【博士と虎人舎の日記】 25年1月5日(日曜)半年ぶりに能登半島の約束の地、珠洲の終着の浜辺へ。
今日は「虎人舎」を立ち上げてから、
寄付を募っていた案件、
念願の能登半島の珠洲市へ向かう。
昨年、麻布の「蟻鱒鳶ル」の地下室、
珠洲の銭湯店主・シンケンさんと出会い、
「蟻鱒鳶ル」のドキュメンタリーを長期間、
撮っている、青柳拓監督と、
昨年、6月に訪問した。
被災地を目の当たりに衝撃を受け、
そして、あまりにも素晴らしすぎる、
「海浜あみだ湯」の景観を全身で味わい、
そして、入浴して、
ボランティアとして番台を努めて、
「また来ます!」
と交わした約束を果たすために。
そして、被災地への現状を
自分の目で見て、報告するために。
あの日以来、青柳拓監督は、
毎月、珠洲に通い、
そして、今もクリスマスから、
2週間、珠洲に滞在している。
4時半起床。
昨晩のイザコザで、なかなか眠れず、
ウトウトしながら、実質、ほぼ徹夜。
5時15分、若林凌駕が来宅。
寝静まった町を横切り、歩いて鷺ノ宮駅へ。
鷺ノ宮から新宿へ。
今回は、随所でYouTubeの撮影を予定している。
要所要所で、動画を廻す。
新宿駅からから歩いて、バスタ新宿へ向かう。
新宿のバスタから、リムジンバスで羽田へ。
毎回、スズキ秘書の運転する車か、
ここ最近は電車だったので、
バスに乗っての羽田行きは初めてなのだが、
座れるだけで快適だった。
朝焼けの冬の東京は透き通っていて、
美しい。
23歳の若林凌駕は
10代で47都道府県をひとり旅で巡っており、
旅慣れており、今回の旅のナビゲーターだ。
この一年で何時も落としてしまう、
水中ウォークマンを凌駕に預ける。
羽田空港より、ANA便に乗り込む。
冬の持ち物検査は、大変だ。
上着まで脱がされる。
韓流スターばりの若林凌駕。
機内では電子機器は禁止なので、
読書時間だ。
あるいは、ウォークマンで、
録りためたラジオ番組を聴くはずだったのだが……。
若林凌駕に預けた、ウォークマンを、
空港の持ち物チェックで上着を脱いだ時に、
落としたとのこと……。
絶句。
ま、預けたほうが悪い。
途中、機内から見下ろす、
晴天のなかに聳え立ち、
それを突き刺す
富士山の神々しいこと。
座席前のモニターのスカイマップが3D化していた。
これがもう面白いのなんの!!
航路を事細に意識したのは初めてだ。
到着後、一番最後に降りる。
「のと里山空港」へ到着。
空路では能登は、羽田からわずか一時間だ。
国会議員の被災地入りに対する議論が喧しい。
しかし、
今、能登半島へ行くのは、
簡単でありながら、
今、能登半島の被災地域は、
困難を抱えたままだ。
半年ぶりだが、
短期間で、空港出口で、
お出迎えのお相撲さんは出世していた。
空港の外へ出ると、そこは雪国だった。
駅でレンタカー、日産の軽自動車「ルーク」を借りる。
SAKURAにに似ているが、
こちらはガソリン車だ。
だいたい、能登半島の真ん中あたりに位置する
空港から、縦に伸びる、珠洲道路を北上する。
スタッドレスタイアのせいか、
去年の正月から改善が行き届いていない、
道の凸凹を拾い、乗り心地は悪い。
珠洲市に入ると、いまだに瓦礫のままのところが、
存在している。
珠洲市街へ入る。
大沢地区も見に行って欲しい
というリクエストがあった。
峠の山道を横断する。
海岸沿いへでても、
そこには店らしきものが何も無い。
過疎地対だ。
人が入らないので復興も進んでいない。
アスファルトが陥没した道を、
絶壁となった坂を、
「ぽつんと一軒家」のロケのように、
ハラハラしながら上り下り。
ボランディアの人たちも、
こちらまでは、なかなか来ない、
とのこと。
海岸沿いのゴジラ岩を見に行く。
ゴジラが現れた、臨場感で
悲鳴とともに楽しむ。
帰途の山道もデンジャラスだった。
一本道で大型車は通れないだろう。
そして半年ぶりに「約束の地」、
うみの銭湯「海浜 あみだ湯」へたどり着く。
青柳監督、シンケンさんとの再会。
興趣溢れる、
ボイラー室を、凌駕に案内する。
8キロの木材を焚べるのだが、
持つだけでよろけてしまう。
あみだ湯の裏側、
海と浜辺と草原——。
6月にはなんとか乗り越えた、
道を隔てる高い壁をもはや登れない。
ボクにとっては、此処は「終着の浜辺」だ。
ここはボクのアナザースカイ!!
