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泥の国のアリス❤2


   ”昔、トマトを描いていたあの人は今は悪魔を描いてるそうな”


 頭をぶつけて気を失っていたアリスは、ぼそぼそ聞こえる音で目を覚ましました。
音が聞こえる方向に頭を向けると真っ赤な顔をした集団に囲まれています。
「ひっ。」
良く見るとあまりにも不気味なトマト人間たちがこちらを睨みつけながらいぶかしげに話し込んでいて、アリスはとても怖くなって黙り込んでしまいました。今にも目から涙がこぼれそうです。それでなくても薄暗い森からはガサガサと変な音がしてアリスの恐怖心を煽り立てます。
「長兄どうするんです?。」
「これが動いている人間かあ。」
「だから何回も言っている通り協議会が決めるのだから、我々がここで決めることは何もない。」

「それではどうするのです?。」
「協議会からの決定事項が来るまで、そこらへんにでも繋いでおけばいいだろう?。」
「つまらないなあ。」
トマト人間の一人がガクガク震えてるアリスをいとも簡単に担いでどこかへ連れ去っていきました。

 トマト人間の肩に担がれて、やけに明るい場所に来たと思ったらそのままアリスは縄で縛られ大きな草の枝から吊るされてしまいました。
「うんしょっうんしょっ。」
見上げると枝の上で子供のトマト人間が二人がかりで縄をしっかり結んでいます。
「おう、そのくらいでいいぞ。」
「はーい。」
長兄と呼ばれいたトマト人間が声をかけると、子供のトマト人間二人は可愛らしい返事をして、枝の上を器用に歩いてそのまま茎からするすると地面に降りました。
「この方はどうされるんです?。」
子供のトマト人間の一人が目をくりくりさせながら質問している声にアリスは必死に聞き耳を立てました。
「ああ、まだ王がお返事を出されないからお前たちどちらか見張りでついててくれないか?。」
子供のトマト人間はさっそくジャンケンでどちらが見張り役か決めて、勝ったほうが嬉しそうに長兄と呼ばれたトマト人間から紙切れを貰ってこちらに来ます。
「入国者の人間に次ぐ!我が国は人間の入国が禁じられている!現在処分方法を検討しているためしばらく待たれよ!!   泥の国 協議会 より。」
子供のトマト人間が元気よくそう告げると、アリスの目からは大粒の涙がこぼれるのでした。

                        ❤3へ続く

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