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saの音楽感想文 第32回 the cabs/「回帰する呼吸」

今回はthe cabs から「回帰する呼吸」を紹介します。残響レコード所属です。ベース・ボーカル首藤義勝さんの透明感のある声,ギター・作詞担当の高橋國光さんが描くヨーロッパと戦争が舞台の冷たい世界観が魅力のバンドです。

the cabsは2013年に解散していますが,
ベース・ボーカルの首藤義勝さんはKEY TALKという超有名バンドで活動されていました。今年の7月に首藤義勝さんが脱退し,KEY TALK自体も活動休止になったニュースは記憶に新しいです。一方,高橋國光さんはösterreichとして活動されています。

それでは曲の紹介に入ります。

キェルツェの螺旋

人気曲です。ひたすらに悲しい歌で,込み上げるものがあります。キェルツェとはポーランドの都市らしいです。ポーランドはドイツとソビエト連邦に挟まれていた国です。私にはその程度の知識しかありませんが,歴史を勉強した上で見てみたいですね。

終盤女性の声が聴こえるのですが,聞き取れる方いましたら教えていただきたいです。たびたび入るシャウトは作詞担当,高橋國光さんの叫びらしいです。

どうして間違えてしまった-----
わからない----

↑最後のシャウトから聴きとれるところ

camn aven

https://youtu.be/Ct3EEGFCdE8?si=Nt-RM_egyNUDZ1de

タイトル「camn aven」は高橋國光さんの夢の中に出てきた単語らしく意味は「女の子」らしいです。歌詞中に出てきた君がその子であるのでしょうが、、。歌詞は全くわからないです。

触らないで
君の手にはもう負えない
捕まらないで
怖い人に合図して!

歌詞:高橋國光/camn aven

解毒される樹海

イントロがかっこよくて好きなんです。
この曲は高橋國光さんのシャウトも歌詞化されており,比較的理解しやすい歌詞だと思います。(理解できるわけではない)
歌詞カードだけでは文章の流れが途切れていますので,勝手に首藤さんの歌うパートと高橋さんの歌うパートを分けてみます。

首藤さん そのまま 高橋さん 文字に線あり
※線は歌詞を分かりやすくするための意図で批判的な意図はまったくありません。

「誰も幸せになれない
あげるよ全部
映画ね」
雑音を
「気づかないフリをしていた」
気が触れるまで
種を蒔いて、

「おまじないをかけたわ」
花を咲かせて
「どんな?」
毒を消したい。
「大きな犬を飼う夢を見たんだ」

歌詞:高橋國光/解毒される樹海

単純に首藤さんパートが女性,高橋さんパートが男性というわけにもいかないです。
歌詞中の「森」が何を指しているかわかれば解読できそうなのですが無理です。まぁおそらく2人には「どうすることもできない現実」の何かを表現していると思うのですが、、。

解毒される樹海とありますが,毒は最後まで「消したい」にとどまっており,犬を飼いたいというのも夢のまま終わるので,解毒はされなかったのだと思います。

カッコーの巣の上で

この曲は映画「カッコーの巣の上で」から連想されていると思います。みたことないのでどういった連想かわかりません。「物を書くならまずは映画を見ろ」とはよく言ったものです。こう言った歌詞考察を書いていると,映画ネタの曲は多く,その度にもっと映画見なきゃいけないと思います。また本曲は歌詞の節々に別アルバム「1番はじめの出来事」の人気曲「二月の兵隊」との関連を感じさせます。

僕は待っている
カッコーの巣の上で。
ありふれた救いと
失う意味の許しを。

待っている、
君はお洒落な服を着て。
ありふれた救いと
途切れた二月のフィルムを。

歌詞:高橋國光/カッコーの巣の上で

カッコーの巣とはこの場合社会主義的な「統制」であると思います。ありふれた救いが「統制」からの解放でしょうか?別曲「二月の兵隊」での支配からの解放・自由化ということです。
また、2月が2人の別れの月であることはわかります。

skór

skórとは靴の意味です。「二月の兵隊」にも出てくる単語です。

「ねぇ私の絵を描いてよ
2人だけしか知らないこと。
汚れてしまっても優しく生きて、
綺麗な言葉だけを選んで
そして季節が変わる前に
心の意味をあなたにあげる」

歌詞:高橋國光/skór

ここまでで本当思うのですが「君」と呼ばれている女性は本当に強い心を持っています。どんなに絶望的な世界になって,体が壊されても,こんなことが言える心。
心だけは誰にも変えることができない。
最後の「心の意味をあなたにあげる」の首藤さんの歌い方もあって、本当に優しく,強く、美しいです。

第八病棟

片足を引きずったまま
生まれ変わる場所を。
沈みゆく船。
「このままでいたい」と
君は笑っていた
どうして触れなかった。
ここでは祈ることさえ。

歌詞:高橋國光/the cabs

本アルバム最後の曲ですが,主人公の後悔と共に本アルバムは終わってしまいます。

今回は以上です。

改めてまとめてみると,もっと歴史とか勉強しなきゃなと思います。もう少し知っていれば具体的に解説できたと思うのですが、、。また今度リベンジしてみようと思います。

そして高橋さんの独創性ありすぎる歌詞を完璧に表現している首藤さんの凄さも感じました。唯一無二のバンドだと思います。

ご覧いただきありがとうございました!

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