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saの音楽感想文 第26回.電ǂ鯨/「よるりり(深夜盤)」

今回は電ǂ鯨さんの「よるりり(深夜盤)」を紹介します。初のボカロ曲(正確にはボイロ曲)紹介です。

電ǂ鯨さんは「退廃的な世界観を描かせたらこの人の右に出る人がこの世に何人いるのか?」
と感じるほどに最高な歌詞を書きます。

本作もそんな終末世界を生きる2人の女の子(イラストの赤い子と青い子)を描いたアルバムです。普段ボカロを聴かないという方もぜひ聴いてみてほしいです。

※曲に入る前に知っていて欲しい知識です。
赤い子の一人称が「うち」
青い子の一人称が「私」となっています。

にゃーねこにゃー!!

上がアルバムver.で下のものをリメイクしたものです。下の曲はアルバムに入っていませんが、mvが可愛いので貼っておきます。
にゃーにゃーねこにゃーにゃー!!
なんて可愛いらしい曲でしょう。でもこの先は地獄が続きます。この曲もアルバムver.は大概不穏です。にゃーにゃーで隠れています。

にゃーねこにゃー
冷えた体は
まだ 脈を打ってる ずっと

電ǂ鯨/にゃーねこにゃー!!

クーネルエンゲイザー

↑ボカロは基本ニコニコで聴いて欲しい派(厄介オタク)
私の1番好きな曲であり,代表曲です。
ボカロ全体で好きな曲と言われても5指に入ると思います。伝説的な歌詞とメロディーでYouTubeでは600万再生,ニコニコ動画では大台となるミリオンを達成しています。

世界凍った。
未曾有の寒さのその下で
道路も空も青く白く凍った。
あまり静かで
思わず息を吸い込んだひとは
冷えた夜が肺に 砕けて散った。

電ǂ鯨/クーネルエンゲイザー

氷を連想させるイントロの後,「世界凍った。」からの歌い出し,一瞬で世界観に引き込まれます。

今日も二人は
こたつでみかんを食べながら
過ぎた季節の
思い出ばっかり懐かしむんだよ
絶対的な 生物学的な終わりを前に
かたくなに手を繋ぐ
クーネルエンゲイザー

電ǂ鯨/クーネルエンゲイザー

氷に覆われた世界で2人はもう来ないと知っている春を待っています。序盤は2人で一緒に歌っているのですが,中盤、青い子に異変が起こり,ズレていきます。

終盤はぜひご自身でで確認していただきたいです。ひたすらに悲しく,美しい曲です。

セシウムの降る夜に

セシウムは放射性物質ですね。そんなやばいものが降る世界のお話です。

団地の外へ,止まった
バスの向こうへ
手と手は麻薬だ,抗恐怖の効能
すれ違う人は夜の籠の鳥
饐えた言葉を,
聴いてはいけないよ

電ǂ鯨/セシウムの降る夜に

「手と手は麻薬だ」なんて歌詞私が人生何周しても思いつけないかもしれません。なんて素敵な表現なのでしょうか。

花が枯れた

寒気,セシウム,と続いてスモッグが充満している相変わらずの終末世界です。
花が枯れてしまって、お葬式をあげる曲です。

楽しいことは鋭くとがっていて
悲しい飼育 突き刺して
痛みはひどく ものを言えない君は
いつでも水を欲しがった

ごめんね花よ
ごめんね
もう、あなたを今晩燃やします。

無くなる,私の心がまた
数グラムくらい軽くなる
花のたましい案外しょぼい
けれど
火だるまのそれと目が合った

「次の人は大事にしてやってね、
こんなに惨めな手を振るね、
だから私のことは忘れていいよ。
花瓶は不燃に出すんだよ。」

電ǂ鯨/花が枯れた

歌詞が好き過ぎてどこを引用すれば良いのか分からず長くなってしまいました。この曲はもう歌であり,詩だと思います。最高なのでぜひ歌詞だけでも見て見てください。
↓歌詞です。


春(かたおもい)

本アルバム最後の曲です。この曲の一人称が「うち」なのに注目。明確にクーネルエンゲイザーの後日談ですね。

そして冬が通り過ぎて
曇る窓の色も忘れては
もう何回目の口上か忘れたよ
「やっと会えたね」なんて。

電ǂ鯨/春(かたおもい)

クーネルエンゲイザーと合わせて聴いていただきたい曲です。

今回は以上です。
私は電ǂ鯨さんの世界観と歌詞が大好きです。

ご覧いただきありがとうございました!

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