ならぬ、
アナザーシー!!と叫びたくなる。
ここに来れば、誰もが「風の谷のナウシカ」だ。
思わず浜辺に「猿の惑星」の「自由の女神」を探してしまう。
冬の浜辺で徘徊したので、
すっかり身体が冷え切ったところで、
ボクと凌駕は入浴。
青柳監督は待機してくださる。
青柳監督の案内で、
珠洲の北にある、
蛸島の瓦礫集積所へ。
能登半島の瓦礫は
ここに集められている。
巨大なスパー銭湯型温泉施設が
寂しくそそり立つ、
このあたりは、
人気もないディストピアだ。
もう一度、あみだ湯へ引き返す。
6ヶ月前にもお会いした、えみさんと再会。
3人で記念撮影を済ませたが、
ボクが「もう一度、見たい!」
というリクエストで、
甚大被災地の宝立(ほうりゅう)へ。
6ヶ月前にも訪れた場所。
あの日の光景は生涯忘れられないだろう。
今でもフラッシュバックが続く。
瓦礫や、倒壊した家も、
以前に比べれば、
かなり整理されていたのだが、
しかし、同じ状態のままのところも。
あの日の被災が冷凍保存されたままなのだ。
これだけ、同じ地区でも解体、瓦礫の除去に関して、
差があるのは、もちろん、費用を払う金銭的な問題
と共に、土地の所有権の確定の問題があるとのこと。
前回も、この話を聞いた。
「ボクは、銭湯に浸かるひとたち、
特にお爺ちゃん、お婆ちゃんの笑顔が撮りたいだけです」
と次回作への伝言を残す、青柳監督と別れて、
昨日、予約した、本日の宿へ向かう。
ひとり一万円以内で探したが、
輪島と金沢の間の地点に、宿を発見。
初めての山道や雪道を進むが、
驚くほど、誰ともすれ違わない。
鹿が飛び出しても、轢きかねない。
つい、最近、
イーストウッドの新作で見た光景だ。
食事をしていないので、
カニを食べるために夕食を予定していた、
居酒屋が閉まっていた。
(ネット上は営業中)
約2時間で目的地へ到着。
何も無い暗闇のなかに突然、
看板が浮かび上がる。
ネットで予約しただけなので、
巨大な高級旅館施設だったことに
改めて驚く。
昼間だったら、こんな施設らしい。
今年、「イッテQ」も来ていた。
(当然、見ていないのだが)
311号室に投宿。
夕食を食べていないので、
売店で晩酌のツマミを調達。
この一室から、
「オールナイトイッポン♯13」を一時間、配信。
「今週のイッポン」で、
「トイレが大変!」を推薦。
前回の珠洲市訪問時は、下水が通っていないため、
何度も野糞した。
災害時のトイレ対策は平常時に備えるべきだ。
今、まさに一家に一冊、読んでおくべき本だろう。
この配信は疲れているのと、
酔っ払っているので、
「弱者こそ、政治が救済すべき」
というボクの政治思想が
むき出しになっていた。
ロジスティックス(ロジ)
という概念がいかに大事なのか、
語りたいのだが、
単語が出てこないのに、困った。
配信後も凌駕は大浴場へ向かった!
(どんだけ入浴好きなのだ!)
のだが、ボクは流石に力尽きて、就寝。