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レイトショーを観た帰りのバスが好きだった

家からバスで15分のところに、イオンシネマがあった。
そこでレイトショーを観て、最終バスで帰る時間が好きだった。

特に、冬の日曜日。

レイトショーはそれなりに混んでいるものの、近所に住んでいる人が多いようだった。

出発時点ではギュウギュウでも、最後までバスに乗っているのは自分1人だけということが殆ど。

大きなバスを独り占めである。

外も車内も静かで、タイヤが回転する振動が心地良い。

街灯も対向車のライトも少なく、外は真っ暗。

窓の外をぼんやり眺めながら、このままどこか知らない世界にワープしないかな・・・とちょっとワクワクする。

そんな時間が好きだったなぁ。



大切な人を喪ってから、毎日がつまらない。

行きたい場所も、やりたいコトも、心から楽しいと思えるコトも、見たいモノも、欲しいモノも、食べたいモノも…何ひとつとして見つからない。

何もやる気にならないし、誰にも会いたくない。

「すいちゃんは、いつも楽しそうだね」、「そのポジティブさ、分けてほしい」と言われていた自分は、どこへ消えてしまったのだろう?

さすがに、この状態が2年以上も続いているのは良くないと思い始めて来た。

以前の私って、何が好きだったんだっけ?何に興味があったんだっけ?

それを思い出したら、また同じことを試してみたら・・・
喪う前の私には戻れないけれど、以前の自分を少しだけでも取り戻せるかもしれない?!

そう思って、【好きだったシリーズ】を書き始めてみた。

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