saの音楽感想文 第41回.ハヌマーン/「World's System Kitchen」後編
今回はハヌマーンの「World's System Kitchen」の紹介後編になります。バクのコックさん〜Don't Summerまでの5曲の歌詞考察です。
前半5曲(妖怪先輩から比喩で濁る水槽まで)はこちら↓
それでは曲の紹介に入ります。
バクのコックさん
こちらもトラベルプランナー同様,ハヌマーンファンに人気な曲という印象です。
この歌詞ではずっと雨が降っています。
バクが出てくる世界観に合わせて,傘をさしている人を唐傘小僧,カッパを着ている人を河童として表現しています。同じ音とは雨音か,水たまりの音か,はたまた音楽でしょうか。
若者のすべて
「若者のすべて」と題されたこの曲は,冒頭,青年が飛び降り自殺をするところから始まります。
延着の紙面は遅延証明書です。遅延証明書を求めて長い列ができました。その姿を自殺した青年に嘲笑れ,俯瞰されています。
月の砂塵なんてものは物質的に主人公の周りに存在していません。よくある照れ隠しや強がって泣いていることを隠す描写,「これは汗だ(ロボットものの場合オイル)」とか「目にゴミが入ったのかな(ゴシゴシ)」みたいなやつを極限までロマンチシズムに表現したものです。「あの人のことを思い出して泣いてしまった」という事実,その涙のわけを「月の砂塵が目に入った」せいににしているのです。
幻によろしく
この曲は山田亮一にとってハヌマーン以前のバンドを偲ぶ曲だと思っています。当時の山田亮一の過去への想いは「比喩で濁る水槽」の「過去の虚栄と」や「若者のすべて」の「随分と長い間待たせた」,「結局捨てれんかった恥やら外聞」という歌詞からも見てとれます。
本曲はそんな捨てきれなかった過去のバンドへの想いを歌う曲であると考えます。
そう解釈すると
誰もが忘れた歌→過去のバンドの歌
夢→過去のバンドでの目標,夢
幻→過去のバンド自体
となります。
そしてキーとなる「2回建てのバス」ですが,
これは「ハヌマーン」自体を指していると思います。ここからはこじつけなのですが
「2回建てのバス」からは「インドのバス」が連想され,「ハヌマーン」とはインドにおける猿の神様の名前です。
「2回建てのバス」を「ハヌマーン」として解釈するすると一気に歌詞が読み取れます。
訳
俺はこれからも歌う。薄情であるが歌う。
夢は過去のバンドの中に散っていったが,またこの街で「ハヌマーン」として歌う。「(過去のバンドに)よろしくな」と口先だけで俺は言う。
ちなみに歌詞中の「誰かさん」は山田亮一の実際の知り合いみたいです。何年間も同じ顔と名前,変われないことが嫌で嫌で仕方がないのに,それを変えるため誰かさんみたいに奇をてらった行動も取れない自分の「普通さ」に辟易としています。
アナーキー・イン・ザ・1K
曲名はセックス・ピストルズの「アナーキー・イン・ザ・UK」の文字りです。ハヌマーン以外にもシックスラウンジの「アナーキー・イン・ザ・人生」やくるりの「アナーキー・イン・ザ・ムジーク」などがあってこの文字りは人気なようです。
この曲はシンプルに身の回り全ての人間への反感を歌っています。呪い殺すだとかなんだとか恨みつらみを吐き出す曲です。しかし,そう喚く主人公の世界は1Kであり,主人公はその小さな部屋の中でだけ革命犯です。
Don't Summer
この曲では「夏」が動詞として使われています。
この曲において「夏」が最も大事なワードなのですが,そこが読み取りずらいので歌詞の解釈も難しいです。わかることとして「夏」とは山田亮一にとっては「愚かな行為」です。
それを踏まえた上で「夏」が指すものとは,
『「一時的な衝動や熱意」や「過去のバンドへの想い」を持つこと』ではないかなと考察します。
「水銀温度計その上昇に連動して上がるあの人のリセット願望」とあるようにこの曲ではどんどん温度が上がっていくのですが,上記のような想いが上がっているのではないでしょうか。
リセット願望とはリセット症候群のことでしょう。このリセット願望は過去のバンドに対して向けられたものです。「先月号の読み切りの彼」から想像するのは過去のバンドです。
以下,クソ雑魚翻訳
「一時的な衝動や熱意」,「過去のバンドへの想い」を持つな。衝動のままの音楽をやめろ。
三つ編み云々→意味不明,訳不可能。
そういった音楽はもうやめる。気は確かさ,何故なら今の俺にはもう何もないから。
以上になります。
こんな意味があるんじゃないかと言う方はぜひ教えていただきたいです。
ご覧いただきありがとうございました!