エッセイ|雪に戸惑う弱気な僕（自己紹介にかえて）
週末を使って、友人と軽井沢に行ってきた。
一つは、軽井沢プリンスパークに行くため。もう一つは、カフェ巡りをするためだ。
実は私、本業こそ経営支援の仕事をしているが、将来、副業でカフェのオーナーをするのが目標なのである。
（そして、それらと並行して、こうしてエッセイやら小説を夜な夜な書き散らしては、新人賞に応募をしている。時間を持て余すと死に至る病に罹患しているため、様々なことを同時並行で進めないと気が済まないのである）
ただ、カフェ、と言っても、美味しい珈琲や食べ物、お酒を提供することに重点を置いたものよりも、とあるコンセプトと、それを実現する空間を提供したいと考えている。特定の層に向けて。
（この辺りは、気が向いたら追々書きたい。気が向いたらね）
直近は、この計画書の最初の矢羽にあるように、今年の4月から、間借りカフェをオープンするつもりで動いている。
もちろん、繰り返しにはなるが、そこを目的とするつもりはなく、最終的には自分のカフェを持ちたいと思っている。
そのために、日本各地、否、世界各国のカフェや素敵な空間を調べては、せっせと巡っているのである。いろいろと参考にしたいからね。
さて、前置きが長くなったが。
先日、友人と一泊二日の小旅行で訪れた軽井沢で、カフェ巡りをしてきた話を今日はしたい。
今回のお目当ては、こちら。
ベーカリー&レストランSAWAMURA。
前日23時まで働き、朝5時にアラームをかけ、4度寝の眠い眼をこすり、土曜朝7時半発の「はくたか」に乗り辿り着いたSAWAMURAは、キリリとした空気の中堂々と佇み、長野県内カフェ髙橋杯三年連続覇者の貫禄を感じさせられた。（とても素敵なカフェということです）
隣にあるロースタリーも、辺り一体に珈琲の香ばしい香りが立ちのぼり、まさに、非日常だった。
よかった。とてもよかった。
珈琲が素晴らしかった。パンも信じられないくらいに種類豊富で、美味しかった。
5時間滞在した。
あまりにもよかったので、また訪れることを友人と誓い、その日は軽井沢プリンスパークで買い物を楽しんだ。そして、広大なエリアは一日ではとても回りきれなかったため、翌日も買い物の続きをしようと決め、早々に眠りについた。
翌朝。
「え、大雪やん」
すこし早めに布団から起き出し、カーテンを開けた友人がきゃいきゃいとはしゃぐ。
……雪？
そう。珍しく、3日ではなく2日が節分の日。
軽井沢は豪雪に見舞われた。
昨日まで快晴だった割には、道路に雪が降り積もっていたから、夜に吹雪いたのだろう。
「……わー、すごいね！寒そうだね！！こんな日はホテルでおとなしく過ごすのも贅沢だよね！！！」
毛布に包まりながら、窓辺に佇む友人の隣に行き、極力、ネガティブさを感じさせないよう、慎重に言葉を選びながら、今日は部屋で過ごしたいことを匂わせる。
そう、髙橋は、大の寒がりである。先日、北海道旅行に行った後も、豪雪で体調を崩し、帰宅後1週間寝込んだ。
今日のように雪が降りしきる中で、ホテルから出るなど、断じて考えられないのである。
「え、私、雪降ってるから、ハルニレテラスのSAWAMURA行きたい」
ハルニレ……テラス？
ホテルと、軽井沢駅を挟んで、真反対にある、あのハルニレテラスに……？雪が降ってるから……？行きたい……？？
実は、SAWAMURAは三店舗展開なのだ。
・ベーカリー&レストランSAWAMURA
・SAWAMURA ロースタリー
・ベーカリー&レストラン 沢村 軽井沢ハルニレテラス
友人は、あろうことか、豪雪を物ともせず、なんなら晴れの日の行程表にもなかった、ハルニレテラスのSAWAMURAに行くという暴挙に出ようとしたのだ。
そんなことを許すわけにはいかない。
帰ったら溜まりに溜まった大量の納期が待っているのである。ここでまた1週間寝込んだら、本業を失いかねない。死活問題である。
「あ、でもほら、次の楽しみにとっとくのも良くない？あ、私、加湿器の水、足してこよっか！！！！お部屋で長く過ごすもんね！！！！！」
なんとか友人を宥める。
「いきたい」
「……そう」
ここからはあまり記憶がない。
ないが、友人を宥めすかし、なんとか話題をすり替え、彼女にディープな恋バナをさせることで集中を逸らすことに成功し（別の意味で記憶がない）、ハルニレテラスのSAWAMURAに行くことを回避することに成功した。
そして。
結局。行ったよ。SAWAMURA。
昨日も訪れた、ベーカリー&レストランSAWAMURAに。（ハルニレテラスではない方です）
これまでに、アドバイザリーとして、気難しいクライアントを50社は担当し、難しい上司15人に仕え、怒られ、怒られ、怒られつくし、上手に怒られる技術を身につけ、交渉術やらコミュニケーションを教えてもらったはずの髙橋にも、初雪に色めきたつ友人を抑えることは叶わなかった。そして、ハードネゴの末の妥協点が、昨日も行ったSAWAMURAの再訪だったのである。
寒かった。本当に寒かった。
本業を失う恐れを抱えている、この絶望的な状況下、ある意味12月の北海道よりも寒かった。
そんなこんなで、2日間で2店舗、3回訪れたSAWAMURAには、本当にお世話になった。
肝心な、髙橋自身のカフェ計画にも、インスピレーションをたくさんもらえた。
そして、帰宅して2日がたち、なんとかまだ寝込んではいない。納期も片っ端から片付けている。
雪の中のカフェ旅も、悪くはないね。
そして。2日で3回という、高頻度な単純接触効果もあり、
こんなに好きなカフェに（長野で）出会う冬は二度とない
とまで思わされている。
そうなのかもしれない。でも、そうではないかもしれない。
それを証明するためにも、今後、さらに髙橋杯（長野編）を追加開催していけたら嬉しい。
そんなことを思った週末でした。
ちゃんちゃん