さい。基本料金や消費税が書いていないでしょう?川口市に「基本料や消費税が分かるようにしてもらいたい」と言ったら「お金がないからできない」と言うんです。市民のことを考えているのではなく自分たちの都合だけを考えているんだなって思いました。
平均25%値上げは2021年1月1日からですが、市内で検針日に地域差があり、25%値上げに気づくのに時間差ができています。ぜひご自分の家庭の水道料金をチェックしてみてほしいです。
ここで最初はなかった参加者の中からの質問が出ました。
時間内に二人の方が質問を出してくれました。
事務局メンバーの二人がそれぞれ回答しました。
Q1.水道料金を値上げする必要はあるのか?
家の前の水道工事を見ていて、交換している管が腐ってもなければ壊れても漏れてもいないので交換しなくてもいいのでは?何の為の工事なのか?と思った。
講演の中で償却の話があったけれど交換しなくても良かったのではないか?なんで25%も値上げするのか?根拠もない。「これだけの工事をするのでこれだけかかりますよ」ということで値上げしているのでは?将来民営化した時に直した設備を民間会社に提供するためにやっているのでは?と思う。
一番疑問なのは更新工事を全市的に一挙にやることではないのでは?壊れた所だけを工事すれば値上げする必要はなのでは?例えば学校や保育所を利用しても設備料をとらない。なんで水道だけ設備料を取るのか分かりません。
A1.水道料金は値上げしなくてもいい
川口市に「施設マネジメント」というのがあり、建物に関して大体40年から50年で更新するということになっている。水道管もある一定期間が決まっていてこれにより機械的に工事している。70年もつとも言われるがその管によって違っていてなんとも言えない。
川口市が出している「みずぐるま」という冊子には「こんなにヒドイんですよ」と腐食した管の写真を載せてあり、「漏水は2900ヶ所以上ある」と言ってますが漏水はあるものとして毎年3000件ほど予算化されている。なおかつそれ以外の更新を「水道事業」で計画している。
中間報告でもあったように水道局と自民党は「水道料は本来、市が充てるべき施策(福祉、衛生、消防・防災、教育)などに充てるべき財源を減らし、遅らせるので一般会計から繰入しない」と言っているけれど2019年の決算剰余金は96億円もある。
役所の職員は説明のプロだが誤魔化しのプロでもあるので気をつけないといけない。
Q2.署名用紙について
署名はこれからも集めると言うが署名用紙の文言はこれまで通りで行くのか?それとも文言が若干変わっていくのか?
A2.今年から新しいデザインの署名用紙が出来ています。
文言と項目はほとんど同じですが最初に昨年の結果が書いています。
Q3.公開質問状に回答をしなかった公明党への対応
10人も居る公明党市議団から市民の会に何も言って来ないという事について会として何らかのアクションが必要ではないかと思いますがどう考えているのか?
A3.この集いのあとに纏めて記者会見をする予定ですが
公明党のみのアクションは考えていませんでした。
閉会
最後にカンパのお願いがありました。ここでもお願い致します。
振り込み大歓迎。noteのサポート機能を利用してもらっても大丈夫です。
銀行名 ゆうちょ銀行
金融機関コード 9900
店番 038
預金種目 普通(または貯蓄)
店名 〇三八(ゼロサンハチ)
口座番号 9605748
口座名義人 ヒガシダノブオ
(個人名ですが「市民の会」に届きます。間違いではありません。任意団体名での口座開設は大層時間がかかるため、事務局担当者名で口座を開設しました。予めご了承ください。)
「水道料金25%値上げやめて」の署名がまだの方は以下のリンクからネットで署名できますのでお願い致します。情報拡散も大変助かります。どうぞよろしくお願い致します。 http://chng.it/q5LX94sRHr
署名用紙が欲しい方はこちらhttps://note.com/suidouneage/n/needc06027866
最後まで読んで下さってありがとうございます。
会場に来てくださった方も皆さん真面目に熱心に聞いてくれました。
ありがたいです。イベントは成功したと思っています。
私達は安心して使える水道を守るためにこれからも頑張っていきます。
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予告
会議(署名集約・集計作業あり)
5月16日(日)14時~16時半
生涯学習プラザ 2階 講座室3
(埼玉県川口市上青木西1丁目2−25)
市役所前スタンディング
5月17日(月)10時~11時
市役所前
(埼玉県川口市幸町1丁目6−17)
自分も活動したいという方、力を貸してやろうという方
どうぞご参加下さい。よろしくお願いいたします。