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saの音楽感想文 第18回.People In The Box/「Ghost Apple」

今回はPeople In The Boxから「Ghost Apple」を紹介します。
ザ・コンセプトアルバムという感じで始めて聴いた時の感動は忘れられません。アルバム全体で30分に満たないものの,起承転結に富んでおり,まるで一本の映画を見たような感覚になります。

曲数は七曲で,月〜日曜日の名前がついています。

それでは曲の紹介に入ります。

月曜日/無菌室

プロローグ的な一曲。
物語に引き込まれます。

ーーーようこそ
ここは舞台で女優が死んだ場面さ

作詞: 波多野裕文/月曜日/無菌室

本アルバム全ての曲が死んだ彼女と主人公にまつわる話です。

火曜日/空室

月曜日で彼女が亡くなったことがわかりました。続いては彼女がいない部屋=空室に場面は移ります。

ある朝消えた
ある朝消えた
彼女は消えた
彼女は消えた

作詞: 波多野裕文/火曜日/空室

本曲に121gという単語が出てくるのですが,121gが何なのかは不明です。有名な話ですが,人間の魂の重さは21gと言われています。

水曜日

亡くなった彼女との思い出を歌った曲です。
メリーゴーランドが出てきたり,曲調も楽しげなんですがところどころ不気味さを感じます。

溢れ出した赤いミルク 白い血
いつか結婚しようね
僕らは楽しすぎたから
動けなくなった
僕らは楽しすぎたから
戻れなくなった
僕らは楽しすぎたから
動けなくなった
僕ら楽しすぎたから
戻れなくなった

作詞:波多野裕文/水曜日/密室

全体的にエロチックな歌詞です。本曲で主人公と彼女の関係の解像度がグッと深まります。

木曜日/寝室

彼女がいなくなってからもう4日目です。本曲は寝室ということで夢の話なのですが,夢ではありません。彼女が亡くなった事実を夢として現実逃避しています。
かなりグロテスクです。

夜のテント飛び出すと
まっぷたつのミラーボール
中身,僕は知っていた
これ誰かの夢だ!

作詞:波多野裕文/木曜日/寝室

このあと「うごめく前頭葉」という歌詞があるので,ここでいうミラーボールは彼女の頭です。
夜のテントはアパートでしょうか。彼女は飛び降り自殺をしたということがここでわかります。

金曜日/集中治療室

火曜日から続いていた回想や現実逃避が終わり,主人公が現実に戻ります。彼女が運ばれた集中治療室のお話です。月曜日の舞台の続きということで,歌詞も劇を想像させるようなものが多いです。

さぁさぁ,集まれ
亡くしたものぜんぶここへ
足のもつれた役者のために
幕が上がる

作詞:波多野裕文/金曜日/集中治療室

もちろん亡くしたものは彼女です。

Aが服を脱いだら
Bは舌を噛む
CとD 白衣着て
運び込まれたモナリザは
ベットで泡を吹いている
Aは花を散らして
Bは踊る
CとDはどうやって夢を見る?
オピウム?

作詞:波多野裕文/金曜日/集中治療室

オピウムとは麻薬です。
主人公は薬に逃げようとしています。

「めちゃくちゃにしてやろうよ」
という歌詞を繰り返すのですが自暴自棄になっている様子がわかります。
考察に外れますが,ここの歌い方すごい囁かれる感じなのでドキッとします。←怒られろ

本曲の最後,彼女は消えてしまいます。

土曜日/待合室

金曜日の後,主人公はオピウム中毒になってしまいました。とても美しい曲です。

もう、やめようよ
って袖を引いてくれて
ありがとう でも
あと一錠だけ でも
あと一錠だけ

作詞:波多野裕文/土曜日/待合室


世界中に電話鳴る
僕は,君は,出ない
音もなく雨が降る
僕はいない
君はいない

作詞:波多野裕文/土曜日/待合室

主人公も自殺を匂わせています。
もう,こんなのどうしようもないよ。
最終曲,日曜日,どうなるのでしょうか。

日曜日/浴室

「僕は待ち切れるかな」
「もういいかい?」
「まだだよ、まだだよ」
「僕はずるをして
もう一回生きてしまって」
「許せないよ二度とは」

作詞:波多野裕文/日曜日/浴室

本曲は全ての歌詞に「」がついており,彼女と主人公の会話形式になっています。主人公の自殺は失敗してもう一度生きなければならなくなりました。

「許せないよ だから
わたしのいのちを,君にあげる
パンケーキみたいに切り分けて,
あげる」

作詞:波多野裕文/日曜日/浴室

すみません。ここまで書いておいてなのですが,私自身最後,主人公がこのあとどうなったか確たることはわかりませんでした。わかるのは一度彼女が引き止めてくれたということ。

まとめると
月曜日→プロローグ
火曜日→彼女のいない部屋
水曜日→回想
木曜日→現実逃避
金曜日→現実に戻るものの絶望
土曜日→薬物中毒
日曜日→彼女との対話

だと思います。

書いている時にも本アルバムを聴いていたのですがやはりものすごいアルバムだと思いました。聴いた人それぞれに考察があると思いますので,ここはこういう意味ではないか?というのがありましたらぜひ教えて頂きたいです。

今回は以上になります。
ご覧いただきありがとうございました!

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