「デザイン思考」が必要な本当の理由
デザイン思考とは何か
「デザイン思考」という言葉を最近よく聞きます。が、ことばだけでは、ピンとこないので、まずは、言葉の意味を理解したいです。
で、調べてみると、Wikipedia には以下のように書かれています。
デザイン思考(でざいんしこう、英: Design thinking)とは、デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉である
クリエイティブな事をやっているデザイナーの思考過程をということなので、デザイナーの思考過程を想像してみましょう。
デザイナーはどう考えるか
私はデザインを考えたことはないですが、以下のような取り組み方をするのではないでしょうか。
1. コンセプト考察
デザインは、芸術とは違い、誰かのためにあるものなので、誰の何のためにデザインにするか、方向づけをするはずです。
2. アイディア出し
デザインとは、新規性がなければ意味が無いので、これまでの枠にとらわれないアイディアをたくさん出すことが必要です。
3. 試作とフィードバック
結局、どういうデザインが受け入れられるのか、分からないので、試しにスケッチを描いて、意見を貰いたいと思うはずです。
試して、フィードバックを貰って、次のアイディアを考えるという流れで、デザインを仕上げていきます。
既存の思考過程との違いを見るために、エンジニアの思考との違いをみてみたいと思います。
エンジニアの思考との違い
- 解決志向 or 問題思考
デザイナーはとして、解決したらどうなるかをイメージ (コンセプト)しました [解決志向] が、エンジニアは、ボトルネックはどこか、など、問題そのものの分析から始めるでしょう [問題志向]。
- [0 から 1] or [1 から ∞]
デザインは、今までに無いものを生み出す活動 [0 から1] ですが、エンジニアは、性能向上、機能追加、といった仕事 [1 から ∞] が多いでしょう。
まとめると、以下のようになります。
エンジニア: 問題を分析して、より高い点数の答えをだす
デザイナー: 解決をイメージし、これまでにない答えをだす
なぜデザイン思考が必要なのか
デザイン思考が注目されていますが、その時代背景としては、問題の変化があります。
これまでの問題:
性能不足や品質が悪いといった、何が問題で、解決したらどうなるか分かりやすいものでした。
近年の問題:
新たな機能やサービスが出て、そこに問題があったことに気づく、明確に認識されていないような問題。
問題が違う例:
サーバーについて考えてみると、
これまでは、大きさや性能、容量、価格などが問題となっていました。
しかし、近年、クラウドコンピューティングが提供されそもそもサーバーを買う必要がなくなってきています。
これまで、IT 事業には、サーバーを買うのは当たり前であり、他社よりも性能の良いサーバーを作れば売れる、と思っていたベンダーは、全く別の方向から、シェアを奪われる形になっています。
これまでの問題に対しては、まさにエンジニアの思考がマッチしていたのですが、近年の問題に対しては、エンジニアの思考だけでは、問題があることに気づかない可能性すらあります。
近年の問題に対しても対応するためには、これまでのエンジニアの思考をいったん置いておいて、デザイン思考で考える必要があるのです。