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saの音楽感想文 第4回.リスキーシフト/WAVE
今回はリスキーシフトが2024.8/21にリリースした新アルバム「WAVE」を紹介します。シングル曲4曲を携え,満を持して現れたアルバムです。
備えのない夜に寄り添うアルバムになります。
なんといっても魅力は歪みのある音と歌詞,ボーカルのマッチングです。
作曲,作詞が男性(アダチさん)で,ボーカルは女性(なかともさん)です。お二人はどちらもギターです。このお二方が組んでいるからこそ生まれる唯一無二感があるんですよね。
それでは曲に入ります。
夢想する犬
リスキーリフトが夜の始まりを告げると共に
アルバムの始まりも告げます。リスキーシフトと本アルバムの世界観がわかります。まさしくプロローグと言えるような一曲。
ハイファイに過去を 妄想に変える
ありもしない記憶 0から作り出す
そうでもしないとさ
この世界じゃダメになってしまうから
ハイファイについては難しいのですが,「ノイズやひずみが抑えられていること」を指すことがあるらしいので,ノイズやひずみを抑えるのをやめるという意味かな?と解釈しています。
実際アルバムを通してかなり音が歪んでますし。
夜が始まる。
例えばその画面から
例えばベットの上から
ただ暗く長い夜が襲ってくる
備えなんてないから
憂うばかりの夜
月も見えないくらい
先も見えないくらい
眠れないまま夜が始まる
ミュージック
この曲最初聴いた時は違和感がすごかったのです。なぜだか考えてみたら,イントロなしで歌い出す手法,リスキーシフトがやるのを見たことなかったからです。これは本当に批判しているわけではなく,リスキーシフトっぽくなかったからびっくりしたって話です。結構イントロちゃんとやるバンドなので。新しい試みですし,序盤の変調がアルバムにアクセントを加えています。
でも30秒後,サビにはいつものリスキーシフトになっています。
KOOL
イントロが頭おかしいくらいかっこいいです。
NO SMOKING
タバコというものを歌詞の小道具として利用する曲は世界にごまんとありますが,この曲は1から10まで「私とタバコ」です。
深呼吸ができないから火をつけた
20分の1
甘えが染みついた指
洗ったってもうダメだ
甘えが染みついた指、、。
私の指も糖尿病です。
ただ焦っていて急いでる
引き止めないでね相棒
逃げる 止まる 弱音を吐く 煙を吸う
言わずもがな相棒=タバコです。喫煙者あるある。時間ない時ほどなぜか吸いますよね。
ただ焦っていて急いでいる
引き止めないでね相棒
走る 泊まる 深呼吸 箱を捨てる
深呼吸ができた!!
タバコをやめることができたようです。
この曲好きなくせにタバコ吸ってる私はごみ。
in the pool
インストだからといってこの曲は飛ばしてはいけません。最後の最後に日本人のほとんどが聞いたことのあるフレーズがあります。音が歪むとでこんなに印象変わるとは、。必聴です。
ゆれる
わかってしまったな
浮かんだイメージ
半透明なそれが
プールサイド水面の感じ
裸足の季節とノスタルジック中毒
前曲を得てこの歌詞,インスト曲を飛ばした人は戻って聴くように。
ゆれる あたまに淡いイメージが
浮かぶ焼きつく
まぶたの裏で夏の焦燥が
ゆれる ゆれている ゆれている
ライブで聴きたすぎる!!!!!
void
1番暗い曲です。最後まで救いの歌詞はありません。それでも続く足掻く様なアウトロに少しだけ何かを期待するも,曲は途絶えてしまいます。そして最後の曲につながります。
FLASH BACK
1番好きな曲です!!
ここまで見てくださり,ありがとうございます。
戦争や終末に怖気付く君のように
あり得ない妄想をして寝床につく
寝床に入り,とうとう夜に区切りをつけます。
フラッシュバック あの日々が
いつも廻り廻る
フラッシュバックあの日々が
私を殺してまた動き出す
そんな気がした
フラッシュバック いつの日か
僕らは意味を持たず
フラッシュバック いつの日か
日常を思い出す
日常に生きる君を
何度も夢に見た
明日に希望を持った
それは素晴らしいと思う。
この後アウトロ、終わるのかと思いきや最後の最後に!!最初の歌詞に戻ります。
ここがミソなんです。
※以下,個人の見解です。
まったく違う場合もあります。
この曲でやっていることは夜に区切りをつける行為である「寝床につく」ということです。
それだけなら曲は冒頭2行で終わります。
しかし,冒頭2行だけでは寝床につくという行為はただの逃避行動に思えます。あるいは最初はそうだったのかもしれない。でもフラッシュバックする日々をうけて,「明日に希望を持った それは素晴らしいと思う」となる。
寝床につくことは逃避ではなく,明日に向けた前向きな行為になったのです。
ちなみに最後に繰り返される歌詞は歌詞カードには書かれていません。
なんて素晴らしい曲だと思う。